3本のエピソード

コクヨ ワークスタイル研究所と黒鳥社がコラボレーションして展開するリサーチユニット/メディア「コクヨ野外学習センター(KOKUYO Centre for Field Research)」。
プロジェクトの第3弾は、サウンドクリエイター・サウンドデザイナーの森永泰弘さんのDJミックス「耳の野外学習」。「たたく」「ふく」「はじく」をテーマに、森永さんがここ数年アジアを中心にレコーディングしてきた民族の音楽や環境音をセレクト(アジアの音ではないものもいくつか含まれているが)し、ポストプロダクションでミキシングや電子的な加工を施しながら、リニアな音の時間を創造してくれました。

DJミックス by 森永泰弘
Produced by 若林恵
Commissioned by コクヨ野外学習センター

耳の野外学習【コクヨ野外学習センター‪】‬ コクヨ ワークスタイル研究所+黒鳥社

    • 社会/文化
    • 5.0 • 1件の評価

コクヨ ワークスタイル研究所と黒鳥社がコラボレーションして展開するリサーチユニット/メディア「コクヨ野外学習センター(KOKUYO Centre for Field Research)」。
プロジェクトの第3弾は、サウンドクリエイター・サウンドデザイナーの森永泰弘さんのDJミックス「耳の野外学習」。「たたく」「ふく」「はじく」をテーマに、森永さんがここ数年アジアを中心にレコーディングしてきた民族の音楽や環境音をセレクト(アジアの音ではないものもいくつか含まれているが)し、ポストプロダクションでミキシングや電子的な加工を施しながら、リニアな音の時間を創造してくれました。

DJミックス by 森永泰弘
Produced by 若林恵
Commissioned by コクヨ野外学習センター

    耳の野外学習#3|「はじく」 Hajiku/Pluck|Yasuhiro Morinaga

    耳の野外学習#3|「はじく」 Hajiku/Pluck|Yasuhiro Morinaga

    「たたく」「ふく」「はじく」とは、楽器またはモノを鳴らすための行為である一方、働くこと、生活すること、遊ぶための、最も原始的な人間本来の生きていくための営み=技術だといえるはずだ。今回のDJミックスは、そんなことを考えながら、ここ数年アジアを中心にレコーディングしてきた民族の音楽や環境音をセレクト(アジアの音ではないものもいくつか含まれているが)し、ポストプロダクションでミキシングや電子的な加工を施しながら、リニアな音の時間を創造した。
    人類学者たちは、調査地で現地語を学び、長期間地域に密着し、そこの情報をくまなく記述・記録した上で、ラボで検証・実験しながら論文や民族誌としてまとめあげていく。僕の場合は、現地の言葉もわからないし地域に密着しながら文字で記述をしていくような形も採用していない。むしろ楽器や音を軸に、その文脈や周縁を追い続けながらレコーディングしているに過ぎない。自身の目と耳を頼りに作品のゴールをゆるやかに想像しながら記録をし、素材を持ち帰ってスタジオで実験・検証しながら作品を制作していく過程は、どことなく人類学者の研究手法と似ている部分があることを以前から意識していた。
    コクヨ野外学習センターがどれだけ実践者としての自分を勇気づけてくれただろう。新型コロナウイルスの感染症が収束した後もきっと、僕自身はフィールドでの活動を継続しながら、音に対する実践を技術の視点から考えていくような作品を創作していくはずだ。(2021.2.7 森永泰弘)

    1:Playing Guembri, Gnawa sound
    Location: Marrakesh, Morocco
    Recorded: 26th August 2012

    この頃はヨーロッパを拠点にしていたので欧州圏内を移動するのがとても楽だった。そのため、友達と一緒にスペインを電車で横断し、最南端のタリファからジブラルタル海峡を船で渡り、半日かけてモロッコのマラケシュにやってきた。旧市街のジャマ・エル・フナ広場の夜は無数の屋台が立ち並び、至る所で音楽が演奏されていた。この広場を毎夜ウロウロしながらバイノーラル録音をしていると、広場で演奏していた若い音楽家と知り合い意気投合。ゲンブリという弦楽器のことを教えてもらい、グナワ音楽をいくつか即興で弾いてもらった。最終的にゲンブリを購入することになるのだが、空港のチェックイン時で重量オーバーとなったもののなんとか持ってこれた思い入れのある旅だった。

