復職名人が読む三手先 Centro Salute
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この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。
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第52回|【質問】身体疾患の場合の対応/健診の法定外項目の取り扱い/家族との連絡の取り方
今回も質問箱に寄せられた質問について、回答しました。皆さまからのご質問もお待ちしております。
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■雑談
高尾 飲みたかったワインを現地では満足に飲むことができませんでしたが、岡山の馴染みの店に普通に置いてありました。まさに灯台下暗し。
前園 Apple Pencilが過放電になりました
森 この1ヶ月で46回〜51回と、自由集会2本を公開しました。
■質問1企業で復職に携わっております。精神疾患の復職手順や基準は、判例も踏まえて見解が固まってきたかと思います。これに対し、身体疾患の場合はいかがでしょうか?ネット等で検索しても、「メンタル不調者の復職」の記事はあれど、身体疾患についてはあまり言及がありません。個人的には、結局、労使の間に結ばれた労働契約に照らすという点では、精神疾患も身体疾患も、復職の判定基準としては変わらないのではないかと思うのですが…社内には、精神疾患は産業医にも意見を聞きつつ慎重に、身体疾患は主治医の診断書で復職可(本調子ではないから半日勤務しかできなくとも、それで復職可)という意見があり、それでいいものかなと首を傾げております。
基本的には、身体疾患もメンタルヘルス不調と変わらずに対応する
従来型のフィジカル(怪我など)は職場にもわかりやすく対応に困っていなかった。近年の両立支援が必要な身体疾患は、メンタルヘルス不調同様に、対応が難しくなるかもしれない
なぜメンタルヘルス不調者の対応に苦慮するのか。それは職場が悪い学習をさせた側面がある。となると、両立支援も同様の難渋事例が生じる可能性があり、注意が必要である
精神疾患の復職手順や基準は、判例も踏まえて見解が固まってきただろうか?
特定の疾患を対象とした優遇措置は、裏を返せば他の疾患への差別であり、あまりお勧めしない
■質問2法定外の健診 (胃バリウムや腹部エコーなど)を健保の補助で受診可能なのですが、健診結果を会社に開示する同意が得られない場合は、費用補助しないと言われました。出来れば、検査結果は本人にのみ返却し、本人からの相談には対応という形にしたいのですが、上手く健保を説得する方法はないでしょうか?
背景は、健保として受けっぱなしを防ぐために、産業医からも精検・再検への受診勧奨をしてほしい、というもの
健康情報取扱規定を考えれば、本人抜きでこうした議論が行われていること自体、前近代的
法定外項目の「検査結果は本人にのみ返却し、本人からの相談には対応という形」は私たちもお勧めしている方法である
■質問3【法定外の健診】さんに引き続いて…結局、法定外項目もぜーんぶ会社に集まってしまうのですが、うちは法定項目のハイリスクしか受診勧奨してないので、がん検診とかでひっかかってる社員に受診勧奨してないのが非常に気になる産業医が「わたしには結果が見えないようにしてほしい!」と言われます…見えたら全員すべき!というお考えのようで…会社は健診機関じゃないので、目的がちがうのにな、と思いますが、 -
第51回|【質問】復帰判定のコツ/時期尚早な復帰希望への対応/プライベート要因でパフォーマンス低下
今回は質問箱に寄せられた質問について、回答しました。
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■雑談
高尾 足が良くなりました。学会で宇宙飛行士と会いました。
前園 なぜ働いていると本が読めなくなるのか
森 エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術
■質問1欠勤や休職を繰り返す社員が、次は大丈夫です働けますと言ってきた場合、何をもって十分復職準備が整ったと判断すればいいでしょうか。毎回指示した提出物は揃えてきます。
基本的には、復帰準備完了確認シートで全ての項目に最上位に丸がつけばそれでよし
本人を諌める形で、復帰準備の不足部分を指摘しても良いが、それでも復帰するというのであれば復帰させて、ダメならストップ要件の方で対応すれば良い
手順通り対応していれば、医学的にも時期尚早な復職は防ぐことができる
一回で全てを打開しようとしすぎない
適切な距離感をとり、本人を適切に困らせることが重要
■質問2休職や欠勤を繰り返す社員が、心療内科の主治医から、コロナ罹患の影響が大きいため1ヶ月療養の診断書を提出してきました。常識的にみてもメンタルの増悪により通常勤務ができない状態ですが、1か月後には働けますと言ってくると思われます。人事面談での確認ポイントをご教示いただけますでしょうか。
本格的な療養導入を目指して、人事面接を実施する。真の意味での通常勤務をするのか、それともまだ療養を継続するのか選ばせる
軌道修正のイメージ 軌道修正は早ければ早いほど良いが、難しければ無理せず、次に早いタイミングで軌道修正できるよう伏線だけ張っておく
難しいことは何も考えず、手順の説明をする
コロナ後遺症を理由とした、不完全労務提供が生じることが問題
1ヶ月で復帰させるために、週2〜3の頻度で報告をさせるパターンもあり
■質問3プライベート要因で休職し、問題が解決したため復職しましたが、また同じ要因で不安定になっている社員がいます。欠勤はないものの、パフォーマンス低下は見られます。安定して勤務ができるまで療養してもらうほうがよいでしょうか?
