45分

第149回 言葉を翻訳することで解放されていく「十六の言葉」ナヴァー・エブラーヒーミー‪著‬ 文学ラジオ空飛び猫たち

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【今回の紹介本】
『十六の言葉』ナヴァー・エブラーヒーミー著、酒寄進一訳、駒井組
https://amzn.asia/d/hfQ6T1Z

パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください!

イランを知らなくても入りやすい/新鮮に読める現代的な作品/著者&作品紹介/駒井組について/ペリシア語の言葉をドイツ語に翻訳する主人公モウナー/イランとドイツの間で揺れる/モウナーががおばあちゃんに振り回される/ネタバレなしでストーリー紹介/読後の感想/イランの不穏さを随所に感じる/イランの葬儀は7日間/イランの美容文化と恋愛観/「父さんが水をくれた」の章に感動/特派員と移動するシーン/タクシー運転手との会話/次回予告

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版元ドットコムより
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21世紀世界文学の最先端がここに。ドイツ語圏の移民文学の旗手が書いたデビュー作、ついに邦訳。三つの文学賞を受賞した注目の小説です。

イランで生まれドイツで育った女性モウナーが主人公。彼女の心の軌跡が大変見事に描かれた作品です。祖母の葬儀に出席するために母とイランに戻ったモウナーは、その旅の間に自分の人生を振り返ります。イスラーム文化とドイツ文化のはざまで、自分を見失うことなく生きていく重要性を改めて認識するのです。思い出すのはもちろん亡くなった祖母のこと。仲のよかったドイツ人の旧友のことも記憶に蘇ります。父はイランからドイツに亡命し、最後は失意のうちに亡くなりました。20代でしばらくイランで過ごした時に知り合った人たち。やがて自らの出生に関わる衝撃的な事実が明かされることになります。

タイトルの「十六の言葉」はペルシャ語です。ドイツでドイツ語を日常的に使って生活をしている彼女にとって,ペルシャ語は、難しい位置にあります。

「誰しも人生で最初に覚える言葉がある。その言葉が見事に私を不意打ちにした。ちょうど、ここで取りあげる十六の言葉と同じように。その言葉から身を守ることは、ただの一度も成功したことがない。『ほかにも言語はあるんだぞ。おまえの母語だ。おまえがいま口にしているのがお前の言語だと思ったらまちがいだ』十六の言葉は繰り返しそういうメッセージを送りつけてきた。私は何度も何度もその十六の言葉を突きつけられてきた。」(プロローグより)

著者自身も幼い時に母親とイランからドイツに移住しています。この物語には恋愛もあり、文化の葛藤もあり、そして死もあります。二つの言語の狭間で成長していくことが、どんな困難を引き起こすのか、これは私たちから遠い物語ではありません。今日の世界で様々な形で起きていることですが、この小説はそれを昇華させた見事な文学作品として読むことができます。

【お知らせ】
Amazon Audible限定配信のPodcast番組「ゆかいな知性 文学編」にダイチがパーソナリティとして出演いたします!トーク形式の番組で、ダイチのお相手となるのは彗星読書倶楽部の森さんという方です。初回放送は12/8(金)で、今後半年間、毎週金曜日に文学編が配信されるので、Amazon Audibleを聴ける方はぜひお見逃しなく!

【文学ラジオ空飛び猫たちを初めて聞く人向けのnote記事】
声で届ける文学!Podcast番組「文学ラジオ空飛び猫たち」

【今回の紹介本】
『十六の言葉』ナヴァー・エブラーヒーミー著、酒寄進一訳、駒井組
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パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください!

イランを知らなくても入りやすい/新鮮に読める現代的な作品/著者&作品紹介/駒井組について/ペリシア語の言葉をドイツ語に翻訳する主人公モウナー/イランとドイツの間で揺れる/モウナーががおばあちゃんに振り回される/ネタバレなしでストーリー紹介/読後の感想/イランの不穏さを随所に感じる/イランの葬儀は7日間/イランの美容文化と恋愛観/「父さんが水をくれた」の章に感動/特派員と移動するシーン/タクシー運転手との会話/次回予告

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版元ドットコムより
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21世紀世界文学の最先端がここに。ドイツ語圏の移民文学の旗手が書いたデビュー作、ついに邦訳。三つの文学賞を受賞した注目の小説です。

イランで生まれドイツで育った女性モウナーが主人公。彼女の心の軌跡が大変見事に描かれた作品です。祖母の葬儀に出席するために母とイランに戻ったモウナーは、その旅の間に自分の人生を振り返ります。イスラーム文化とドイツ文化のはざまで、自分を見失うことなく生きていく重要性を改めて認識するのです。思い出すのはもちろん亡くなった祖母のこと。仲のよかったドイツ人の旧友のことも記憶に蘇ります。父はイランからドイツに亡命し、最後は失意のうちに亡くなりました。20代でしばらくイランで過ごした時に知り合った人たち。やがて自らの出生に関わる衝撃的な事実が明かされることになります。

タイトルの「十六の言葉」はペルシャ語です。ドイツでドイツ語を日常的に使って生活をしている彼女にとって,ペルシャ語は、難しい位置にあります。

「誰しも人生で最初に覚える言葉がある。その言葉が見事に私を不意打ちにした。ちょうど、ここで取りあげる十六の言葉と同じように。その言葉から身を守ることは、ただの一度も成功したことがない。『ほかにも言語はあるんだぞ。おまえの母語だ。おまえがいま口にしているのがお前の言語だと思ったらまちがいだ』十六の言葉は繰り返しそういうメッセージを送りつけてきた。私は何度も何度もその十六の言葉を突きつけられてきた。」(プロローグより)

著者自身も幼い時に母親とイランからドイツに移住しています。この物語には恋愛もあり、文化の葛藤もあり、そして死もあります。二つの言語の狭間で成長していくことが、どんな困難を引き起こすのか、これは私たちから遠い物語ではありません。今日の世界で様々な形で起きていることですが、この小説はそれを昇華させた見事な文学作品として読むことができます。

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声で届ける文学!Podcast番組「文学ラジオ空飛び猫たち」

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