Cobe.fm 本好きコンサル2人の読後感想戦

Miki Watanuki/Nozomi Tanaka

コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

  1. 2H AGO

    トルストイ『人間にはたくさんの土地が必要か』#3

    『人間にはたくさんの土地が必要か』最終回となるpart3では、トルストイ本人の生き方から、現代の「反資本主義ブーム」まで、話題が一気に広がっていきます。 のぞみはまず、トルストイの人生をざっくりおさらい。 裕福な伯爵家に生まれ、『戦争と平和』を書き、晩年には「私有財産なんていらない」と悟りつつも、実際には家督と財産を背負い続け、最後は82歳で家出して地方の小さな駅で亡くなった——そんな「思想と現実に引き裂かれたおじいちゃん」の姿に、自分の将来をちょっと重ねてみます。 そこから話は、斎藤幸平をはじめとする「反資本主義」言説や、それを批判する論者たちへ。 「欲望に振り回されているパホーム的な人よりも、“それを見抜いて批判してるつもりの人”のほうが、実は一番ダサくて品がないのでは?」という、みきの鋭くも笑える読み解きが飛び出します。 二人がたどり着くキーワードは「バランス」。 NPOと営利事業を両立させる組織の話や、矛盾を抱えたまま成立している社会の構造を例にしながら、 「矛盾してるよね」と指摘して終わるのではなく、 シーソーの両端にある価値をどう同時に抱えるか——その難しさと価値を考えます。 パホームのような“行きすぎた欲望の人”がいたからこそ、フロンティアが開かれてきた面もあるのでは?という視点も。 後半は一転、「寓話」という形式そのものの話へ。 トルストイの短編や三体の“プレートに刻まれたメッセージ”を引きながら、 短くて、情景が浮かんで、読みながら比喩としても受け取れてしまう—— そんな寓話のすごさと、自分たちもいつか一本は書いてみたいという願望が語られます。 最後は、みきがぽろっとこぼしたアイデアで締めくくり。 老後、伊勢丹で貯金をすべて使い切り、 そのあと延々と昔話をしながら死んでいくおばあさんの寓話—— 「人間は、昔話をしながら死んでいく」というテーマで、いつか自作寓話を一本書いてみようか、という約束めいた冗談でエピソードは終了します。 トルストイとパホームを入り口に、 欲望とバランス、矛盾を抱えたまま生きること、 そして「自分ならどんな寓話を書くだろう?」というところまで、 じわじわと話が広がっていく『人間にはたくさんの土地が必要か』part3です。

    22 min
  2. NOV 24

    トルストイ『人間にはたくさんの土地が必要か』#2

    みき=「人生、事件少ないな〜っていつも思ってるほう」 のぞみ=「長野の退屈でも案外ハッピーだった世界観を背負ってるほう」 として、このpart2はこんな回です👇 トルストイのパホームは土地に取り憑かれていくけれど、 もし彼が2020年代に転生していたら——狙うのは「タワマン」「フォロワー数」「課金コンテンツ」だったかもしれません。 今回のpart2では、みきとのぞみがパホームの欲望を、現代の私たちの「これさえあれば」に引き寄せて語り合います。 渋谷に実在するという、ギャルやインフルエンサー志望の子たちが SNS運用を学ぶ学校の話から、上限のないフォロワー数・エンゲージメントの世界へ。 目の前に広がる畑や牧草地としての「土地」と、 スマホの中の数字としての「資産」や「影響力」。 見える欲望と、見えない欲望は、どちらの方が人を狂わせるのか——? のぞみは「日々、十分だなと思って生きてる」と話しつつ、 長野の、毎年ほとんど同じことが繰り返される退屈な田舎で それなりに幸せに暮らす人たちを見てきた感覚から、 「退屈=悪いことじゃないし、最悪そこに戻ればいい」という妙な安心感を打ち明けます。 一方のみきは、「お金もっと欲しいし、人生ちょっと物足りない」「暇で退屈、めちゃくちゃ分かる」と、 『暇と退屈の倫理学』の話まで引っ張り出しながら、 いつもどこかで「事件」を求めてしまう自分を認めます。 同じパホームを読んでも、「日々タルを知る」側と「まだ足りない」側で、見えてくるものが違うのが面白いところ。 そして話題は、作品に出てくる悪魔と、歩き出す前の晩に見る不吉な夢へ。 「どこかから見張られてジャッジされている感じ」のロシア正教的な世界と、 お天道さまや八百万の神様が“そばにいる”日本的な宗教観の違いを、 二人の育ちや肌感覚から比べてみます。 現代のパホームは、どんな「土地」に取り憑かれてしまうのか? 自分の中で際限なく膨らみがちな欲望は、お金なのか、住まいなのか、フォロワーなのか、それとも「もっとドラマチックな人生」なのか。 そんなことを、エロボイスチャット課金おじさんという極端なたとえまで持ち出しながら、 笑い半分・ため息半分で考えてしまう回が、この『人間にはたくさんの土地が必要か』part2です。

    21 min
  3. NOV 17

    トルストイ『人間にはたくさんの土地が必要か』#1

    今回の課題本は、トルストイの短編『人間にはたくさんの土地が必要か』。 ……のはずが、冒頭はインフルエンザで学年閉鎖になった小学校の話からスタートします。健康の話ばかりするようになった自分たちの年齢感に苦笑しつつ、みきは「都内ホテルで一泊して、伊勢丹ギフトを上限まで使い切る」というバースデー大散財プランを報告。妹と平成のヒットソングを肴に、一日中“昔話”をしてしまった自分を振り返ります。 一方ののぞみは、男友だち3人飲みで盛り上がった『DIE WITH ZERO』論争を持ち込みます。「お金より思い出のほうが“複利”で増える」というコンセプトは本当にそうなのか? みきは、演劇プロジェクトで出会った「経験を積むことに意味はあるのか?」と問い続ける65歳デザイナーのエピソードを紹介し、スキルとして換算しづらい経験や感情の記憶をどう捉えるかを一緒に考えていきます。 そこからようやくトルストイへ。のぞみが、不動産業者のニュースレターでこの作品に再会した話をしつつ、主人公パホームが悪魔に見張られながら、より広い土地を求めて走り続け、最後には自分のお墓一つ分の土地しか残らない——という寓話のあらすじを語ります。不動産屋さんが「俺たちはパホームより速く走り抜ける」と読んでしまう危うさに、二人で苦笑しつつゾワッとするくだりも。 「どれくらいまでが“今”で、どこからが“昔話”なのか?」 「お金や土地、“もっと欲しい”という気持ちに終わりはあるのか?」 健康・老い・思い出・経験の価値をぐるぐる話しながら、トルストイの問いに近づいていく導入回が、このpart1です。

    31 min

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コンサル×アートでフリーランスっぽく働くみき(左)と、コンサル・リサーチ会社を経営するのぞみ(右)の二人で、1冊の本を実際に読んで感じたこと、思ったことをふんわり楽しく話します。ビジネス書から戯曲・小説、SF、ノンフィクションまで幅広く取り上げています。読書が好きな人、本が好きな人、学びが好きな人、ぜひお耳に合いましたら。 "読むことは人を豊かにする。聴くことは人を謙虚にする" みき(Tw: @miki_apreciar) のぞみ(Tw: @Nozomitnk) 書き起こしサービスLISTENはこちら:https://listen.style/p/hv5wngkh?LUsFq7mq

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