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平成26年6月20日より配信中の「この日本をどうする?」です。

この国をどうする‪?‬ 武田邦彦

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平成26年6月20日より配信中の「この日本をどうする?」です。

    この日本をどうする?(9)男女の役割と次世代への責任

    この日本をどうする?(9)男女の役割と次世代への責任

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    男女の関係を話すと、ほとんどの場合、バッシングに遭います。戦後、70年、男女の関係はほとんど対等になったとは思いますが、それでもまだ強い緊張感があるのか、または「相手の考えがちょっとでも違うと、バッシングしたくなる雰囲気」なのかはわかりません。とにかく、慎重な人は男女の関係について触れたくないでしょう。


    でも、その被害を受けているのは子供だと私は思っています。男が得か、女かなどと言っている間に、割を食っているのは「黙っている子供」であることは確かです。これは新時代の日本を考えるときにも踏み込まなければならないことです。かつての日本、もしくは今の世界のある程度の国々の男女の役割をまずは整理してみます。


    【かつての日本の分担】
    かつての日本の女性は25歳までに2人の子供を産むことが任務でもありました。女性しか子供を産むことができませんし、夫婦2人で子供を作るのですから、2人は産んでくれないと日本民族は絶滅するからです。


    そして25歳から50歳までの女性は子供を育てることが任務で、男性に頼んではいけませんでした。これは男尊女卑ということではなく、逆に男女平等の思想からきています。現在では男性も子育てに参加するべきだと考えられていますが、それは間違っているとされていたのです。


    これに対して男性は25歳までに兵役をこなさなければなりませんでした。兵役というのは戦争の練習をしておくことで、すでに仕事をしていても、大学で勉強していても、全員が1年半から2年程度の兵役が強制されたのです。若い時間の2年ほどを失くのは大変な損害でしたが、女性が子供を2人産むのに10月10日×2の損害(行動が不自由な産前産後という意味)を受けるので、それと対等な義務と考えられたのです。


    もし男性だけに兵役が課せられていれば、それこそ大きな男女不平等(女性が有利)だったでしょう。女性が子供を産むこと、男性が兵役の義務を果たすことでバランスがとられていました。


    25歳から50歳までの男性は召集令状が来れば、戦場に出て、突撃命令で命を落としました。もちろん全員ではありませんが、「死ぬことを拒否できない」という義務があったのです。女性は朝から晩まで炊事洗濯家事育児でへとへとでした。そこへ夕方になって一杯やった旦那が帰ってきて「風呂」とか「メシ」とかいうのですから、さすがに腹も立ったのですが、「あの人も次の戦争で死ぬんだから」と我慢したのです。


    つまり、家事育児と戦死が対になっていたのです。


    【分担の理由】
    なぜ、女性は子供を産み、子供を育て、男性は兵役と戦死でバランスをとったのでしょうか?それは人生というのが、1)自分自身、2)次世代、があり、子供は、1)18歳まで育てること、2)18歳からの仕事を確保すること、があるからです。


    自分自身は別にして、子供を18歳まで育ててそれで終わりなら夫婦で子供を育てればよいのですが、18歳で死んでよいということではありません。昔の仕事は「農業」でしたから、親が「田畑」を子供に残さなければなりませんでした。それが戦争だったのです。


    つまり、18歳まで育てるのが女性、18歳からの人生を保証するのが男性だったので、たとえば「命を懸けても田畑を守る」と

    • 13 min
    この国をどうする?(8)国民の理解と合意

    この国をどうする?(8)国民の理解と合意

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    このシリーズの第5回目まで国際情勢をまとめ、第6回から「平和的手段で平和を達成する」という一つの考え方を示してきました。「日本を守るために軍隊を持つ」というのはある意味で簡単ですが、「日本を守るために平和的に何をするか」というのは難しいことです。第一、新しい考え方ですから、十分な議論もいるでしょう。


    でも、ここで一つの不安があります。それは、総じていえば「日本人は議論が下手」ということです。これは日本文化や言語との関係があるので、おいそれと日本人が議論がうまくなるのは難しいとは思います。


