市場の風を読む

モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

  1. 強気相場の確信強まる

    3 NOV.

    強気相場の確信強まる

    弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンは、米国の通商政策と米連邦準備制度理事会が折り合うことから、年末に向けて買いの好機が訪れるとみています。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  本日は、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近のマクロ経済のイベントと第3四半期決算についてお話しします。 このエピソードは11月3日 にニューヨークロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 先週にはマクロ経済に関係する重要なイベントが2つありました。ひとつはトランプ大統領と習国家主席による米中首脳会談。もうひとつは米連邦準備制度理事会(FRB)の10月の会合です。貿易面では、米国が中国に課す関税を10%引き下げることと、新たに提案されたテクノロジー関連の輸出規制を1年延期することに同意しました。そして中国側は、提案されていたレアアース(希土類)の輸出規制を停止し、大豆の購入を再開するとともにフェンタニルの取り締まりを行うことに同意しました。数週間前に急にエスカレートした対立を受けて起こり得た展開に比べれば、これは大きな好材料ですし、市場もそのように反応しています。 FRBの会合については、パウエル議長が12月の利下げは既定路線ではないと示唆したことから、債券市場が見込む12月利下げの可能性が会合前の92%から現在では68%に低下しています。株価も小幅に調整し、相場の広がりは非常に弱いままです。経済成長が持ちこたえてもFRBが小幅な利下げしか行わないのであれば、上昇相場のけん引役は比較的少数の、そしてクオリティの高い銘柄に限られたままになりそうだ、と市場は告げているように私には思われます。 向こう半年から1年の見通しについては、遅行指標である労働関連のデータが小幅に悪化する一方で、企業業績は予想以上に好調になり、最終的には株式相場のけん引役が増える舞台が整うだろうと弊社ではみています。ただ、弊社では、市場が近い将来発するシグナルも重視しています。つまり、FRBが状況に先んじて行動する意思を明確にするまでは、小型株/低クオリティ株/景気動向に強く影響されやすい循環株へのローテーションを進めるのは時期尚早です。ひょっとしたら市場にとっては、そのようなFRBの意思と同じくらい、量的引き締め(QT)を12月で終了するという決断が重要だったのかもしれません。 ジェイ・パウエル議長は先日、短期金融市場でストレスが高まる恐れがあることを認め、QTの終了を遅らせるのではなく逆に早めることもありうると示唆しました。ここ1ヵ月間、QTが終わるタイミングの予想は「直ちに」から「来年2月」までまちまちでした。パウエル議長は先週の会合でその中間を取ったように見えるため、一部の市場参加者がそれに失望したのかもしれません。 この展開を観察し続けるために、私は今後、短期金融市場の動きに目を向けることになるでしょう。具体的には、翌日物のレポ取引が増加していることから、もしその増加が担保付翌日物調達金利(SOFR)とフェデラル・ファンド(FF)金利とのスプレッド拡大とともに続くことになれば、株式市場はさえない展開になりそうだと私はみています。一部の投機色の強い銘柄群では特にそうなりそうです。端的に言えば、この動きが落ち着くまでは、クオリティの比較的高い銘柄群がアウトパフォームし続けそうだと弊社では考えています。 一方、今は決算発表シーズンの真っただ中ですが、こちらは売上高の予想以上の上振れが際立つ展開になっています。増加率は今のところ、これまでに見られたペースの2倍を超えています。弊社では、米国の景気はローリング・リカバリーに入っており、企業業績は大方の予想をかなり上回ることになるとみていますが、売上高の上振れはこの見方をさらに補強する可能性があると思われます。 結論を申し上げますと、米国では4月にローリング・リセッションが終了して新しいサイクルが始まっており、それとともに株式市場も新たな強気相場に入ったという中心的な見方への確信を、弊社では強めつつあります。これはつまり、2026年には企業業績がより大きな伸びを見せ、かつその動きがほかの銘柄にも広がっていくということです。株式相場のけん引役の交代もあるかもしれません。クオリティが比較的低い小型株にも株価上昇の勢いが広がることは、今のところ、インフレとの戦いを続けているFRBによって妨げられています。ひょっとしたら、足元のローリング・リカバリーが満開になるためには民間経済と平均的な消費者のためにどこまで金利を下げればよいのか、FRBは理解できていないのかもしれません。 その点から見るなら、先週のFRBの会合は株式市場にとって短期的に失望を誘うものだったかもしれません。したがって、FRBがよりハト派的な政策を講じるタイミングがもっとはっきりするまでは、クオリティの高い銘柄に重きを置くのがよいでしょう。また年末にかけては、短期金融市場にストレスが加われば株式購入のチャンスが訪れるかもしれませんので、注目したいところです。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    8 min
  2. 31 OCT.

