12 episodi

日本の昔話をみじかめにお届けしています。

日本みじかい昔話・珍獣の館ポッドキャスティング 珍獣ららむ~

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日本の昔話をみじかめにお届けしています。

    はなたれ地蔵(はなたれじぞう)

    はなたれ地蔵(はなたれじぞう)

    はなたれ地蔵

     あるところに、たいそう働き者のお爺さんがおりました。ある日お爺さんは、山で見慣れないお地蔵さんをみつけました。不思議なことに、そのお地蔵さんはしきりに鼻水をたらしておられます。鼻水が地面に落ちて、小川になっていました。

     お爺さんが、川の水をすくって飲んでみると、その美味いこと。仕事の疲れがすっかりとれてしまいました。お爺さんはお地蔵さんを担いで帰り、奥の間にすえると、鼻水を丼で受けて、毎日一杯ずつ飲みました。するとどうでしょう。お爺さんは日に日に若返って元気になっていきました。

     それを見ていたお婆さんは、お爺さんが奥の間に何を隠しているのか知りたくなってのぞいて見ました。すると、そこにはお地蔵さんがいて、足元に置いた丼の中に鼻水をたらしておられます。

     その鼻水を飲んでみると、曲がっていた腰はしゃんとのびて、こころなしか手足のしわも少なくなったような気がします。それに、なんて美味しい水でしょう。お婆さんは丼の水を全部飲んでしまいました。

     お婆さんは、もっと水が欲しくなって、お地蔵さんの鼻に焼け火箸を突っ込みました。鼻の穴を広げたら、もっと鼻水が出てくるんじゃないかと思ったのです。

     すると、お地蔵さんは半眼につぶった目をかっと見開いてビョーンと跳びあがり、屋根を突き抜けてどこかへ飛んで行ってしまいました。お爺さんが山へ様子を見に行くと、お地蔵さんはもとの場所に立っていましたが、もう鼻水をたらすことはありませんでした。

    • 5 min
    鬼と若者(おにとわかもの)

    鬼と若者(おにとわかもの)

    鬼と若者
     むかし、若い猟師が狩りに出たおりに、鬼が出てきて猟師を追いかけてきました。猟師が慌ててヨモギの原っぱに逃げ込むと、鬼はそれを見て「火じゃ、火がぼうぼう燃えておるぞ」といって近づいて来ませんでした。ヨモギの葉っぱが炎の形に似ていたからです。

     しかし、いつまでも隠れているわけにはいきません。猟師は意をけっして原っぱから飛び出しましたが、鬼のほうもすぐに気づいて追いかけてきました。どんどん逃げていって、今度はショウブの茂みに飛び込むと、鬼は「剣が生えているぞ。あいつはなんで平気なんじゃ」と言って、やはり近づいてきませんでした。ショウブの葉っぱが剣の形に似ていたからです。

     そこで猟師がショウブの葉を持って茂みの外へ出てくると、鬼は「剣が歩いてくる」といって震えながら逃げていきました。

     ちょうどその日は五月五日だったので、それからというもの、村のものたちは鬼を追い払うために、五月五日の端午の節句にヨモギとショウブを軒先につるすようになりました。

    • 3 min
    菖蒲湯のはじまり(しょうぶゆのはじまり)

    菖蒲湯のはじまり(しょうぶゆのはじまり)

    菖蒲湯のはじまり
     ある娘のところに、毎夜うつくしい男が通ってきました。身なりも言葉づかいも立派で、身分ありげな人でしたが、誰もその人の名前を知らず、どこから来るのかもわかりませんでした。

     やがて、娘に赤ん坊ができて、日ごとにお腹が大きくなっていきます。娘の母親は娘に糸を通した針を手渡して
    「これをあの方の着物に刺しておくんだよ」
    と教えました。

     次の朝、男が立ち去ったあとには糸が垂れていました。糸をたぐりながら男のあとをつけてみると、そこは山奥で、男は大きな蛇の本性を出して独り言をいっています。
    「わしの命も長くない。しかし娘の腹にはわしの子がいる。あの娘が菖蒲湯に入らなければいいが…」