    外国、それも英語圏に行ってよく感じることは「人の話をよく聞く」ということです。何しろ人種が違う人が多いので、パッと見てその人が何を考えているかはわからないのです。そこで、英語は主語があり、単数複数があり,時制も明確です。「窓を開けました」ということはできず、「私」なのか、「誰か」なのか、その「誰か」が男なのか女なのかから始まって、「一つの窓」か「複数のまどか」も言わなければなりません。HeかSheか、a windowかwindowsかみんなはっきりさせるのですから、わかりやすいと言えばわかりやすいのです。


    ところが日本では、島国で民族も一つというので、以心伝心、パッと見たらその人が大体、どんな考えを持っているかがわかりますので、どうしても先入観に頼ることになりますし、感情が先立ちます。お前はどうも右翼のようだとなると、思想が左の人は最初から意見を聞く気がないという感じになります。


    私もテレビ討論などに出ると、「事実を共有する」という段階を踏まずに、いきなり「意見の衝突」になることが多く、また視聴者もそのほうが喜ぶというのでテレビ局も故意にバトルを求めます。でも私としては、1)事実認識が違うのか、 2)事実は同じ事実で意見が違うのか、ということがわからないままに言い合いをしているのですから、実に生産性がありません。


    1)十分に事実について認識を共有する、
    2)事実が共有できない場合は、どこが共有できないのかを明らかにする、
    3)意見が違うところが、「事実認識が違うから意見が違うのか」、「事実認識は同じだけれど、意見が違うのか」を明らかにする、
    という手順が必要です。でも「温暖化対策は必要か?」というような簡単な問題でも、私が「1997年から2014年までの17年間は地球の平均気温は変わっていない」というと、それは「事実認識を合わせようとしている」のに、地球温暖化の対策を進めたいとか、政府に遠慮している人は、私の発言についていうのではなく、「30年の平均より2013年の気温が高いから温暖化している」と言います。そこで、私が、「それは30年のうちの最初の13年の気温が低かったからで、最近、17年は変わっていない」とさらに事実認識を合わせようとすると、それには答えないで先に行きます。


    そうすると、「地球が温暖化しているのか、していないのか」という事実についてはいつまでも曖昧なままで「温暖化は是か非か」という話になってしまいます。この原因の一つは、「自分で考える力がない」ことで、第二に「結論を急ぐ」、第三が「ケンカをしたい」ということにあるように思います。


    つまり、「合意」

    • 9 min
    この国をどうする?(7)平和的手段での平和

    この国をどうする?(7)平和的手段での平和

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    これまで平和運動をしてきた方に少し申し訳ないのですが、平和を求めるのはかなりむつかしく、「平和への思い」、「二度と戦争をしたくない」、「他国の戦争は関心がない」、「無防備でも日本は守れる」という観念だけではむつかしいし、また日本の人の大勢のコンセンサス(合意)が得られないのではないかと思います。


    やはり平和を達成するのは、1)歴史的にみて容易ではない、2)すぐ戦争をしたがる人たちがいる、3)国土を侵略してくる国がある(昔は白人、今は中国)、4)この世には泥棒がいるのと同じく善人だけではない、5)日本も100年前は他国に攻め入った、6)あれほどの災厄をもたらすことがわかっているのに原爆を持ちたがる、などの現実を踏まえないと実際に平和を守ることはできません。


    これまで、人間は戦争ばかりしてきましたし、今でも北朝鮮、中国、ウクライナ、イラク、パレスチナ、アフリカ諸国などで紛争が続いています。戦争を防ぎ、かつ国土を守るということはそれほど簡単ではないと覚悟を決める必要があります。さらにそれを「軍隊に頼らずに平和のもとで平和を守ろう」とするのですからよほどの考えと議論がいるのは仕方がないことです。


    戦争にならないように事前に「抑止」するという手段で、現在の世界で認められているのは「核爆弾を保有する」という危なっかしい方法です。一見して矛盾するこの考え方は現実の世界の常識となっていて、アメリカは膨大な核兵器を持っているので、だれもアメリカを攻撃しようとしないということです。


    これに対して、
    1)核兵器に対する報復の権利を継続的に国際社会に主張する、
    2)完全自動・専守防衛技術を作り、配備する、


    3)自由貿易体制を進める、
    4)アメリカ、東南アジア諸国との連帯を強める、
    5)共同管理国土を創設する、
    という5項目をこのシリーズの5番で書きました。


    核兵器の報復権を国際的に繰り返し主張することによって、日本さえ核兵器を使わなければ他国は使いにくくなり、結果的に日本が核の使用を抑制することになります。このような具体的な言動をとったほうが、ただ原爆記念大会をするよりか国際的な意味が大きいと考えられます。


