11本のエピソード

平成25年7月22日より配信された「男と女」シリーズ(全11回)をまとめて配信します。

男と‪女‬ 武田邦彦

    • 社会/文化
    • 3.5 • 27件の評価

平成25年7月22日より配信された「男と女」シリーズ(全11回)をまとめて配信します。

    【男と女】 心を失った男とそれを追う女

    【男と女】 心を失った男とそれを追う女

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    1955年と言えば戦後、10年たち、ようやく産業も活発になって「集団就職」が始まった年でもあった。多くの若い人が地方から東京、大阪へ移動し、故郷、親元、友人から離れて一人、頑張った。その頃、三橋美智也という歌手が「リンゴ村から」をうたっている。



    ・・・覚えているかい、故郷の村を、便りも途絶えて、幾年過ぎた・・・



    で始まる叙情豊かな歌だ。多くの男性が心の底から叫び、故郷を思い、日本の高度成長を支えた。生活は見る見るうちに豊かになっていったが、そこで働く男性の心は大きく変わっていく。



    それから20年、高度成長が一段落した1975年、太田裕美というアイドル歌手が「木綿のハンカチーフ」を歌う。この哀しい歌を太田裕美が楽しげに感情を入れずに歌ったことが大ヒットとなった。



    ・・・恋人よ ぼくは旅立つ東へと向う列車で
    はなやいだ街で 君への贈りもの探す 探すつもりだ
    いいえ あなた 私は欲しいものはないのよ
    ただ都会の絵の具に染まらないで帰って 染まらないで帰って・・・



    女性と男性の語り掛けが互いに絡み合う歌詞の中で徐々に男性の心が故郷から離れ、東京へ傾いていくことを女性が知ってあきらめていく・・・この頃、まだ「男性」という存在があったことを示している。でも、高度成長という出来事は男の心から人間を奪ってしまった。どうしてもお金の魅力には勝てなくなったのだ。



    ・・・恋人よ 君を忘れて変わってく ぼくを許して

    毎日愉快に 過ごす街角 ぼくは ぼくは帰れない
    あなた 最後のわがまま 贈りものをねだるわ

    ねえ 涙拭く 木綿のハンカチーフ下さい ハンカチーフ下さい



    「リンゴ村から」では男性自身が故郷離れがたい気持ちを持ち、それに苦しみながら働く。人生においてお金は大切だが、それより故郷の方がもっと重要であることを感じている。強く女性を愛し、家族を守る決意のある男性ばかりだった。



    しかし、高度成長が終わると、男性は人間としての心を失いかける。故郷の恋人の面影はちらつくけれど、それより目の前のお金や都会の喧騒に心を奪われていくのだ。



    崩壊は働く男の心から始まり、次第に日本社会全体に広がっていく。1990年を境に赤字国債、年金崩壊、それに幻想としての環境問題が始まり、ついに「悩みながら額に汗して働く」男性は姿を消し、人のお金を狙う男性だけが台頭してくる。



    そんな世相の変化の中、2012年、Ms.OOJAさんが “Be…”のシングルを出す。そこには、すでに男というものがこの世にいないことを感じながら、でもまだ未練がある、そんな未来を見ているようだ。



    ・・・もっと強くなれば孤独さえも消え去っていく そう思っていたけど・・・



    もうこの世に男性はいないのだ、それはわかっているけれど、まだ心の中は相手のいる人生を求めている・・・心の葛藤はその中にある。



    男性が心を取り戻すだろうか? 女性は離れていくのだろうか?



    (平成25年11月29日)

    • 8分
    【男と女】 女性団体や女性指導者の作戦失敗ではないか?

    【男と女】 女性団体や女性指導者の作戦失敗ではないか?

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    女性の生活を見ていると実に忙しい。特に仕事を持っている女性を見ると、仕事に全力を注ぎ、それから買い物をしたり家事をし、お子さんの世話をする。てんてこ舞いだ。



    しかし、お子さんが順調に育っても、大人になってから不幸になったら努力も半分は報われない。でもその可能性が高い。かつて「男性がやっていたこと」を「男性も女性と同じことをやれ」という要求があるので、男性はこれまでやっていたことを全部やめて、ほとんどなにもやっていない。それが子供たちに大きなダメージを与えるだろう。



    今年生まれた赤ちゃんが37歳になるとき(2050年)、就職率は30%になり、10人に7人は仕事がない人生を送ることになる。忙しい女性に37年後の仕事を確保する行動をとる時間があるだろうか?