    ステーブルコインが変える日本の金融の未来

    日本の金融担当アナリストが、新たなステーブルコイン規制とデジタル決済の革新が、銀行業務、資産運用、そしてグローバルな資金の流れをどのように変革していくのかを解説します。 トランスクリプト  「Thoughts on the Market」へようこそ。モルガン・スタンレーMUFG証券で日本の金融セクターの調査を統括している長坂美亜です。 本日のテーマは「日本のステーブルコイン革命と、それがグローバル投資家にとってなぜ重要であるか?」についてお話させて頂きます。 東京時間で10月31日 午後4時、 日本の暗号資産市場の発展はまだ黎明期ですが、初の円建てステーブルコインの登場が目前に迫っており、国内外でのデジタルマネーの流通方法を静かに変革させる可能性を秘めています。 ビットコインのようなデジタルマネーをご存じの方も多いでしょう。株式や債券などの伝統的な金融資産と比べて、価格変動が非常に大きいのが特徴です。一方で、ステーブルコインは異なります。円や米ドルなどの資産に連動することで、価値を安定させるよう設計されたデジタル通貨です。 2023年6月、日本は資金決済法が改正され、ステーブルコインの法的枠組みが整備されました。日本国内外の市場関係者は、円建てのステーブルコインが、テザーのようなグローバルなデジタル通貨として定着できるかどうかに注目しています。 ステーブルコインは、決済をより迅速に、低コストで、24時間365日可能にすることを可能とします。日本のキャッシュレス決済比率は2020年の約30%から2024年には43%に上昇しましたが、他国と比べてまだ成長の余地があります。政府によるフィンテックやデジタル決済の推進も加速しており、ステーブルコインは真のデジタル経済への架け橋となる可能性があります。 ビットコインなどの暗号資産とは異なり、ステーブルコインは価格変動を抑えるよう設計されています。民間企業によって管理され、現金、国債、金などの資産によって裏付けられています。業界関係者は、ステーブルコインが現金の信頼性と、インターネットのスピードと柔軟性を兼ね備えたデジタル決済手段になると期待しています。 日本の規制は厳格です。ステーブルコインは高品質かつ流動性の高い資産によって100%裏付けされる必要があり、アルゴリズム型ステーブルコインは禁止されています。発行者には透明性と準備金に関する要件が課され、月次監査が標準となっています。これは米国、EU、香港の新しい規制と類似している点です。 では、実務レベルではどうなるのでしょうか。金融機関は、即時決済、資産運用、融資などにステーブルコインの活用を模索しています。例えば、通常数日かかる株式や債券の取引決済が、ステーブルコインを使えば数秒で完了する可能性があります。また、Banking-as-a-ServiceやWeb3との統合など、新たなビジネスモデルも可能になりますが、一方で規制コストや低金利が収益性の課題となっています。 国際送金の基盤であるSWIFT取引を考えてみましょう。ステーブルコインがSWIFTを置き換えることはありませんが、補完することは可能だと考えられます。従来数日かかっていた送金が、数秒で完了し、手数料も最大80%削減される可能性があります。ただし、発行者への信頼やマネーロンダリング対策の遵守が重要です。 投資家の関心が高いもう一つのテーマが、CBDC、つまり中央銀行デジタル通貨です。ステーブルコインとCBDCはいずれもデジタル通貨ですが、CBDCは中央銀行が発行する法定通貨であり、ステーブルコインは民間のイノベーションです。日本は世界第4位の経済規模を持ち、技術革新の分野ではリーダーと見なされていますが、金融変革には慎重な姿勢を取っています。CBDCの準備は進めているものの、発行を決定したわけではありません。仮に発行される場合、CBDCは公共インフラとして、ステーブルコインはイノベーションの担い手として共存することが可能であると考えられます。 結論として、日本のステーブルコインの旅は始まったばかりですが、その影響は決済、資産運用、さらにはグローバル金融にまで波及する可能性があります。 ご視聴ありがとうございました。こちらの番組を気に入っていただけましたら、ぜひレビューを残していただき、「Thoughts on the Market」をご友人や同僚にシェアしてください。

