
45本のエピソード

箱庭の朗読 - 青空文庫 Aya
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4.0 • 6件の評価
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青空文庫の朗読をしてます。最初はグリム童話から。
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#45 空とぶトランク - アンデルセン童話
むかしむかし、あるところに、ひとりの商人がいました。この人は、たいへんなお金持で、町の大通りをすっかりと、そのうえ小さな横町よこちょうまでも、銀貨でぎっしりと、しきつめることができるくらい、お金を持っていました。けれども、そんなことはしませんでした。もっとそれとはちがった、お金の使い方を知っていたのです。つまり、一シリング出せば、一ターレルもどってくる、というようなやり方です。この人は、そういうりこうな商人でした。――そのうちに、この人は死にました。
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#44 はたがの王様 - アンデルセン童話
いまからずっとずっとむかしのこと、ひとりの皇帝がいました。皇帝は、あたらしい、きれいな着物がなによりも好きでした。持っているお金をのこらず着物に使って、いつもいつも、きれいに着かざっていました。皇帝は、自分のあたらしい着物を人に見せたいと思うときのほかは、兵隊のことも、芝居しばいのことも、森へ遠乗りすることも、なにからなにまで、きれいさっぱり忘れているのでした。
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#41 朝のヨット - 山川方夫
曙あけぼのの色がほのかに東の空を染めて、間もなくその日の最初の太陽の光が、はるかな海面を錫箔すずはくのように輝かせた。洋上はまだ薄暗く、空と海の境もはっきりしなかったが、とにかく、海には朝が来ていた。
鴎かもめが一羽、そのヨットの上空で、ゆるやかに翼を上下していた。鴎は、まるでどこまでも離れない決心をしたもののように、そのヨットと方向と速度を一つにして、朝空を動くかなりの風の中を翔とびつづけた。 -
#40 妻に失恋した男 - 江戸川乱歩
わたしはそのころ世田谷警察署の刑事でした。自殺したのは管内のS町に住む南田収一みなみだしゅういちという三十八才の男です。妙な話ですが、この南田という男は自分の妻に失恋して自殺したのです。
カスタマーレビュー
優しい声
散歩のお共として毎日聞いております。
いつも有り難うございます。