松本 尚「クラスタコンピューティング」 「8語で論じる情報学」平成17年度市民講座
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スーパーコンピュータと言えばクレイ博士が考案したベクター方式の計算機の代名詞でした。米国で考案された方式ですが、日本もこの分野での開発を精力的に進めて、ここ10年近くは日本製のベクター計算機が世界最高速のスーパーコンピュータの座を占めていました。最近まで、世界最高速の計算機システムの座を守っていた日本の地球シミュレータはベクター方式の計算機を複数組み合わせたシステムです。一方、1990年代より、半導体の高速動作の限界、開発費用の問題、発熱の問題から、単体の計算機を速くするのではなく、普通の計算機をたくさん束ねて全体で高い性能を達成しようというスカラー方式のスーパーコンピュータが登場しました。つい最近、地球シミュレータの性能を抜いた米国のブルージーンはまさにこのスカラー方式の計算機です。多くの実がなった葡萄の房(クラスタ)に例えて、スカラー方式は別名クラスタコンピューティングと呼ばれています。スカラー方式のスーパーコンピュータは中央演算装置としてパソコンのCPUを流用しています。逆に言えば、クラスタコンピューティングは複数台のパソコンを組み合わせるだけで、お手軽に実現できてしまいます。性能を高めるためには接続するパソコンの数を増やすだけでいいのです。本講座では、クラスタコンピューティングの仕組みを簡単に説明し、その利点や限界と将来展望について解説します。
スーパーコンピュータと言えばクレイ博士が考案したベクター方式の計算機の代名詞でした。米国で考案された方式ですが、日本もこの分野での開発を精力的に進めて、ここ10年近くは日本製のベクター計算機が世界最高速のスーパーコンピュータの座を占めていました。最近まで、世界最高速の計算機システムの座を守っていた日本の地球シミュレータはベクター方式の計算機を複数組み合わせたシステムです。一方、1990年代より、半導体の高速動作の限界、開発費用の問題、発熱の問題から、単体の計算機を速くするのではなく、普通の計算機をたくさん束ねて全体で高い性能を達成しようというスカラー方式のスーパーコンピュータが登場しました。つい最近、地球シミュレータの性能を抜いた米国のブルージーンはまさにこのスカラー方式の計算機です。多くの実がなった葡萄の房(クラスタ)に例えて、スカラー方式は別名クラスタコンピューティングと呼ばれています。スカラー方式のスーパーコンピュータは中央演算装置としてパソコンのCPUを流用しています。逆に言えば、クラスタコンピューティングは複数台のパソコンを組み合わせるだけで、お手軽に実現できてしまいます。性能を高めるためには接続するパソコンの数を増やすだけでいいのです。本講座では、クラスタコンピューティングの仕組みを簡単に説明し、その利点や限界と将来展望について解説します。
57分