    5 min
  3. 投資家はAI関連投資について心配するべきなのか

    23 OCT.

    投資家はAI関連投資について心配するべきなのか

    人工知能関連投資のブームはクレジット市場にとって警戒警報なのかという議論について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者 のアンドリュー・シーツが鋭く斬り込みます。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日は、巨額にのぼる設備投資と人工知能(AI)の技術は、過大投資とクレジット市場の懸念への注意を促す典型的な警戒警報を発しているのではないかという議論について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者 のアンドリュー・シーツがお話しします。 このエピソードは10月23日 にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 確かなことが二つあります。ひとつは、AI関連投資はおそらくこの世代で最大の投資サイクルの一つになるということ。もうひとつは、クレジット市場には大型の投資サイクルがひどい頭痛をもたらしてきた長い歴史があることです。鉄道から電化、インターネット、シェールオイルに至るまで、巨額の投資がクレジット市場の下落を招いた例は枚挙にいとまがありません。きっかけとなった技術自体が大変な成功を収めていても、です。 そこで、本日はこの点を掘り下げるとともに、今回のAI関連設備投資のサイクルは実際にはまだまだ続くと弊社が考える理由をご説明したいと思います。 第1に、弊社モルガン・スタンレーは、AI関連設備投資を誰が行うのか、何がパイプラインにまだ残っているのかについて、複数の部署による詳細な共同調査を数多く行ってきました。そして、この点が重要なのですが、弊社が予想している投資のほとんどは、まだしばらく先の話です。投資ブームはまさに始まったばかりなのです。 次に、地球上で最大級の規模と利益を誇る企業の一部は、AIを向こう10年間で最も重要な技術だとみなしていると思われます。そのため、一連の支出の見返りが最終的にどうなるかについてはかなりの不確実性があるとしても、投資を開始・継続しようという企業側の意欲はその分強まっていると弊社ではみています。 第3に、近年のほかの大型設備投資サイクルの一部であった、1990年代後半のインターネットや、2010年代半ばのシェールオイルなどが思い出されますが、いずれもクレジット市場に困難をもたらしました――それらとは異なり、今日見られるAI投資の大半は、極めて強固なバランスシートとかなり大きな借り入れ余力を有する企業の後ろ盾を得ています。過去の投資サイクルには、そうでなかったものもありました。このバランスシートと借り入れ余力は、今回のAI関連投資が長続きすることに寄与すると思われます。 そして最後の理由は、過去の一部の設備投資サイクルでは何がうまくいかなかったのかと考えると、過剰生産能力が最大の問題だったケースが多いということです。鉄道であれ電力であれインターネットであれ、新しい技術はそれまでの生活をがらりと変えてしまいます。 そして、がらりと変えてしまうからこそ、投資をして作るものも多くなります。すると、作りすぎてしまう場合も出てきます。その技術に対する需要が姿を現す前に、前倒しで投資を行うからです。すると、投資のリターンが低下したり損失を招いたりする恐れが生じます。 高水準のAI関連設備投資や、過去の大型投資サイクルの歴史が不安を引き起こす理由は、弊社にも理解できます。しかし、そうした動きを結び付けるときには、大型投資サイクルの歴史がまだら模様である理由を思い出すことが重要です。それは普通、技術自体がうまくいかなかったからではありません。有望な技術だけに需要に先んじて投資が行われ、その結果として生産能力が過剰になって投資のリターンが低下し、そのギャップを埋める資金力に乏しい事業者が出てきてしまう、ということなのです。 今のところ、そのような状況にはなっておりません。データセンターの需要はいまだに旺盛で、投資案件の多くは極めて潤沢な資源を有する企業を後ろ盾に得ています。そのいずれかに変化がないかどうかを観察する必要はあります。 ですが今のところ、AI設備投資サイクルはまだまだ続くと弊社ではみています。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    6 min
  4. 20 OCT.

