18分

66,12月21日 月曜日 15時35分 ホテルゴールドリー‪フ‬ オーディオドラマ「五の線」

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すべてのご意見に目を通させていただきます。

場合によってはお便り回を設けてそれにお答えさせていただきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「一色貴紀。」
「そうです。」
松永はため息を付いた。
「あのバカ…。」
彼は下唇を噛んだ。そしてホワイトボードに貼られている顔写真を見つめ、再び十河と相対した。
「さっきも言っただろう。覚悟はできている。」
松永は彼の視線からは目を離さず、こう言い切った。暫くの沈黙を経て十河の目が充血し、瞳から一筋の涙が流れ落ちた。
「十河…。」
「理事官、申し訳ございません…。私は嬉しいんです。若手警察官、しかもキャリアの貴方が一心不乱に真実を追い求めてひた走る姿を見ることができて…。」
「なんだなんだ。おまえやめろよ。本題はこれからだろう。調子が狂うじゃねぇか。」
松永は頭を掻いた。
「すいません。本題に移ります。先ほど私がお話したマルホン建設、仁熊会、金沢銀行の関係性に新たに加わるものがあるんです。それが衆議院議員本多善幸と我が県警です。」
「なに。」
「本多善幸と県警のつながりは10年前ほどからです。そのころ国政で大きな動きがあったのを管理官は覚えてらしゃいますか?」
「10年前?10年前って言うと…イラク戦争とかいろんな銀行が合併したとかそんなところしか思い浮かばん。国政レベルって言っても…あの時は…民政党の大泉総理の長期政権中だ…。いや、まて…そういえば、今の最大野党の政友党ができたのはそれぐらいだったかもしない。」
「そうです。政友党ができました。理事官。政友党の実力者は誰ですか?」
「小金沢だろ。」
「はい。小金沢は民政党を割って政友党を結成しました。ヤツは民政党で本多が幹事長になるまでの間、権勢を誇った大物政治家でした。しかし奴はどちらかというと民政党の中でもリベラルな立ち位置。いつの頃からか小金沢は官僚に実質的に支配されているこの国の形を憂い、今一度改めて政治主導の国を作るという思想を高らかに叫ぶようになります。この小金沢の主張は民政党の中で物議を醸し出すことになります。そのころ小金沢に真っ向から対立する形で政治主導の思想に異を唱えたのが本多善幸でした。彼は昔ながらの利益誘導型の政治家。官僚の思惑と自分の票を上手くすり合わせることによって、その盤石な地盤を築いてきました。民政党自体がそういった背景を持つ議員ばかりで構成されていましたので、彼の意見は党内で一気にコンセンサスを得ることになります。ここで小金沢と本多の対立が表面化します。どちらも民政党のベテラン議員。両者の権力闘争は熾烈を極めます。二人の対立が激化したある時のことです。この県警に小金沢の秘書がやってきます。」
「秘書?何をしに。」
「どうやら当時はまだ明るみになっとらんマルホン建設と仁熊会の関係

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「一色貴紀。」
「そうです。」
松永はため息を付いた。
「あのバカ…。」
彼は下唇を噛んだ。そしてホワイトボードに貼られている顔写真を見つめ、再び十河と相対した。
「さっきも言っただろう。覚悟はできている。」
松永は彼の視線からは目を離さず、こう言い切った。暫くの沈黙を経て十河の目が充血し、瞳から一筋の涙が流れ落ちた。
「十河…。」
「理事官、申し訳ございません…。私は嬉しいんです。若手警察官、しかもキャリアの貴方が一心不乱に真実を追い求めてひた走る姿を見ることができて…。」
「なんだなんだ。おまえやめろよ。本題はこれからだろう。調子が狂うじゃねぇか。」
松永は頭を掻いた。
「すいません。本題に移ります。先ほど私がお話したマルホン建設、仁熊会、金沢銀行の関係性に新たに加わるものがあるんです。それが衆議院議員本多善幸と我が県警です。」
「なに。」
「本多善幸と県警のつながりは10年前ほどからです。そのころ国政で大きな動きがあったのを管理官は覚えてらしゃいますか?」
「10年前?10年前って言うと…イラク戦争とかいろんな銀行が合併したとかそんなところしか思い浮かばん。国政レベルって言っても…あの時は…民政党の大泉総理の長期政権中だ…。いや、まて…そういえば、今の最大野党の政友党ができたのはそれぐらいだったかもしない。」
「そうです。政友党ができました。理事官。政友党の実力者は誰ですか?」
「小金沢だろ。」
「はい。小金沢は民政党を割って政友党を結成しました。ヤツは民政党で本多が幹事長になるまでの間、権勢を誇った大物政治家でした。しかし奴はどちらかというと民政党の中でもリベラルな立ち位置。いつの頃からか小金沢は官僚に実質的に支配されているこの国の形を憂い、今一度改めて政治主導の国を作るという思想を高らかに叫ぶようになります。この小金沢の主張は民政党の中で物議を醸し出すことになります。そのころ小金沢に真っ向から対立する形で政治主導の思想に異を唱えたのが本多善幸でした。彼は昔ながらの利益誘導型の政治家。官僚の思惑と自分の票を上手くすり合わせることによって、その盤石な地盤を築いてきました。民政党自体がそういった背景を持つ議員ばかりで構成されていましたので、彼の意見は党内で一気にコンセンサスを得ることになります。ここで小金沢と本多の対立が表面化します。どちらも民政党のベテラン議員。両者の権力闘争は熾烈を極めます。二人の対立が激化したある時のことです。この県警に小金沢の秘書がやってきます。」
「秘書?何をしに。」
「どうやら当時はまだ明るみになっとらんマルホン建設と仁熊会の関係

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