    2: Oh Dear Mother (played by Kong Nay)
    Location: Phnom Penh, Cambodia
    Recorded: 5th July 2015

    プロジェクトのリサーチでカンボジアの首都、プノンペンを訪ねた。マーケットで大量のカセットテープを購入したり、地域の音楽コミュニティーの人たちの話を聞いているうちに、メコン・デルタ・ブルースというジャンルがあることを知り、その代表格であるチャパイ奏者のコン・ネイを紹介してもらい、彼とのレコーディングが実現した。メコン川を渡った近くのパコダで10数曲をフィールドレコーディングしたが、そのなかでも一番のお気に入りが、ここに収録した「Oh Dear Mother」だ。

    3: Talimaa Talimaa (played by Tamaan Ensemble)
    Location: Pontianak, West Kalimantan of Borneo Island, Indonesia
    Recorded:30th March 2016

    カチャピは、ここに収録されているボルネオ島のものだけでなく、ジャワ島西部やスマトラ島など、東南アジア島嶼部で代表的なツィタ

    • 9分
    耳の野外学習#2|「ふく」Fuku/Blow|Yasuhiro Morinaga

    耳の野外学習#2|「ふく」Fuku/Blow|Yasuhiro Morinaga

    「たたく」「ふく」「はじく」とは、楽器またはモノを鳴らすための行為である一方、働くこと、生活すること、遊ぶための、最も原始的な人間本来の生きていくための営み=技術だといえるはずだ。今回のDJミックスは、そんなことを考えながら、ここ数年アジアを中心にレコーディングしてきた民族の音楽や環境音をセレクト(アジアの音ではないものもいくつか含まれているが)し、ポストプロダクションでミキシングや電子的な加工を施しながら、リニアな音の時間を創造した。
    人類学者たちは、調査地で現地語を学び、長期間地域に密着し、そこの情報をくまなく記述・記録した上で、ラボで検証・実験しながら論文や民族誌としてまとめあげていく。僕の場合は、現地の言葉もわからないし地域に密着しながら文字で記述をしていくような形も採用していない。むしろ楽器や音を軸に、その文脈や周縁を追い続けながらレコーディングしているに過ぎない。自身の目と耳を頼りに作品のゴールをゆるやかに想像しながら記録をし、素材を持ち帰ってスタジオで実験・検証しながら作品を制作していく過程は、どことなく人類学者の研究手法と似ている部分があることを以前から意識していた。
    コクヨ野外学習センターがどれだけ実践者としての自分を勇気づけてくれただろう。新型コロナウイルスの感染症が収束した後もきっと、僕自身はフィールドでの活動を継続しながら、音に対する実践を技術の視点から考えていくような作品を創作していくはずだ。(2021.2.7 森永泰弘)

    1: Balinese Suling Gambung Ensemble
    Location: Bali, Indonesia
    Recorded: 6th May 2019

    この音源は、インドネシアの女性演出家、カミラ・アンディー二によるバリ島の伝統思想を題材にした舞台作品「みえるもの、みえざるもの」で使用したもの。バリ島には笛や太鼓など様々な楽器を演奏できるマルチ・インストゥルメンタリストがたくさんおり、この音源以外にも島に根付く楽器や音楽を数多くレコーディングさせてもらった。これまでバリ島は観光地のイメージが強かったが、いざ行ってみると、地元の人たちでしかアクセスできないような儀式がいまだ多く存在していることを知り、バリ島に対する固定観念を払拭することができた。

    2: Mongolian Sharman conducting a healing ritual
    Location: Ulaanbaatar, Mongolia
    Recorded: 8th March 2018

    北方アジアのシャーマニズムがバイカル湖を起点に広がっていったのかもしれないと思いつき、首都のウランバートルやチャンドマニを旅してまわった。ウランバートルでは、地域のシャーマンセンターで情報を聞き取り、そこに在籍されているシャーマンの方から厄除け的な儀礼をしてもらった。これは、その際にレコーディングした音源だ。口琴や鈴を鳴らしながら、何かに取り憑かれたかのように周囲を暴れ回りながら儀式を執り行うさまは、とてもパフォーマティブであった。頭巾から垂れたお札のようなものが顔を覆い、表情が全く見えないシャーマンの佇まいは、その後訪れることになるベトナム北部のモンのシャーマンと同じで興味深かった。どうやらモンの先祖がモンゴルからやってきたという話もあながち根拠がないわけではなさそうだ。