    強気相場に調整は必要?

    S&P500が上昇を続ける中、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、近い将来に株式市場が調整し得る3つの理由について論じます。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日のエピソードでは、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが登場し、短期的にはおそらく調整するとしても、依然として新しい強気相場の中にある理由について説明します。 このエピソードは10月20日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 私は、4月の「解放の日」後の株価急落が、事実上3年間続いた米国経済のローリング・リセッションの底だったと引き続き考えています。この見解については詳しく論じてきましたが、依然としてコンセンサスからは大きく外れています。 2022年以降、民間経済のほとんどのセクターはそれぞれ異なるタイミングで個々の景気後退を経験しました。しかし、経済活動の変化率における最終的な底は4月であり、これはほとんどの人にとって予想外だった関税発表のタイミングと一致しました。少なくとも、その規模と範囲においては驚きでした。 要するに、「解放の日」は景気サイクルにおける最後の悪材料に対する「降伏の日」であり、その後に底打ちが起こったのです。 株式市場もこの見方に同意しているようであり、そのため4月以降、株価は一直線に上昇しています。これは、あらゆる景気サイクルの底打ち後に見られる典型的な動きです。この主張を裏付けるもう一つの証拠は、業績予想のリビジョン・インデックスのV字回復であり、これは弊社が数ヵ月にわたりリサーチやポッドキャストで議論してきたテーマです。 弊社が投資家と行ってきた数多くの対話に基づくと、この見解は依然として非常に不人気です。むしろ、多くの投資家は、来年の経済および利益成長が予想よりも低くなるリスクがあると考えており、予想よりも高くなると考える弊社見解とは逆です。私の見解の核心は、コロナ禍以降、ヘリコプターマネーによる危機対応を経て、私たちは確実にインフレ期に入ったということです。政府は過去20年間に生じた巨額の債務と財政赤字問題を解決するため、経済を「高温状態」で運営する必要があります。 その結果、投資家は1980年から2020年にかけてインフレが低下していた時期に経験したような10年単位の長期サイクルではなく、より短く熱いサイクルを想定する必要があります。つまり、米国株式市場では2年間の上昇期と1年間の下降期が繰り返されるということです。そして、これは2020年以降、実際に起こっていることです。 私たちは現在、4月に始まった新しい上昇サイクルの真っただ中にいます。この新しい体制で理解すべき重要な点は、インフレが加速してもFRBが傍観しているか、あるいは2020-21年、2023年、そして現在のように緩和的であるならば、インフレは株式にとって必ずしも悪い要因ではないということです。インフレ率が高いということは利益成長率が高いということであり、そのため現在の株価収益率は高水準にあります。来年はインフレが加速する可能性が高いため、株式は利益成長率の上昇を織り込みつつあります。 つまり、株式はインフレヘッジになります。実際、金と比較して、高クオリティ株は、年初来および2021年以降の貴金属に対する劇的なアンダーパフォーマンスを踏まえると、現時点でより安価なインフレヘッジとなる可能性があります。 最終的には、2022年のようにFRBが政策を引き締める必要があるとき、インフレは再び株式にとって問題になりますが、それはまた別の話です。 以上を踏まえると、株式市場は現在やや過熱気味であるため、S&P500の10~15%の調整はあり得るし、新しい強気相場のこの段階では通常のことです。近い将来にそのような調整が起こり得る理由は主に3つあります。 第一に、米中貿易関係が再び悪化しており、11月1日の期限に向けて、対中関税が解放の日の水準に戻る方向にゆっくりと進んでいます。4月のように最悪のタイミングで売りに巻き込まれたくないと考える投資家は多いですが、このリスクは現実であり、今後数週間で緊張緩和の兆しが見られなければ、株価の重しとなるでしょう。 第二に、資金調達市場で最近ストレスの増加が見られます。これはFRBの量的引き締めプログラムにより銀行準備預金が減少していることが原因と考えられます。このストレスが増加すれば、株式市場に波及する可能性があります。 第三に、業績予想のリビジョン・インデックスは4月以降の歴史的な上昇を経て、現在反転し始めています。これは業績発表シーズンにかけて続く可能性がありますが、非常に高い水準からの多少の調整は普通のことです。また、関税の影響が棚卸資産を経由して損益計算書に反映され始めるほか、貿易問題が短期的に企業ガイダンスの重しとなる可能性もあります。 結論として、4月に始まった新しい強気相場は、異なるセクターの経済と企業業績が異なるタイミングで回復するローリング・リカバリーのごく初期の段階にあると考えています。しかし、新しい強気相場であっても途中で調整が入るのは自然なことであり、現在の状況は4月以降で初めて取引可能な調整リスクがあることを示唆しています。 短期的には、調整が訪れた場合に備えてキャッシュを温存し、絶好の買い場に備えることをお勧めします。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    8 min
  5. 米中問題:次は何が起こり得るか?

