人をつなぐ、未来をつなぐ。 トレードオンの交渉学

NPO法人日本交渉協会,安藤雅旺,星野良太

交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。 ◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版 ◎聞く人:星野良太/人まず株式会社代表/NPO法人日本交渉協会 幹事/声メディアWorkTeller主催/著書:「コロナ時代にオンラインでコーチングをはじめてみた。」 【運営】 日本交渉協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。 【関連資格】 交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。

  1. 5 DAYS AGO

    #109 「奥村先生と交渉学」① 藤田忠先生との出会い・学びについて 奥村哲史

    今回(第109回)から3回にわたり、特定非営利活動法人日本交渉協会 名誉理事の奥村哲史氏をお迎えし、「日本における交渉学の歩み」についてお話を伺います。初回は、藤田忠先生との出会いと学び、そして学会立ち上げ期の舞台裏についてです。   ◎奥村哲史氏のご経歴 ・特定非営利活動法人日本交渉協会 名誉理事 ・早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学:早稲田大学) ・滋賀大学経済学部教授から名古屋市立大学大学院経済学研究科、東京理科大学を経て、東洋大学教授を2025年3月定年退職。 ・大学では経営学、経営組織論を担当。米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院フェロー(1994~2018)として交渉と紛争解決研究に従事。 ・早稲田大学大学院政治学研究科(2003~2019)、神戸大学大学院経営管理研究科(2010~2019)の他、メルボルン大学経営大学院、フランスESSEC経営大学院、テンプル大学日本校企業教育部門、西セビリア大学大学院、レーゲンスブルク工科大学、ストラスブール大学などで交渉関連科目を担当。 ・企業における実務研修多数。 <翻訳> 『交渉のメソッド:リーダーのコア・スキル』(Lempereur & Colson, The First Move 白桃書房 2014) 『予測できた危機をなぜ防げなかったのか? 組織・リーダーが克服すべき3つの障壁』(Bazerman & Watkins, Predictable Surprises 東洋経済新報社 2011) 『影響力のマネジメント:リーダーのための実行の科学』(Pfeffer, Managing with Power 東洋経済新報社 2008) 『交渉力のプロフェッショナル:MBAで教える理論と実践』(Brett, Managing Globally ダイヤモンド社 2003) 『「話し合い」の技術:交渉と紛争解決のデザイン』(Ury, Brett, & Goldberg, Getting Disputes Resolved 白桃書房 2002) 『マネジャーのための交渉の認知心理学:戦略的思考の処方箋』(Bazerman & Neale 白桃書房 1997) 『マネジャーの仕事』(Mintzberg, The Nature of Managerial Work 白桃書房 1994)   【TODAY’S TOPICS】 ◎藤田先生との出会い ・博士課程1年の終わり〜2年初め頃、2つの接点が生まれる。 ①  修士同期(藤田先生の高校同級生のご子息・TA経験者)からの紹介 ②  聴講する明治大大学院ゼミに参加していた、藤田先生の下で修士課程を経た若手教員の勧め ・学会準備期に初訪問、同期とともに面会して関係がスタート。以後ICUを何度か訪ね、知的刺激を受ける。   ◎ 藤田先生のひと言にも背中を押され、転機となるアメリカへ ・研究関心(例:クリス・アージリス)を語ると「だったらハーバードに行くとよい」。 ・資金不安への即応:「向こうで何とかなる」—ご子息方の実例も交えて励まされる。 ・博士1年夏、シアトル市長奨学金で語学研鑽の機会。 ・博士課程修了後は滋賀大学へ。学外機関の夏季の学生引率も引き受け実地の英語力を磨く。   ◎ 藤田先生のお人柄 ・交渉学会の受付業務や学会誌制作支援(録音→テープ起こし→論文化)を担当。 ・「学生をタダで使わない」—作業には手当を配慮する姿勢。 ・藤田先生の人脈で著名人が登壇、実務家と研究者が一堂に会する設計。 ・立ち上げ直後から参加者多数。大企業の部長クラスも出席。   ◎ 社会的インパクト(役割と評価) ・啓蒙的著作を多数刊行:平易だが教養の厚みが伝わる内容 ・数理分析を使いこなす経営学者としての基盤の上に、交渉学導入への決断。 ・「学問らしさへの懸念」への忠告にもひるまず学会を創設。全国紙にも取り上げられ、北海道大会では元駐日米国大使のエドウィン・ライシャワー氏招聘を実現。   ---------- お聞きいただきありがとうございました。 交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、 「交渉アナリスト」のサイト⁠をご覧ください。