    また完全自動、専守防衛システムを作り、それを各国に販売することによって、世界が「専守防衛能力」を手にすることができれば、軍拡競争もなくなるでしょう。多くの国は「侵略戦争用の武器」を手に入れることができますが、専守防衛用の武器やシステムはまだありません。開発も難しいので、これを日本ができれば、平和憲法の理念を具体的に世界へ発信できることになります。


    自由貿易体制を積極的に作れる国は、産業や技術力が強いことです。特に平和の維持には資源技術が大切です。また、通商が盛んになれば相互依存が深まるのでおいそれと戦争はできなくなります。特に「技術力、資源技術力、経済力」を強くしておくことが大切で、日本はまず「機械・電器産業」の競争力を高める必要があり、それには「補助金行政」をやめることでしょう。


    「補助金行政」は現在の日本のほとんどの会社が汚染されていますが、なぜ補助金に頼る必要があるかというと、世界的な競争力がなく、その分を補助金(

    • 12 min
    この日本をどうする?(6)国力とは何か?

    この日本をどうする?(6)国力とは何か?

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    子どもに贈りたいものは、(1)発展した日本社会、(2)侵略されない国家、(3)心豊かに生活できる国土、だろうと思います。そのために必要なことは、
    1) 世界に誇るべき高い文化と美しい国土
    2) 世界一、高い技術力と経済力・資源技術


    3) 外交の力・他国に対する深い理解力と尊敬の念
    4) 国土を防衛することができる軍事力
    でしょう。


    もっとも重要なのは文化や国土ですが、これではお金もなく、侵略にも抵抗はできないというのが歴史的教訓です。残念ながら人類は紛争が起こると、自分より遙かに高い文化や美しい国土を持つ国を平気で攻撃し、破壊してしまいます。残念ですが、それは事実だったのです。


    そこで、子どもたちに贈るものは、第一に技術力、経済力ということになります。1970年当時のように、日本の技術力が抜群だったので、中国も尖閣諸島にちょっかいは出せませんでしたし、当時なら竹島問題もこじれずに解決した可能性もあります。現在の中国、韓国が対日姿勢を強めている理由の一つに「日本の技術、産業の没落」があります。


    現在の世界は分業などが進んでいて、経済的な結びつきが強いので、大国でも経済力が強い国にはおいそれと手を出すことができません。つまり「防衛を技術力で間接的に補う」ことは可能と考えられます。


    そのためには、唐突ですが、まず小学校で始まった「英語教育」をやめ、大学受験で「英語のヒアリングテスト」を中止することでしょう。このことを聞いて「何を言っているの?」という人が多いと思いますが、私の経験では日本の技術力の向上には「英語を重視しない」ということがとても大切だと思うのです。


    その理由の一つは、これまでの日本の技術力、特に機械、電気、材料、土木などの分野で他国の追従を許さないような技術レベルのものを作ってきた人にはある特徴があります。ご批判や誤解を恐れずに、私の経験をそのまま下に書きました。


    ●ほとんどは男性で、女性は例外的
    ●英語、文学、社会的な学問ができない


    ●無口でオタク、常識的行動が苦手


    学生を教えていると、機械や電気の学問で天井を突き抜けるように伸びていく青年がいますが、いずれも上記の特徴を持っていて、一口に言えば「変人」です。日常的なこと、語学、情緒的なこと、コミュニケーション力、人間関係の力などと、機械や電気の理解力、想像力はかなり違うようです。


    ところが、現在の日本社会は個性を許さず、性別を許さず、誰もが同じ人生を送ること、または誰もがコミュニケーションや人間関係がうまいことを求めています。日本社会はスポーツや囲碁などに天才的能力を発揮する人に、英語やコミュニケーション、人間関係の力を求めないのに、なぜか学問だけは満遍なく力を持っていることを求めます。


    また男性と女性を区別する必要も無く、人は男女の前に「人」ですから、「電気に強い人」を無理矢理、「通訳の上手な人」にしなくても良いと思います。この問題は教育のことですから、ここではまた別の機会にゆずりたいのですが、あえてここで取り上げたのは、「国を守る」というとすぐ「軍隊」とか「集団的自衛権」ということになりますが、そうではなく、まずは「平和的

    • 11 min

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