    17 OCT.

    米中問題:次は何が起こり得るか?

    弊社の米国公共政策ストラテジスト、アリアナ・サルバトーレが、中国によるレアアース輸出規制の発表と、米国の大規模な関税措置の示唆が、世界のサプライチェーン、市場、経済成長にどのような影響を及ぼす可能性があるかを解説します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 今回は、米国公共政策ストラテジストのアリアナ・サルバトーレが、市場や投資家の注目を集めている最新動向、すなわち米中貿易問題の再燃についてお話しします。 このエピソードは10月17日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 4月以来、米国と中国は非常に微妙なデタント(緊張緩和)状態にあります。ご存じの通り、トランプ大統領は「解放の日」以降の追加の報復関税を一時停止しました。 それ以降、弊社は、この一時停止が長期間維持され、その間に米中が本格的な貿易合意に至ることには常に懐疑的な見方をしてきました。しかし、現在のエスカレーションが二国間関係の実質的な分断につながるということにも同じくらい懐疑的です。 では、先週何が起きたのでしょうか。中国はレアアース輸出規制の強化を発表しました。レアアースは、電気自動車から防衛装備、高度な電子機器に至るまで、あらゆる製品の製造に不可欠な資源です。これに対し、トランプ政権は10月10日、中国からの全ての輸入品に11月1日から100%の関税を課すと表明しました。この日付は重要です。ちょうどその頃、トランプ大統領と習近平国家主席が韓国で開催されるAPECサミットで会談する予定だからです。 今回のエスカレーションは非常に重大です。なぜなら、中国は世界のレアアース採掘のおよそ70%、加工・精製の90%を担っているからです。米国、日本、韓国、ドイツなど、世界中の多くの国が中国からの輸入に大きく依存しています。したがって、新たな輸出規制が導入されれば、各国は中国と個別に交渉して供給を確保しなければならない可能性があり、アジア、欧州、米国全体でサプライチェーン分断のリスクが高まります。 今後の展開について、弊社は現在の米中貿易問題がどう進展するか、4つのシナリオを想定しています。弊社が基本ケースと考える、最も可能性の高いシナリオは、APEC会議に向けて、しばらくの間レトリックのエスカレーションが続き、恐らく期待値がリセットされた後、直近の現状に戻るというものです。なぜなら、米中両国とも、突然のサプライチェーンのデカップリングよりも、現在の均衡状態の維持を望んでいると考えられるからです。 この均衡状態とは、実質的には「チップとレアアースの交換」です。つまり、米国は中国からレアアースを受け取り、その見返りとして米国の半導体チップの一部を中国に輸出するという構図です。ただし、この均衡があるからといって必ずしも、関税引き上げや追加の輸出規制といった一時的な貿易障壁の導入が排除されるわけではありません。 より広範な流れとしては、今後も競争的な対立が続くでしょう。これは、伝統的な貿易戦術だけでなく、直接の連邦政府支出か、重要産業に関わる企業への政府出資拡大による国内投資をも含む超党派戦略です。例としては、IRA(インフレ抑制法)、CHIPS法、その他の超党派法案などが挙げられます。 したがって、短期・中期的には、こうした貿易障壁が継続され、米国が中国からの選択的なデリスキング(リスク低減)を進めるための超党派的な産業政策が推進されるでしょう。弊社の基本シナリオでは、短期的な緊張の高まりはあるものの、最終的には大きな構造変化を伴わない限定的な合意に落ち着くと予想しています。 他のシナリオも検討しています。ひとつは、11月1日以降に一時的なエスカレーションが発生するというダウンサイドケースです。双方が提案した政策を一度は完全に実施するものの、経済的なコストが明らかになると現状に戻るという展開です。 より深刻なダウンサイドシナリオでは、エスカレーションの長期化を想定しています。このケースでは、両国が長期間にわたり貿易障壁を維持します。結果的に、両国が均衡状態の計算を変える判断を下すため、均衡は崩れるでしょう。そうなると、デカップリングが進み、サプライチェーンに大きな負荷がかかるでしょう。 最後のシナリオは、急速なデ・エスカレーションです。激しいレトリックが逆に交渉再開のきっかけとなり、新たな枠組み合意に至る可能性があります。この場合、一部の関税は残るものの、関税水準は当初の提案よりも低く抑えられるでしょう。 では、以上のことは何を意味するのでしょうか。基本ケースでは、弊社のエコノミストは、中国の2025年下期のGDP成長率が4.5%割れに減速すると予想していますが、輸出は米国向け以外が堅調に推移することで支えられる見通しです。弊社の株式ストラテジストはこうした状況について、今年初めに始まったローリングリカバリーが続くとの見方から、ボラティリティーが高まることで実際には押し目買いの好機になるとみています。 一方、エスカレーションが長期化した場合、中国のデフレが長引き、さらなる政策対応が必要となる可能性があります。同様に、米国でも初期サイクルにあるローリングリカバリーが頓挫するリスクが高まります。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    8 min
  6. 政治がグローバル市場に与える影響