パフォーマンス低下に対して、指摘や注意指導を行う。私傷病を理由に改善しないのであれば、療養導入していく
要因や原因に囚われすぎない。要因や原因がなんであれ、通常勤務ができていない点が問題
その他
高尾メソッドで整理するパワハラ研修について -
第50回|法哲学から産業保健を考える
先日行ったポッドキャスト合宿回の5本目です。法哲学について議論しています。
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■話した内容
法哲学で勉強したことが正義感や倫理観に結びついている。私たちの正義はどこからきているのか、探求してみたい
具体的なケース|メンタルヘルス不調により、軽減勤務が必要という診断書が出ていて、軽減勤務をしているが、賃金は満額出ている。この状況は正義と言えるのか
ベンサムの「最大多数の最大幸福」では、助けられる1人の幸福VS負担を負う9人の幸福で考えると、9人が勝つと考える
カントの定言命法「汝は、汝の意志の格率が、常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ」
功利主義は、行為がもたらす結果を評価して判断する。結果無価値論。一方で義務論は、その行為自体が正しいと言えるのかで判断する。行為無価値論。
伝統的には、職場で困っている人がいたら誰でも助けるべきという義務論的な考え方があった。会社の余力がなくなってくる中で、義務論の考え方が変わりつつあるが、変化を消化できないと感覚的に良しとできないのかもしれない
自分たちが相手にするのは、従業員個人なのか従業員集団なのか、そうした視点があることに気づくと、考え方が変わる
日本では、守れないルールを作るから、「全てのルールを守らないといけないわけではない」という考え方が生まれがち。使えるルールがなかったから、そして使えないルールしかなかったから、うまくいかなかった。曖昧なルールしかなかった
次の時代に向けて、ルールを明確化にすることで、多くの誠実な労働者を救うことを考慮すべきではないだろうか
高尾メソッドは統治功利主義的。ルール作成・ルール変更のタイミングでは、功利主義で考える。その上で日頃は、できたルールは守る
ある事例対応をする中で、一貫した対応をとること、他の従業員にも同じ対応を取れるように対応することは、結果的にルールを作るということでもある
ルールを策定する上で、感情は加味されるのか。ルールを検討する過程では感情は抜きに議論するが、ルールを策定する過程で、感情を加味した政治が生じる
この先は議論が拡散していったので、まとめられませんでした・・・ -
第49回|解雇回避努力について
先日行ったポッドキャスト合宿回の4本目です。対面の機会を活かして、解雇回避努力について詳しく議論しています。
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■話した内容
1. 片山組事件の影響
「片山組事件」は解雇回避努力の先例として扱われているが、本当に適用できるのか
整理解雇では、事業者の責めに期すべき理由による解雇なのだから、解雇回避のための最大限の努力を求められるが、私傷病の場合は事業者に落ち度がないため、同程度の努力が求められるかは議論の余地があるのではないか
2. 解雇権濫用法理
解雇は客観的合理的理由と社会通念上の相当性を必要とする
客観的合理的理由として、解雇事由があることと、解雇回避努力を尽くしたかが求められる。
シャープNECディスプレイソリューションズ事件では、休職期間を満了したというだけではダメで、解雇回避努力を尽くしたかが指摘されている
個人的には、形骸化した休職期間を費やしただけでは解雇回避努力を尽くしたとは言えないので、休職期間中の関わりを充実させることが重要だと考えている
整理解雇はやや特殊な類型なので、個人における退職は、別に考える必要がある
3. 職務適正について
低位な職務もできないのに、高度なスキルができないという現実が、見逃されているように思える。検討はすべきだろうが。
休職期間の残がまだあるはずなのに、解雇回避努力としての配転の検討をしないといけないというのは、順序が間違っているのでは
医師が指示する配転は、本人の希望を反映している場合が多いのでは
採用時と復職時はやや異なるかもしれないが、継続的な契約関係を前提とした一時的な職務制限であればまだしも、現実的には未来永劫の制限(特別扱い)になっている
解雇回避努力バージョンの主治医意見書として、「通常勤務可能」「○ヶ月後には通常勤務ができる見込みがある」「見込みがない」の3択バージョンを作っても良いかもしれない
4. 契約解除と新契約の提案
平行線を辿った後の最終的な結論は、雇用契約終了後に新たな契約を提案することが合理的なのではないか
解雇回避努力の一環として、契約変更(新たな契約の締結)の提案をそもそもすべきなのだろうか
現実的には、新契約の待遇について、労働者の期待と実際の契約条件のギャップが問題となる
新契約提案時には慎重な対応が求められる。これを産業医に言わせようというのは、到底無理な話で、下手な期待をもたせかねず、紛糾しかねない
5. 復職支援としての高尾メソッド
世で言われている解雇回避努力を尽くした後の現実は、実はかなり悲惨
それよりも、適切に復帰基準を定め、原職復帰を求め、それでは満了退職になってしまう場面で、これまでのような対応をする方が、一見本人の希望を尊重していないように見えて、誠実な対応なのでは
良い従業員には寄り添い型の対応をしたくなるが、復職後に職務遂行能力を発揮して欲しいと思うのであれば、良い従業員にこそ、メソッドに沿った対応をすべき
良い従業員は救い、悪い従業員は -
第48回|産業医基礎研修会カリキュラム後半編
先日行ったポッドキャスト合宿回の3本目です。前回に続いて、産業医基礎研修会のカリキュラムブラッシュアップを行いました。
余っている資料集を、送料だけご負担いただく形で配付しますので、ご興味がある方はDMを送ってください!