     それを聞いた母親は、さっそく娘を菖蒲湯にいれました。すると、娘の腹から蛇の子がダラダラと落ちてきて死んでしまいました。それからというもの、一年に一度、端午の節句には魔よけの菖蒲湯に入るようになったということです。

    • 4 min
    大男の山造り(おおおとこのやまづくり)

    大男の山造り(おおおとこのやまづくり)

    大男の山造り
     それは昔、日本にまだ天をつくような巨人がいた頃のお話。上野の国の大男と駿河の国の大男が山をつくる競争をしました。どちらの巨人も力持ちで、ものすごい勢いで山を作っていきますが、ほんの少しだけ上野の山のほうが小さかったのです。

     それでも上野の巨人は必死で土を運びましたが、あとひともっこで駿河の巨人に勝てそうになった時、とうとう一番鶏がないて夜があけてしまいました。

     駿河の国の巨人が作っていたのは富士山で、富士山を作るのに掘った場所は、今では甲府盆地と呼ばれています。

     上野の巨人が作っていたのは、榛名富士という山です。負けた悔しさで取り落とした最後の土はヒトモッコ山という小山になって、今でも榛名富士の下にあります。また、榛名富士を作るのに土を掘ったところは榛名湖という湖になったと言うことです。

    • 4 min
    本殺しと半殺し(ほんごろしとはんごろし)

    本殺しと半殺し(ほんごろしとはんごろし)

    本殺しと半殺し
     江戸から来たお侍が山の中で道に迷いました。やっとみつけた家に泊めてもらうと、夜中に老夫婦が何か話をしています。

    「明日は本殺しがいいかのう、お手討ちがいいかのう」
    「江戸の人だから半殺しがよかんべ」

     本殺しに半殺し、お手討ちとはまた物騒な話です。さては鬼の住み処だったのかと、お侍はぶるぶるふるえながら朝を迎えました。

     次の朝、お侍が起きてみると老婆がにこにこしながら言いました。「さあ半殺しを召し上がれ」出てきたのは美味しそうなボタモチでした。

     ボタモチは小豆を半分殺した粒餡の半殺し、おはぎは漉し餡なので本殺し。手討ちは手打ちソバのことだと聞いて、お侍さんはやっと安心して大笑いしたそうです。

    • 3 min
    子守唄内通(こもりうたないつう)

    子守唄内通(こもりうたないつう)

    「子守唄内通」
     六部というのは、旅をしながらお寺でお経をあげて、道行く人たちから小銭をもらって暮らしている坊さんのことです。
     ある日、六部さんが民家に宿をたのんだところ、その家の人たちは貧しい身なりの六部さんを喜んで迎えて、ご馳走と、あたたかい布団を用意してくれました。
     その夜、六部さんがふと目を覚ますと、どこからか子守娘の声が聞こえてきます。

    「リンカージンとカージンが
     ゴンすることをモンすれば
     リョソウをセッすとゴンするぞ
     クサのかんむりおっとって
     ヤマにヤマをかさねべし
     ねんねんころころねんころろん」

     まるで意味のわからない歌です。六部さんはすっかり目がさえてしまい、歌の意味を考えはじめました。
    「山に山を重ねよというのは"出"という文字のことかのう。おお、そうじゃ、それなら草の冠をとれば"早"という字になる。リンカージンは隣の家の人で、カージンはこの家の人ではないかな」
     そこまで思いつくと、六部さんはあわてて荷物をまとめて逃げだしました。子守娘の歌は「隣の家の人と、この家の人が、言っているのを聞いたなら、旅の僧を殺すと言っている。早く出て行け」という意味だったのです。
     この家の者は、六部さんがあちこちでもらった小銭を横取りしようと、わざと親切にしてくれたのです。そのたくらみを聞いた子守娘が、誰にもわからないように歌にして教えてくれたのでした。

    • 5 min

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