    原発からの核燃料はすでに130万本も日本列島に隠されている。今のところ、この廃棄物はすべて次世代の課題となる。親が出した廃棄物を子供が片づけることになるが、これも忙しい女性ができるのだろうか?



    中国は尖閣諸島に攻勢をかけ、人民日報(政府機関紙)には「沖縄は中国領だ」という論文を掲載した。これも37年後には、尖閣諸島の石油、沖縄、もしかすると長崎を失うが、それに対して長期戦略(軍事とは限らない)をたてる余裕が女性にあるだろうか?



    年金が破たんし、近い将来、1.4人の子供が1人のお年寄りを見ることになり、過重な負担にあえぐ。また国民から借りたお金を政府が踏み倒す計画で、増税が続く。「子孫に負担をかけない」と言っているが、実はすべては子供たちが支払うことになる。



    ・・・こんなことが目白押しで、どれ一つとして解決していない。子供たちの未来には悲惨な社会が待っているけれど、男が子育てをしていて大丈夫なのだろうか?女性は「自分と同じことを男がやれ」と言っているけれど、それは本当に子供のためになる方針なのだろうか??



    私は女性がもっと慎重に全体を見渡して、子供の将来のことを考えてほしいと思っている。なにか男に対する対抗心のようなものを感じるときがあるが、男と女はケンカするのでも、対抗するのではなく、協力して幸福をつかむものだ。



    なにか「幼稚な男性」を作りすぎているような気もする。



    (平成25年11月13日)

    • 12分
    【男と女】 一夫一妻制では離婚は禁止?!

    【男と女】 一夫一妻制では離婚は禁止?!

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    10匹のメスのサカナと子供たちの群れが泳いでいる。そこに敵が現れるとメスと子供だから抵抗もできずに皆殺しとなる。それでは生きていけないので、10匹のメスのうちもっとも体の大きなメスがオスに性転換する。



    サカナぐらいになると性転換は比較的、容易で、性器もでき筋肉も発達して立派なオスになる。オス1匹とメス9匹で平和に過ごしていたら敵がやってきた。今後は、オスが立ち向かい、その隙にメスは子供とともに岩陰に隠れる。



    かくして魚の群れは壊滅せずにその生命を保つことができる。ところが戦いだから武運拙く敗れて死ぬことがある。そうすると残された9匹のメスはまた同じ運命をたどらざるを得ない。



    そこで、残った9匹のメスのうち体が一番大きなメスがオスに性転換して群れを守る。かくして一夫一妻ではオス1匹とメス10匹ぐらいで群れを作って生きる。これが生物の一つの形なので、小学校の理科の副読本などにも乗っている。



    ところで、一夫一妻の場合はどうだろうか? たとえばオオカミを例にとってみる。オオカミは結婚すると生活の基礎となるなわばりを作る。おおよそ10キロメートル四方で、その中で獲物をとり敵を撃退する。子供を産み育てるのがメスの仕事であり、オスは縄張りを確保し、食料をとり、そして敵を撃退する。



    子供が成長してやがて娘は嫁いでいく。幸福な人生を送る娘もいれば、夫が敵との戦いに敗れて死ぬ場合もある。そうすると嫁いだ娘も同時に死ぬことになる。動物は命と体があるだけでは生きることができない。土地や食べ物が必要だからだが、それをメスが確保することはオオカミの場合はできない。



    そこで、娘は親元に戻る。その時にもし両親が離婚していると娘は帰るところを失い、死ぬ。多くの生物では「命」と「生きる場所」が必要となる。一夫多妻ならボスオスが生きる場所を確保し、一夫一妻なら夫が生きる場所を確保する。人間なら国家や殿様ということになる。



    オスとメスの両性で生活し子孫を残すという生物の一つに人間がいる。人間も昔は一夫一妻制だったり、一夫多妻制だったりしたが、その役割は生物と同じだった。ところが人間は「頭脳」があるので、必ずしも本能の命ずるままには生きることができない。



    せっかく20歳の時に男女の数を同じくしているのに、結婚しない男女がいたり、結婚しても離婚する人もいる。これも人間が不完全な頭脳で本能を抑えているからだ。人間の次に現れる生物が、本能を頭脳で実現するようになるのか、それとも反対に本能がさらに低下して頭脳だけで行動するようになるのかは、今のところ不明である。