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■話した内容
1. カリキュラムについて
基礎研修会の募集案内はこちら
(1) 近年の労働安全衛生法改正
近年の改正を踏まえたアップデートを行う
近年に限らず、安衛法の変遷を辿ってみても良いかもしれない
最後に化学物質の自律的管理にも言及する
(2) 両立支援
やや応用的なテーマではあるものの、産業医への期待が大きい分野なので触れておく
何も考えずに両立支援に取り組むと、周囲の負担が非常に大きい医療的な支援になりがち
産業活動全体を通した注意点として、周囲の負担は視野に入れる必要がある
(3) 喫煙・禁煙対策
職場における健康管理の重要なトピック
ゴールはすでにはっきりしていて、就業時間内禁煙+出社前45分の禁煙である
経営層へのアピールポイントとして、経済的な観点についても言及する
(4) 職場における感染症対策
新型コロナ感染症の感染初期における対応を踏まえて、次の未知なる感染症が生じた場合に、産業医としてどのように対応するかを説明しておく
在宅勤務については、研修では触れないものの、資料には加えておく
(5) 就業規則と健康管理(実地)
モデル就業規則を題材に、実際に生じうる場面への適応、就業規則の改正について検討する
ボトムラインは、就業規則を頭から最後まで、実際に読んでもらうことにある
(6) 産業医面談・意見書の書き方・衛生委員会
業務的健康管理というゴールに向けて、現実場面をどのように対応していくのか。具体的には面談は実施しないといけないだろうが、その場合にどのように対応するのか、説明する
意見書については、トレーニングとしては有用だが、やや現実場面にそぐわないかもしれない
(7) 健診事後措置①・②
昨年までよりも、①で従来型のやり方と、それでうまくいかない部分を解説し、②で対応策を説明する
健診事後措置を医療的なアプローチで対応していると、効果はほとんどでない。それどころか、労働者集団の平均年齢が上がる傾向にあるため、悪化する場合がほとんどである。そのため仕組みによる対応が不可避
(8) ストレスチェック
一時期よりは下火になっているテーマだが、産業医活動をする上で避けられないものであるため、取り上げている
(9) 健診事後措置(実地)
事後措置の判断が難しい事例をいくつか取り上げる
個人ワークではなくグループワークとして実施しても良いかもしれない
(10) 人事総務担当者との連携・健康経営
健康経営も、産業医活動をする上で避けられないテーマなので、概略を触れている
倫理について、功利主義と義務論について取り上げる
(11) 過重労働対策
36協定等の説明
これまで時間外労働を削減してきたTipsを紹介する
(12) 過重労働面接
医師の過重労働対策 -
特別編|自由集会「労務管理と産業保健研究会」2024
今回は、第97回日本産業衛生学会の自由集会の様子を収録いたしましたので、その編集した音源を公開いたします。
会場でハウリングしてしまったので、やや聞き苦しいところがあるかもしれませんが、ご了承くださいませ。
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■話した内容
1. 満了直前の復帰可能の診断書休職期間満了直前に、「復職可能」の診断書が出された場合に、どのように対応すれば良いでしょうか?高尾メソッドで考えると段取りに手遅れ感がありますが…
2. 従業員への個別対応
仕事ができる人でも、仕事ができない人でも、復職時には同じように扱うのでしょうか?
休職を繰り返す人に対する対応と、初めて休職する人に対する対応は同じなのでしょうか?
3. 復職基準が厳しすぎる高尾メソッドの復職基準をみて、人事担当者は「自分自身もクリア出来ないし、出社している多くの従業員もクリア出来ないと思います。」と言います。このような会社で、まずやるべきことは何でしょうか?
4. 軽減勤務からの復帰について
指針やガイドライン、各種裁判例では、ある程度の職務遂行能力がある場合には復職が認められると考えていますが、高尾メソッドでは『軽減勤務からであれば開始できる』という状態で復帰を認めてはいけないとされています。この方針の背景や理由について詳しく教えてください。
高尾メソッドの「軽減勤務」ってのが、どの程度のものを指しているのかが解釈難しいと思っています。どこからが軽減勤務だと考えていますか。
5. 高尾メソッドの法的リスク裁判になった場合に、会社が負けるリスクが大きいように感じますが、いかがでしょうか。
6. 産業保健法学会
9月22日(日)10:00~13:00
特別企画1 あなたは本当の「高尾メソッド」を知らない ~行為規範としての復職支援プログラムを考える~
座長 小島健一、秋山陽子
演者 神田橋宏治、前園健司、森悠太