    15 OCT.

    政治がグローバル市場に与える影響

    日本とフランスの政治動向が、国債市場にさらなるボラティリティをもたらしています。グローバル・エコノミストのアルニマ・シンハが、投資家が注視すべきリスクについて解説します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日は、グローバル・エコノミストのアルニマ・シンハが、世界各国の国債の見通しや選挙について解説します。 このエピソードは10月15日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 先週、国債と財政の見通しの悪化についてレポートを出しましたが、まさにぴったりのタイミングで現実がシナリオ通りになりました。日本の選挙とフランスの政治的混乱を受け、長期金利が反応し、財政見通しが政治的な議論の一部となりました。市場は現在おおむね安定しましたが、こうしたボラティリティゆえに、債務と財政の見通しというテーマは引き続き注目されるでしょう。 日本では、与党・自由民主党(LDP)が高市早苗氏を新しい党首に選出し、市場にとってはやや意外な結果となりました。高市氏の選出は、1885年に内閣制度が確立されて以来、初の女性首相誕生への道を開くものです。 しかし、そうした結果が確定したわけではありません。最近の報道によると、最終決定は数週間後になる見通しです。日本の戦後政治におけるこの画期的な動きは、いくつかの点で日本の政治経済における変化の波をさらに揺るぎないものにしています。市場は、高市氏が日本のリフレトレードをさらに推進し、名目成長の回復を後押しすると見込んでいます。 東京市場が再開すると、長期金利は14ベーシスポイント上昇し、日本のイールドカーブは急激にスティープ化しました。これは、財政懸念の高まりと選挙前のフラットニング・ポジションの巻き戻しによるものです。具体的には、インフレ救済措置、経済安全保障やサプライチェーンへの投資拡大、食料安全保障へのさらなる取り組みといった、より積極的な財政政策への期待が高まっているようです。 弊社のストラテジストは恩恵を受ける分野として、ハイテク輸出企業や防衛・安全保障関連、インフラ・エネルギー企業などを挙げています。資本がこれらの分野に向かう可能性が高いからです。ただし、明確な立法の成熟度が欠けているため、財政政策の抜本的な転換は難しい可能性があるとエコノミストは警告しています。 一方、金融政策への影響は限定的と見ています。高市早苗氏は日銀の植田総裁の慎重な姿勢に強く反対はしていないため、目先の利上げ期待は低下しているようです。しかし、特に円安が進めば、年内の利上げの可能性は消えていないことに注意が必要です。 経済的には、弊社の基本シナリオは選挙結果によって裏付けられました。近い将来、日銀が利上げを行うとは予想していませんでした。実際、市場は次回会合での利上げ期待を織り込まなくなっています。 フランスでも、弊社が債務持続可能性に関する分析レポートを発行して以降、長期金利が政治情勢の変化に反応しました。ルコルニュ首相は、市場が予想していたよりもはるかに早い時期に辞任し、しかも在任期間はわずか数週間でした。 現在の議会では依然として過半数議席を持つ勢力はなく、膠着状態が続いています。数週間から数ヶ月以内に解散総選挙が行われる可能性も消えていません。拡大する財政赤字という動く標的に対し、財政健全化をどう進めるかについて意見が割れており、これが政治的不確実性の根本的原因となっています。 フランスの財政健全化の遅れは、長年議論されてきたテーマです。ECBは、混乱につながるOATスプレッドの拡大を阻止するためにTPIという暗黙のバックストップを提供していますが、弊社の欧州エコノミストはTPIが発動される可能性は低いと見ています。フランスの財政持続可能性への懸念がスプレッド拡大の主因であり、これはファンダメンタルズを反映していると考えられるからです。 弊社のかなり機械的な債務予測では、市場が最終的に何が持続可能で、何が持続不可能かを決定すると強調しました。ここでお話しした政治的イベントは、注視すべきカタリストです。 今のところリスクは抑えられていますが、油断はいつでも高くつく可能性があるという明確なメッセージを伝えたいと思います。債務と財政のファンダメンタルズが悪化する中で、今後もリスクが増えると考えています。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    7 min
  7. 政府閉鎖の影響はいつ市場に及ぶのか