    13 min
  2. 30 OCT

    #108 「Why?」を多用しない親子コミュニケーション 加藤有祐

    今回のトレードオンの交渉学は日本交渉協会理事の加藤氏をお迎えして「『Why』を多用しない親子コミュニケーション」をテーマにお届けします。親から子どもへの問いかけ方法に注目し、「Why」ではなく「What」の使用のススメを解説いただきました。 子どもが何か問題や悩みなどを抱えたときに、その解決のため「なぜなの?」「どうして?」など親はその理由や背景をまず問いがち。ただ、この姿勢は子どもにプレッシャーを与え、状況が好転しないことも。子どもを動かすために、「Why」に代わる「What」を用いたコミュニケーション術をご紹介します。子どもの対話力を高め、親子関係を深める問いかけを学べる内容です。 ◎加藤有祐氏のご経歴 日本交渉協会理事/一部上場企業 子会社 代表取締役社長 兼 CEO 【TODAY’S TOPICS】 ◎「Why」と子どもに問いかける(=理由や背景をたずねる)のが好ましくない理由 ・責められたり追い詰められたりしてるように感じる。  その結果かえって正直に話しづらくなることも。 →「Why」ではなく「What」で問いかける(=事実や状況をたずねる)質問を ◎「Why」と「What」を多用したコミュニケーションの違いの実践例 ・宿題を促すときに「今日の宿題は何?」「何が難しい?」など ・回答のしやすさ・プレッシャーが異なる →大切なのは目線を子どもと合わせて話しやすい形をつくること ◎「Why」を減らすコツ  1.なぜと聞くのを呑み込む  2.Whatに置き換える練習を ◎「What」の問いかけは子どもの対話力・親子関係の向上につながる お聴きいただきありがとうございました。日々の交渉やコミュニケーションをより良くしたい方は、⁠⁠⁠⁠「交渉アナリスト」⁠⁠⁠公式サイト⁠⁠⁠もぜひご覧ください。

    13 min
  3. 23 OCT

    #107 孫子で読む交渉学⑪「軍争篇」その1 窪田恭史

    日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストに迎え、「孫子の兵法で読む交渉学」シリーズは第11回へ。今回から孫子第七篇「軍争篇(ぐんそうへん)」に突入します。前回の『虚実篇』が「相手の虚を突く」なら、『軍争篇』は「その虚をどう作るか」がテーマ。重要な原理を紹介し、交渉の場づくりへ落とし込みます。「桂陵の戦い」などの歴史エピソードを手がかりに、舞台そのものを有利に組み替える「迂直の計」の考え方や「気・心理・力・変化」を制するリーダーの条件などを紹介します。  ◎窪田恭史氏のご経歴 日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事 ナカノ株式会社 代表取締役 日本古着リサイクル輸出組合 理事長 表情分析、FACS認定コーダー 日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター 早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。 【TODAY’S TOPICS】 ◎迂直の計 ・争地を先に取るためには「急がば回れ」の考え方が重要。 ・正面衝突を避け、相手にとって重要なもの(支持、資源、時間)を奪って戦況を変える。 ・事前に地形に通じ、人材をそろえ、周辺国と外交を結んでおくなど事前準備が不可欠(3D交渉と同様) ・囲魏救趙(桂陵の戦い)  敵本隊ではなく「都(価値の源泉)」を突いて部隊を引きはがす。  ・武田信玄の旗印「風林火山」  軍を変幻自在に動かし、敵に虚を生じさせる。 ◎将軍に求められる4つの力 ・気を制する:敵の士気を見極める ・心理を制する:自軍を整え、敵の乱れを待つ ・力を制する:自軍を休ませ、敵を疲れさせる ・変化を制する:自軍を自在に操り、敵の隙を突く ※原則例:高地の敵に攻め上らない/駆け下りる敵を正面から受けない/囮や敗走に釣られない/強所を突かない/包囲には「逃げ道」を残す --------- お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてさらに詳しく知りたい方は、⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠「交渉アナリスト」⁠の公式サイト⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠もぜひご覧ください。

    6 min
  4. 16 OCT

    #106 史記で学ぶ交渉学③「鴻門の会」後編 安藤雅旺

    「史記」を手がかりに、歴史の名場面から交渉の本質を読み解く「史記で学ぶ交渉学」シリーズ第3回。『鴻門の会』後編として、酒宴の座次、項荘の剣舞、項伯・樊噲の動き、そして劉邦の退避までの経過をたどります。 【TODAY’S TOPICS】 ◎酒宴の流れ ・劉邦は南に座し北を向く/対面に范増。上座となる劉邦の左(西)に項伯・項羽、右(東)に張良。 ・范増がたびたび「今ここで討つべし」と合図するが、項羽は応じず酒宴を続ける。 ・范増は項荘に「余興の剣舞を舞い、そのまま劉邦を討て」と指示。 ・項羽の叔父・項伯が対抗して剣舞に加わり、劉邦の身を実質的に庇う。 ・張良に呼ばれた樊噲が酒席へ突入し、項羽に名乗り出て酒を勧められ一気に飲み干す。 ・劉邦は「厠へ行く」と言い席を外し、樊噲に伴われて自陣へ逃帰。 ◎鴻門の会以降の流れ ・鴻門の会が分岐点となり、のちに劉邦は力を蓄え形勢逆転、最終的に項羽を滅ぼし漢を建てる。 ・鴻門の会で劉邦を取り逃がしたことを范増が悔しがった、という。 ◎交渉学観点からのポイント ・窮地では「軍門に下る」「回避する」といった選択が重要な場合がある。 ・信頼関係の厚い仲間(張良・樊噲など)の存在が局面転換に寄与する ------ お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、『⁠⁠交渉アナリスト⁠⁠』のサイトをご覧ください。

