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11.野蛮人‪?‬ 知の侮辱

    • 社会/文化

2011年の原発事故から約1年が経ちました。この大きな事件でさまざまな面で日本の後進性、知に対する侮辱が見られました。その中で「日本って、こんなに野蛮だったか!」と驚くことも多かったのです。


私は自分でつけたタイトルですが、「野蛮人」という言葉に抵抗があります。この言葉はヨーロッパ人の思想に近く、「文明が人間を人間らしくする」という基本的な仮定があるのですが、自然の中でゆったりと暮らしている人と、競争に明け暮れて訴訟ばかりしているアメリカ人とどちらが「人間として」優れているかは判らないからです。


でも、ここであえて野蛮人という言葉を使ったのは、街角で犯罪人の首をくくり見せしめにする、災害があると普通のおばさんを捕まえて魔女として火あぶりにする・・・こんな現象はやはり野蛮な行為ではないかと思うからです。その点ではここで言う野蛮人というのは、中世のヨーロッパなどの野蛮な行為を意味しています。


・・・・・・・・・


福島原発事故で私がもっとも野蛮だと思ったのは、「被曝に負けない子供」という言葉です。県民税、市民税が減ると生活に影響があると心配しているとしか思えない人たちは地域から人が逃げていくのをいやがり、「被曝に負けない子供」という奇妙な発想をしたのでしょう。


水俣で水銀中毒事件が起きたときでも、「水銀に負けない子供」という標語を作り、水銀で汚染されたサカナを食べさせるようなことはしませんでした。新型インフルエンザが流行した時も、「新型インフルエンザに負けない子供」ということで学級閉鎖をしない、隔離しないということもありませんでした。


科学が進み、魔女がいなくなった今の日本で、まさか「被曝に負けない子供」という言葉を作って、子供たちの被曝をそのまま放置する方法の一つとして活用したのは野蛮な行為であり、私は気分が悪くなります。


これに似たのが「農家の人を助けよう」という言葉で汚染された野菜、牛肉を売ったことです。確かに汚染された農作物を食べたいという人はいませんが、「農家の人を助ける」と聞くと「私の食べないといけないかしら」と思うのは、「こころ優しい日本人」のような気がしますが、決してそうではないと私は思います。


被曝した農作物を出荷するという行為は農家の信用を落としますから「農家の人を助ける」ことにもなりませんし、それを食べる人の「健康を損ねる」ことにもなります。もともと「人が食べるのにはふさわしくない」というものを出荷する人は「農家」ではないでしょう。


「農家」という名称は「そこから出荷される農作物を食べて命をつなぐ」というのではないでしょうか。あまりにも当然ですが・・・・・・


これと似た野蛮な言動が「風評被害」という言葉でした。風評被害というのは実質的に被害がないのに、噂を立てて被害を生じさせることを言いますが、1年1ミリ以上の被曝が法律上許されないのに、セシウムだけで1年5ミリシーベルトの被曝を認めた暫定基準を決め、おまけにセシウム量も測らずに出荷する農作物を買わない人に対して、政府が「風評被害だ」といったのには、これも気分がわるくなりました。


ある東北の知事さんが「県民はベクレルなどと言っても判らないから、安全か危険か

2011年の原発事故から約1年が経ちました。この大きな事件でさまざまな面で日本の後進性、知に対する侮辱が見られました。その中で「日本って、こんなに野蛮だったか!」と驚くことも多かったのです。


私は自分でつけたタイトルですが、「野蛮人」という言葉に抵抗があります。この言葉はヨーロッパ人の思想に近く、「文明が人間を人間らしくする」という基本的な仮定があるのですが、自然の中でゆったりと暮らしている人と、競争に明け暮れて訴訟ばかりしているアメリカ人とどちらが「人間として」優れているかは判らないからです。


でも、ここであえて野蛮人という言葉を使ったのは、街角で犯罪人の首をくくり見せしめにする、災害があると普通のおばさんを捕まえて魔女として火あぶりにする・・・こんな現象はやはり野蛮な行為ではないかと思うからです。その点ではここで言う野蛮人というのは、中世のヨーロッパなどの野蛮な行為を意味しています。


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福島原発事故で私がもっとも野蛮だと思ったのは、「被曝に負けない子供」という言葉です。県民税、市民税が減ると生活に影響があると心配しているとしか思えない人たちは地域から人が逃げていくのをいやがり、「被曝に負けない子供」という奇妙な発想をしたのでしょう。


水俣で水銀中毒事件が起きたときでも、「水銀に負けない子供」という標語を作り、水銀で汚染されたサカナを食べさせるようなことはしませんでした。新型インフルエンザが流行した時も、「新型インフルエンザに負けない子供」ということで学級閉鎖をしない、隔離しないということもありませんでした。


科学が進み、魔女がいなくなった今の日本で、まさか「被曝に負けない子供」という言葉を作って、子供たちの被曝をそのまま放置する方法の一つとして活用したのは野蛮な行為であり、私は気分が悪くなります。


これに似たのが「農家の人を助けよう」という言葉で汚染された野菜、牛肉を売ったことです。確かに汚染された農作物を食べたいという人はいませんが、「農家の人を助ける」と聞くと「私の食べないといけないかしら」と思うのは、「こころ優しい日本人」のような気がしますが、決してそうではないと私は思います。


被曝した農作物を出荷するという行為は農家の信用を落としますから「農家の人を助ける」ことにもなりませんし、それを食べる人の「健康を損ねる」ことにもなります。もともと「人が食べるのにはふさわしくない」というものを出荷する人は「農家」ではないでしょう。


「農家」という名称は「そこから出荷される農作物を食べて命をつなぐ」というのではないでしょうか。あまりにも当然ですが・・・・・・


これと似た野蛮な言動が「風評被害」という言葉でした。風評被害というのは実質的に被害がないのに、噂を立てて被害を生じさせることを言いますが、1年1ミリ以上の被曝が法律上許されないのに、セシウムだけで1年5ミリシーベルトの被曝を認めた暫定基準を決め、おまけにセシウム量も測らずに出荷する農作物を買わない人に対して、政府が「風評被害だ」といったのには、これも気分がわるくなりました。


ある東北の知事さんが「県民はベクレルなどと言っても判らないから、安全か危険か

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