99本のエピソード

ある殺人事件が身近なところで起こったことを、佐竹はテレビのニュースで知る。
容疑者は高校時代の友人だった。事件は解決の糸口を見出さない状況が続き、ついには佐竹自身も巻き込まれる。石川を舞台にした実験的オーディオドラマです。
※この作品はフィクションで、実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。
※不定期ですが地味に更新してまいります。こちらはポッドキャスト専用ブログですので、テキストデータはウェブサイトにあります。http://yamitofuna.org

オーディオドラマ「五の線‪」‬ 闇と鮒

    • レジャー
    • 4.6 • 72件の評価

ある殺人事件が身近なところで起こったことを、佐竹はテレビのニュースで知る。
容疑者は高校時代の友人だった。事件は解決の糸口を見出さない状況が続き、ついには佐竹自身も巻き込まれる。石川を舞台にした実験的オーディオドラマです。
※この作品はフィクションで、実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。
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    66,12月21日 月曜日 15時35分 ホテルゴールドリーフ

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    66.mp3

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    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    「一色貴紀。」
    「そうです。」
    松永はため息を付いた。
    「あのバカ…。」
    彼は下唇を噛んだ。そしてホワイトボードに貼られている顔写真を見つめ、再び十河と相対した。
    「さっきも言っただろう。覚悟はできている。」
    松永は彼の視線からは目を離さず、こう言い切った。暫くの沈黙を経て十河の目が充血し、瞳から一筋の涙が流れ落ちた。
    「十河…。」
    「理事官、申し訳ございません…。私は嬉しいんです。若手警察官、しかもキャリアの貴方が一心不乱に真実を追い求めてひた走る姿を見ることができて…。」
    「なんだなんだ。おまえやめろよ。本題はこれからだろう。調子が狂うじゃねぇか。」
    松永は頭を掻いた。
    「すいません。本題に移ります。先ほど私がお話したマルホン建設、仁熊会、金沢銀行の関係性に新たに加わるものがあるんです。それが衆議院議員本多善幸と我が県警です。」
    「なに。」
    「本多善幸と県警のつながりは10年前ほどからです。そのころ国政で大きな動きがあったのを管理官は覚えてらしゃいますか?」
    「10年前?10年前って言うと…イラク戦争とかいろんな銀行が合併したとかそんなところしか思い浮かばん。国政レベルって言っても…あの時は…民政党の大泉総理の長期政権中だ…。いや、まて…そういえば、今の最大野党の政友党ができたのはそれぐらいだったかもしない。」
    「そうです。政友党ができました。理事官。政友党の実力者は誰ですか?」
    「小金沢だろ。」
    「はい。小金沢は民政党を割って政友党を結成しました。ヤツは民政党で本多が幹事長になるまでの間、権勢を誇った大物政治家でした。しかし奴はどちらかというと民政党の中でもリベラルな立ち位置。いつの頃からか小金沢は官僚に実質的に支配されているこの国の形を憂い、今一度改めて政治主導の国を作るという思想を高らかに叫ぶようになります。この小金沢の主張は民政党の中で物議を醸し出すことになります。そのころ小金沢に真っ向から対立する形で政治主導の思想に異を唱えたのが本多善幸でした。彼は昔ながらの利益誘導型の政治家。官僚の思惑と自分の票を上手くすり合わせることによって、その盤石な地盤を築いてきました。民政党自体がそういった背景を持つ議員ばかりで構成されていましたので、彼の意見は党内で一気にコンセンサスを得ることになります。ここで小金沢と本多の対立が表面化します。どちらも民政党のベテラン議員。両者の権力闘争は熾烈を極めます。二人の対立が激化したある時のことです。この県警に小金沢の秘書がやってきます。」
    「秘書?何をしに。」
    「どうやら当時はまだ明るみになっとらんマルホン建設と仁熊会の関係

    • 18分
    65,12月21日 月曜日 14時55分 ホテルゴールドリーフ

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    かつては金沢城の大手堀があったこの辺りはその一部を残して埋め立てられ、今では道路が走っている。この道路に沿うように何件かの宿泊施設が並んでいた。近江町方面からこの辺りまで歩いてきたひとりの男は立ち止まって見上げた。そこには背は低いが真新しい5階建てのホテルがあった。この辺りは金沢城や兼六園のすぐ近くであるため、景観保持ということで建物の高さに制限が設けられていた。無論それは宿泊施設においても例外ではない。彼は握りしめていた拳を開いて、そこに目を落とした。そして建物の正面玄関に掲げられている看板に目をやった。
    「ここやな。」
    彼は寒さに身を竦めながらその中へと足を進めた。自動ドアが開かれるとすぐそこはフロントロビーだった。ロビーの中央には大きなクリスマスツリーが配され、様々なオーナメントによって凝った飾り付けがされていた。彼は左腕の時計を見た。今日は12月21日の月曜日。今週の木曜日はクリスマスイブということもあって、このロビーの客層はガラリと変わるのだろう。彼は周囲を見回した。平日の夕刻ということもあって、客はまばら。せいぜいが暇を持て余した老年層がロビーにある喫茶店で、日常会話に興じる程度だった。彼はそれを横目にエレベーターの前に立った。しばらくしてそれは開かれ、彼を5階まで運んだ。扉が開かれるとそこに男が立っていた。
    「よう。」
    先ほどまで北署で一緒だった松永が声をかけた。突然のことだったので彼は返答に苦慮した。
    「あ、ああ…。」
    「部屋は奥だ。」
    そう言うと松永は十河を奥へ手引きした。
    「512号室なんて部屋はここにはない。」
    彼は苦笑いをした。
    「秘匿性が求められる場合は、これぐらいの気遣いがホテルには求められる。」
    部屋の前で立ち止まった彼は扉に記されている部屋番号が1512であることを確認した。松永はカードキーを取り出して扉を開いた。そして部屋に入ってすぐの壁に手にしていたカードを差し込み、室内の全ての照明を灯した。
    部屋に通された十河だったが、3歩歩んだところで彼は足を止めた。
    「何ですかこれは…。」
    ゴールドリーフの1512号室は60㎡の豪華な作りのスイートルームであった。上質で機能的、そして贅沢でくつろぎのひとときを提供するというのが、スイートルームの本来の用途。しかし今、十河が目にしている情景はそう言ったものとは程遠いものだった。本来ならばこの部屋から隣接する金沢城址公園を望み、眺めの良さを楽しむはずの大きな窓はホワイトボードが置かれることで、その魅力を見事に失わせていた。そしてそのホワイトボードには様々な人物の顔写真、そして殴り書きに近い文字の羅列が見