    14 min
  5. 2 OCT

    #104 史記で学ぶ交渉学①「鴻門の会」前編 安藤雅旺

    「交渉学教科書」シリーズに続く新企画。今回は「史記」を手がかりに、歴史の名場面から交渉の本質を読み解きます。初回は、楚漢戦争の帰趨を左右した「鴻門の会」に入る前提整理。司馬遷が「史記」を編み上げるに至った背景、秦末の混乱、そして項羽と劉邦の性格対比が、のちの交渉の運命をどう形づくったのかを押さえます。 【TODAY’S TOPICS】 ◎企画のねらい ・歴史エピソードから「交渉の型」を抽出 ・物語→要因→原理の順に分解して実務に持ち帰る ◎『史記』と司馬遷の視座 ・父の遺志を継ぎ、宮刑を経ても編纂を続けた執念 ・人物中心の叙述=意思決定と関係性にフォーカス ◎秦の統一と崩壊(前提整理) ・法家一辺倒+苛政で「恐怖の秩序」に依存 ・情報遮断と現場乖離→反乱の連鎖へ ・短命政権の教訓「支配はできても合意は育たない」 ◎楚漢の幕開けと二人のキャラ設計 ・項羽=即断即決・名誉重視・威信で押す ・劉邦=目的可変・関係重視・逃げの設計も武器 →同じ目的でも「何を重視するかの優先順位」と「交渉スタイル」が真逆 ◎始皇帝を前にした「ひと言」の読み方 ・項羽「取って代わるべき」=衝動と覇気の自己開示 ・劉邦「男子たるもの、かくあるべし」=抱負を示しつつ曖昧さを残す →短い発話ににじむ、合意形成の作法の差 ------ お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、『⁠交渉アナリスト⁠』のサイトをご覧ください。

    14 min
  6. 18 SEPT

    #102 孫子で読む交渉学⑩「虚実篇」その3 窪田恭史

    日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストに迎え、「孫子の兵法で読む交渉学」シリーズ第10回をお届けします。テーマは引き続き『虚実篇』。今回は「交渉にどう活かすか」をさらに深め、アンカリング・譲歩・情報収集という3つの視点から整理しました。 「最初に数字を提示するかどうか」で交渉の流れが変わる。アンカリング効果の実例から始まり、譲歩の幅を徐々に狭める戦略、中国戦国時代の「馬陵の戦い」の逸話へとつながります。そして、情報を制するものが交渉を制することを、孫子の用間篇や「彼を知り己を知れば百戦危うからず」の言葉を引きながら解説。キッシンジャーのベトナム和平交渉やIBMによるロータス社買収など、歴史と現代事例を交えて「情報こそ交渉の命綱」であることを伝えています。 ◎窪田恭史氏のご経歴 日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事 ナカノ株式会社 代表取締役 日本古着リサイクル輸出組合 理事長 表情分析、FACS認定コーダー 日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター 早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。 【TODAY’S TOPICS】 ◎虚実篇を交渉に活かすための3つの視点 ① アンカリング効果  ・最初に提示される数字が基準となり、相手の判断を左右する。  ・「提示は先手か後手か」を状況に応じて選択する重要性。  ・実体験エピソード(インドでの値段交渉)から見える心理作用。 ② 譲歩の原則 ― 3つの鉄則  1. いきなり大幅な譲歩をしない。  2. 少しずつ幅を狭めるように譲歩する。  3. 金額は「端数」で提示することで説得力を高める。(※端数効果) 事例紹介:馬陵の戦いに学ぶ「虚を作る」戦略  ・兵力が減っていると錯覚させて相手を誘い込み、伏兵で逆転する孫臏の戦略。  ・交渉でも、譲歩を小さく積み重ねることで「もう余地がない」と相手に思わせ、実際には主導権を握る。 ③ 情報収集と意思決定のプロセス  ・相手の立場・利害・背後関係を把握することが交渉設計の前提。  ・孫子が「用間篇」でスパイの重要性を説いたように、情報は交渉の命綱。 事例紹介: 歴史と現代事例に見る情報戦  ・キッシンジャーがベトナム和平交渉で、ソ連や中国まで視野に入れた圧力設計。  ・IBMがロータス社買収で、経営陣の対立や株主心理を突き、有利に交渉を進めた事例。 --------- お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてさらに詳しく知りたい方は、⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠「交渉アナリスト」⁠の公式サイト⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠もぜひご覧ください。

    7 min

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交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。 ◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版 ◎聞く人:星野良太/人まず株式会社代表/NPO法人日本交渉協会 幹事/声メディアWorkTeller主催/著書:「コロナ時代にオンラインでコーチングをはじめてみた。」 【運営】 日本交渉協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。 【関連資格】 交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。

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