    (平成25年11月12日)

    • 6分
    【男と女】 女の子育て、男の子育て・・・ボンヤリと・・・・

    【男と女】 女の子育て、男の子育て・・・ボンヤリと・・・・

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    女(母親など)の子育ての原理は「バッシング子育て」であり、男(父親など)の子育ては「芋づる子育て」だ。どちらが良いということはなく、両方あって始めて正しい子育てができる。

    「子育て」のようなものは「将来にその成果がでる」というものなので、とても難しい.時に「理論」が先走ってとんでもない結果になることがある。その一つが「抱き癖と自閉症」である。

    自閉症は未だにその病態の全体像が明らかになっているわけではないが、母子の分離、抱き癖などとの関係が強調され、今ではそれらの対策が間違いだったと指摘される事も多くなってきた.

    でも、子どもにとっては大人の人体実験の犠牲になるようなもので、昔からの養育方法と違う方法を採るときには、理論や自分の狭い体験を強調することなく、徐々にゆっくりと養育、育児、教育を変えていく必要がある。急いではいけない.

    間違った養育法や教育法の多くは、功を焦った学者が理論に基づき、また少数の例(たとえば私の子どもは・・・という類い)を強調することによって起こったことが多いが、子どもには取り返しがつかない.

    子どもは昔から、お母さんとお父さんに育てられる.接触機会は圧倒的に母親、そしてときどき雷が落ちるのは父親だったし、一方、細々と注意を受けるのは母親、たいていの事をしても起こらないのが父親だった。

    そして、正しい子育ては父親と母親のやり方が違うことが正しかった.しかし、草食系男子と強い母親の登場で、「母親が正しいと思う教育法」が幅を利かせている.でも、それが本当に子どもによいのかかなり怪しげである.

    母親は「バッシングタイプ・・・ダメ!」、父親は「芋ずるタイプ・・・なかなか良いな」という特徴がある。少し前までは母親の権限が多くなったのでバッシングタイプが増え、最近では「何でも褒める」というなにか判らないような中性的な指導方法が流行している.

    「叱らない教育」というのがそれにあたるが、私はかなり危惧している。私が正しい教育方法を知っているわけではない。ただ、数年前に出てきたような教育方法は「達成度評価」・・・その子が大人になったときにどうなるかが判っていない・・・という点で誰でも良いか悪いかが判らない状態なのだ.

    (平成25年10月20日)

    • 7分
    【男と女】 マルチタスクと一心不乱

    【男と女】 マルチタスクと一心不乱

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    生物がオスとメスに別れたのはそれなりの理由がある。そしてオスメスに別れた後、生存競争(淘汰)の戦いに勝ったのは、「オスとメスが分業する」という生物だった。

    メスが子どもを生んで育てるのに、オスが単に精子を供給するだけなら、その種の力は半分になってしまう。そこで、生物種によっても少し違うけれど、1)戦う、2)餌を採る、3)精神的な支えになる、4)家族を守る、などをオスがする。

    メスは一般的に、「産んで育てる」のに忙しく、すべてをするのは大変だということだ。だから「産んで育てる」こと以外のことはオスがする生物種が競争に勝ってきた。今、人間社会では「役割分担」が禁句のようになっているが、「自然に生きる」なら「役割分担」こそが男女の幸福をもたらすと言っても良い。

    「役割分担」の仕組みが悪いと「不平等」になるけれど、それは「役割分担」自身の問題ではなく、社会の仕組みが悪いと「良い役割分担」でも「不平等」になるということだ。

    その結果、動物のオスとメスの脳の構造は大きく変わった。メスは常にあらゆる事を観察し行動しなければならないので、「マルチタスク頭脳」を持っている。自分の目の届くところを中心に、良く観測し、正しく対応できる。人間なら子どもに言語を教えるための言語野も発達した。

    これに対してオスは「一心不乱頭脳」になった。獲物を追いかける、命をかけて戦う、絶対に群れや家族を守る、というような行動は、中途半端になると崩壊するし、命を落とす。

    だから、人間でも男と女が考える事は全く違う。違うのに意見を合わせようとするからもめる。家庭のことは女が決め、外枠は男が決める、意見の分担をシッカリすれば夫婦ケンカはなくなる。

    (平成25年10月20日)

    • 9分

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