    8 OCT.

    政府閉鎖の影響はいつ市場に及ぶのか

    米国の政府閉鎖が長期化し、経済成長率が低下するリスクが強まっています。投資家が今後警戒すべきポイントを、弊社グローバル債券・公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがご紹介します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日は、米国の政府閉鎖が続いている現状において警戒すべき3つのポイントを、弊社 のグローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがお話しします。 このエピソードは10月8日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 米国連邦政府が閉鎖されて1週間経ちました。しかし、市場を観察しておられる方々は、何もかもが穏やかに見えることに驚いていらっしゃるかもしれません。株価は堅調です。債券利回りもさほど変動しておらず、ボラティリティも低いままです。 この状況は、ワシントンが袋小路に入ることを想定して、私と同僚のアリアナが以前議論していたシナリオとおおむね同じです。投資家や市場の反応が不確実性に見舞われる恐れがあること、そしてそれは政府閉鎖の長さ次第であることに、私たちは事前に気づいていました。 したがって、ここで大きな疑問が浮上します。この政府閉鎖に関する何かが投資家のマインドを揺さぶって市場を動かし始めることがもしあるとしたら、その何かとはなんだろうか、という疑問です。 これは検討に値する疑問です。予測市場では現在、政府閉鎖は少なくともあと1週間続く可能性が最も高いとされています。また過去の政府閉鎖を見る限り、閉鎖は長引けば長引くほど問題になる可能性も高まります。景気の見通しを狂わせるリスクが積み重なり始め、ついには投資家も景気見通しの悪化を織り込み始めなければならなくなるからです。 投資家がそのように思い始める可能性があるのはいつなのか――それに気づくために警戒すべきポイントがいくつかあります。 第1のポイントは、一時帰休している連邦政府職員への給与支払いが遅れることです。これはあと2、3日もすれば始まります。給与が減れば、当然ながら支出も減ります。複数の研究によれば、影響を受ける職員の支出は政府閉鎖の間2~4%減少しうるそうです。この段階ではGDPに及ぶダメージは大きくありませんが、政府閉鎖の影響が首都ワシントン以外にも及ぶ兆しとなります。 第2のポイントは、政府職員削減の可能性があるため「今回は違う」かもしれないことです。トランプ政権は、省庁が恒久的な人員カットに動く可能性があることをほのめかしています。これは過去にはなかったことです。労働組合はすでに、そんなことになったら訴訟を起こすと表明しています。しかし、そのような行動が取られ始めれば、いや、政府職員をめぐる法的な不確実性が高まるだけでも、景気悪化の可能性が高まる恐れがあります。 弊社ではもうひとつ、第3のポイントとして、政府閉鎖のせいで経済活動に目に見える混乱が生じることを警戒しています。前回の政府閉鎖は、航空管制官不足のためにニューヨーク発着の航空便が削減されたときに終わりました。今回はすでに、全米で航空便の大幅な遅延が発生しています。さらに大幅な遅延が生じたり航空機の地上待機命令が発せられたりすれば、移動関連の経済活動は明らかに阻害されます。そんな事態になっても、政府機関を再開させる法案の交渉 の進展の兆しがワシントンから感じられなかったら、投資家の懸念は強まる恐れがあります。 結論を申し上げますと、市場が平静を保っているのは正しい判断かもしれません。しかしそれは、「今のところは」という条件付きです。政府閉鎖が長期化すればするほど、ご紹介した3つのポイントのいずれかが投資家を刺激し、楽観論の再考を促す可能性も高くなるでしょう。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    6 min
  8. イールドカーブのスティープ化に備える