    3: Thresing (by Ede-Bih group)
    Location: Buôn Ma Thuột, Đắk Lắk, Central Highland of Vietnam
    Recorded:6th September 2017

    オストロネシ

    • 7分
    耳の野外学習#1|「たたく」Tataku/Hit|Yasuhiro Morinaga

    耳の野外学習#1|「たたく」Tataku/Hit|Yasuhiro Morinaga

    「たたく」「ふく」「はじく」とは、楽器またはモノを鳴らすための行為である一方、働くこと、生活すること、遊ぶための、最も原始的な人間本来の生きていくための営み=技術だといえるはずだ。今回のDJミックスは、そんなことを考えながら、ここ数年アジアを中心にレコーディングしてきた民族の音楽や環境音をセレクト(アジアの音ではないものもいくつか含まれているが)し、ポストプロダクションでミキシングや電子的な加工を施しながら、リニアな音の時間を創造した。
    人類学者たちは、調査地で現地語を学び、長期間地域に密着し、そこの情報をくまなく記述・記録した上で、ラボで検証・実験しながら論文や民族誌としてまとめあげていく。僕の場合は、現地の言葉もわからないし地域に密着しながら文字で記述をしていくような形も採用していない。むしろ楽器や音を軸に、その文脈や周縁を追い続けながらレコーディングしているに過ぎない。自身の目と耳を頼りに作品のゴールをゆるやかに想像しながら記録をし、素材を持ち帰ってスタジオで実験・検証しながら作品を制作していく過程は、どことなく人類学者の研究手法と似ている部分があることを以前から意識していた。
    コクヨ野外学習センターがどれだけ実践者としての自分を勇気づけてくれただろう。新型コロナウイルスの感染症が収束した後もきっと、僕自身はフィールドでの活動を継続しながら、音に対する実践を技術の視点から考えていくような作品を創作していくはずだ。(2021.2.7 森永泰弘)

    1:Ma’Lambuk at Rambu Solo (Funeral)Ceremony (by Toraja group)
    Location: Toraja, South Sulawesi Island, Indonesia
    Recorded: 28th July 2017

    インドネシアはスラウェシ島のトラジャ族の葬式で奏でられる音楽。Ma’Lambukは、女性たちが竪杵で臼の縁や内部をリズミカルに叩き、参列者を葬儀に迎い入れるための音楽だ。葬儀中にうたわれる詠唱、死を嘆く哭歌、数十匹の水牛や豚の供儀、トパレンゲと呼ばれる葬儀の司会進行役の朗読が同時多発的に行われるため、わけがわからないくらい混沌とした状態のなかでおよそ1週間レコーディングを行った。「死するため(葬式をするため)に生きる」と言われているトラジャ族の渾身の儀式だ。

    2: Buffalo Sacrifice (by Bahnar Hrong group)
    Location: Đắk Đoa, Gia Lai, Central Highland of Vietnam
    Recorded: 07th September, 2017

    この曲はバナ・フロン族によるもので、水牛を供儀する儀式で演奏される音楽。ベトナムでは、少数民族たちが民族・集落・地域別に様々なゴング音楽を儀式や祝祭で演奏する。バナ族はそのなかでもゴングの演奏が上手でバリエーションも豊富な民族だ。2015年頃より東南アジアを中心に旅をして民族たちのゴング文化を集中的に記録してきたが、バナ族のゴング音楽は大勢で演奏するのがほとんどで、レコーディングするのは非常に難しかったのを憶えている。

    3: Sole Oha Ritual (by Lamaholot group)
    Location: Adonara island of Nusa Tenggara Timur, Indonesia
    Recorded: 08th October 2018

    小スンダ列島を構成するインドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州アドナラ島に居住するラマホロ族の祝祭音楽。数十人が一列となって足首に巻いた鈴(グリン・グリン)を踏み鳴らし、コブ付きゴングと太鼓を叩きながら輪になっていく。輪の中では、男性数人がコール&レスポンスをしながら酔拳のようにフ

    • 9分

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