1 時間18分

倫理記号の恣意性④リバタリアニズ‪ム‬ 考える塾 in TAIPEI

    • 哲学

 歴史の教科書には、国王や貴族に奴隷的拘束を強いられていた民衆が、自らの選択と決断によって生きる「自由」を求めて革命を起こす姿が記されています。イギリスの市民革命やアメリカ独立戦争やフランス革命は、近代社会の誕生を象徴する出来事ですが、これらの革命で人々が獲得を目指した最も重要な権利は「自由」でした。そして、権力によって奴隷的に拘束される牢獄のような状態は否定され、自らの意志で行動できることが、現代の人権思想の根本原理となったのでした。
 しかし、社会全体の利益を追求する時には、この「自由」が制限されても仕方がないという考え方もあります。例えば、感染力の高いウィルスが流行して人々の命を脅かす時、人間の自由な移動・行動がその繁殖を拡大してしまうなら、それは制限されなければならないという考えです。あるいは、社会全体の発展を促進するためには、指導者が強い権限を発揮して様々な政策を進めていかなければならないため、その体制に批判的な言動は厳しく取り締まるべきだという考えです。
 こうした「最大多数の最大幸福」を追求する考え方に対し、それよりも個人の「自由」が優越するとして、他者の自由を制限しない限りどんな行動も認められるべきだと考える思想を「自由至上主義・リバタリアニズム」と言い、この思想を掲げる人々はリバタリアンと呼ばれています。
 リバタリアンは、自由を制限するどんな制度も法律も慣習も宗教も全て排除していくべきだと主張し、国家による道徳的規制に反対します。そして、職業選択の自由、信仰の自由、言論の自由、婚姻の自由が認められるべきであるように、働かない自由、信仰を否定する自由、性的・暴力的表現をする自由、同性婚の自由を越えて他の動物と婚姻する自由なども、制限されてはならないと考えます。妊娠中絶が制限されるべきでないのと同様に、自殺する自由や、依頼されれば自殺を助ける自由も人間にはあり、命を捨てても自分の臓器を売る自由さえあると言います。
 彼らは、国家による経済的自己選択権の侵害を強く批判し、福祉政策のために税金や社会保険料が徴収されることに反対しています。貧しい人々や身体的ハンディキャップを持つ人々の救済は、国家がやらずとも、マイクロソフト創始者のビル・ゲイツや大投資家ウォーレン・バフェットなどの富豪が自ら好んで行うため、税の徴収による労働意欲や消費意欲の抑制は経済にとって害があるだけだと言うのです。
 世界一の先進国であるアメリカ合衆国に現在も公的健康保険制度が無いのは、こうした原理的な自由主義に対する強い信仰があるためだと考えられます。

 歴史の教科書には、国王や貴族に奴隷的拘束を強いられていた民衆が、自らの選択と決断によって生きる「自由」を求めて革命を起こす姿が記されています。イギリスの市民革命やアメリカ独立戦争やフランス革命は、近代社会の誕生を象徴する出来事ですが、これらの革命で人々が獲得を目指した最も重要な権利は「自由」でした。そして、権力によって奴隷的に拘束される牢獄のような状態は否定され、自らの意志で行動できることが、現代の人権思想の根本原理となったのでした。
 しかし、社会全体の利益を追求する時には、この「自由」が制限されても仕方がないという考え方もあります。例えば、感染力の高いウィルスが流行して人々の命を脅かす時、人間の自由な移動・行動がその繁殖を拡大してしまうなら、それは制限されなければならないという考えです。あるいは、社会全体の発展を促進するためには、指導者が強い権限を発揮して様々な政策を進めていかなければならないため、その体制に批判的な言動は厳しく取り締まるべきだという考えです。
 こうした「最大多数の最大幸福」を追求する考え方に対し、それよりも個人の「自由」が優越するとして、他者の自由を制限しない限りどんな行動も認められるべきだと考える思想を「自由至上主義・リバタリアニズム」と言い、この思想を掲げる人々はリバタリアンと呼ばれています。
 リバタリアンは、自由を制限するどんな制度も法律も慣習も宗教も全て排除していくべきだと主張し、国家による道徳的規制に反対します。そして、職業選択の自由、信仰の自由、言論の自由、婚姻の自由が認められるべきであるように、働かない自由、信仰を否定する自由、性的・暴力的表現をする自由、同性婚の自由を越えて他の動物と婚姻する自由なども、制限されてはならないと考えます。妊娠中絶が制限されるべきでないのと同様に、自殺する自由や、依頼されれば自殺を助ける自由も人間にはあり、命を捨てても自分の臓器を売る自由さえあると言います。
 彼らは、国家による経済的自己選択権の侵害を強く批判し、福祉政策のために税金や社会保険料が徴収されることに反対しています。貧しい人々や身体的ハンディキャップを持つ人々の救済は、国家がやらずとも、マイクロソフト創始者のビル・ゲイツや大投資家ウォーレン・バフェットなどの富豪が自ら好んで行うため、税の徴収による労働意欲や消費意欲の抑制は経済にとって害があるだけだと言うのです。
 世界一の先進国であるアメリカ合衆国に現在も公的健康保険制度が無いのは、こうした原理的な自由主義に対する強い信仰があるためだと考えられます。

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