    7 OCT.

    イールドカーブのスティープ化に備える

    チーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、イールドカーブの変化が保険などの市場、米国債利回り、モーゲージ金利にどのような影響を及ぼしているかについて説明します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 今回はチーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、イールドカーブの形状がクレジット市場や住宅市場に与えている影響や、カーブの変化によるリスクやそのインプリケーションについて解説します。 このエピソードは10月7日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 イールドカーブの形状は金融市場において極めて重要な役割を担っています。クレジットの状況から住宅やモーゲージの動向に至るまで、あらゆるものに影響を与えます。FRBの追加利下げが確実視されていることについて、しばらく前からこのポッドキャストでもお聴きになっていることでしょう。弊社のエコノミストは次回からの3会合、つまり10月、12月、1月の会合でそれぞれ25ベーシスポイントの利下げが行われると予想しています。そして来年にも4月と7月での2回のさらなる利下げを見込んでいます。 これはカーブの形状にとって何を意味するのでしょうか。投資家はイールドカーブのスティープ化に備えてポジションを取るべきであるというのが弊社の確固たる見解です。なぜカーブが重要なのでしょうか。カーブは単なるマクロ的なシグナルではありません。価格設定、リスク許容度、セクターフローを方向付ける伝達メカニズムなのです。 保険会社を例に取り上げてみましょう。カーブのスティープ化を受け、定額年金商品の需要が急増しており、ひいては社債や証券化クレジット商品などのスプレッド資産への資金流入が加速しています。保険需要はクレジット市場における強力なテクニカル要因の一つとなっています。 今年のスティープ化は、短期債利回りの低下によるものです。例えば、米国債の2年物利回りはおよそ60ベーシスポイント低下しており、低下幅は10年物利回りの40ベーシスポイントや30年物利回りのわずか5ベーシスポイントを大幅に上回っています。こうした短期債利回りの動きは金利予想の変化を反映しており、短期資金調達に依存している高レバレッジの発行体にとって助けとなっています。 しかし、長期債利回りはなかなか下がらず、オールインの借り入れコストは高止まりしています。これは保険会社、そして定額年金商品の販売にとって好材料ですが、全体的な債券発行を抑える形で作用しており、その影響もあってマクロの不確実性にもかかわらずクレジットスプレッドはタイトなままです。 とは言え、全ての市場が恩恵を受けているわけではありません。モーゲージ金利はフェッドファンド金利よりも長期債利回りに追随しますが、2024年9月の緩和サイクル開始以来、実際に25から30ベーシスポイント上昇しています。これは手頃な住宅の購入を考える上で逆風となります。カーブのスティープ化は、融資や将来の住宅供給を支える可能性がありますが、現在の買い手を助けることにはなりません。長期債利回りが低下してカーブがフラット化すれば、より意味のある支援となるでしょうが、これは明らかにわれわれのベースケースではありません。 要するに、利下げは重要ですが、カーブの形状の方がもっと重要かもしれません。カーブのスティープ化はクレジットにとって追い風となりますが、住宅にとっては逆風となります。そして、全ての市場が足並みをそろえて動くわけではないことに注意する必要があります。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

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À propos

モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

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