    • 18分
    64,12月21日 月曜日 14時22分 金沢銀行本店

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    64.mp3

    本多慶喜は12畳ほどの広さの専務室にある革張りの自席に座った。ため息をついたところで懐にしまっていた携帯電話が鳴った。彼はそれを取り出して画面に表示される発信者の名前を見て思わず舌を打った。
    先程まで開かれていた金沢銀行の役員会上でマルホン建設の追加融資には、条件が課せられた。それは事前に山県が作成した経営改善策を無条件で受け入れることだった。常務の加賀は成長分野である介護・医療の優良先とマルホン建設が提携する山県の案を評価した。これが即座に実行されるならば、仮に金融検査が入っても格下げを回避できようという評価だ。併せて加賀はこの改善策を根拠に、金融庁にマルホン建設の査定を大目に見るよう、事前に働きかけること約束した。
    今俎上に上がっている1億の融資が実行されなければマルホン建設は資金ショートを起こして経営に行き詰まってしまう。しかしそのために課せられた条件は慶喜にとって具合の悪いものだった。提携だけならば良いが、ドットメディカルはそれに条件をつけてきた。ドットメディカルのマルホン建設における発言権を高めるために、役員を刷新せよとの事だった。現社長はそのままで、一族の役員は全て解任。その代わりにマルホン建設社内の生え抜きの若手管理職を常務に、ドットメディカルから専務取締役を選任せよとのことだ。後の2人の取締役は社外から引っ張ってくる。今まで役員数が何故か10名もいたマルホン建設はその数を5名にせよとのことだった。
    慶喜は金沢銀行専務取締役ながら、実家の家業であるということもあって、マルホン建設の社外取締役として席を置いていた。しかし今般の提携話によってその職も解かれることとなる。
    「善昌…。すまん…。」
    そう言って彼は何度も鳴る携帯をそのまま机の上に置いて放置した。しばらくしてそれは鳴り止んだ。
    ー兄貴にどう報告すればいいんだ…。
    慶喜は背もたれに身を委ねて、そのまま天を仰いだ。目を瞑りひと時の間をおいて彼は目を開いた。そして彼は自席に配されている固定電話の受話器に手をかけた。
    「もしもし…。あぁ、私だが…。」
    「どうしました。」
    「まずいことになった。」
    「まずいこと?」
    「マルホン建設の人事が一新される。」
    「はぁ?」
    「俺も身内も全員解任だ。」
    「どうしたんですか急に。」
    「実は…マルホン建設に対する1億の融資案件があってな。その実行条件として役員一同の刷新が課せられた。」
    受話器の向こうの男は黙ったままだった。
    「善昌はそのままだが、役員のほとんどが社外からの者になる…。」
    「あの…そういう事態を未然に防ぐのがあなたの仕事のはずじゃないですか。」
    「すまん…。私の力が及ばなかった…。」
    「専務困りますよ。力及ばずで済ませる話じゃありませんよ。何とかしてくださいよ。」
    「しかし…。役員会でこれは決議された。この条件を飲まないことには手貸が実行できん…。」
    電話の向こう側の男はしばらくの沈黙を経て言葉を発した

    • 16分
    63,【前編】12月21日 月曜日 13時51分 北上山運動公園駐車場

    63,【前編】12月21日 月曜日 13時51分 北上山運動公園駐車場

    63.1.mp3

    「何で電話かけてくるって?そりゃあお前、おたくの理事官さんが帳場のことはお前に聞けっておっしゃっていらっしゃったからやわ。あ? ほんなもん知らんわいや。こっちが聞きてぇわ。お前こそあいつにいらんことちゃべちゃべ喋ったんじゃねぇやろな。あ?…喋っとらん?…そうなんか…。」
    会話の内容から電話の相手は岡田であることがわかる。片倉は県警で松永と出くわした。出くわしたというよりも、松永が片倉をつけていたと言った方が表現が適切かもしれない。松永の口から岡田の名前が出たため、彼がこちらの事をリークした恐れがあった。今朝、岡田とはお互いの行動の極秘を誓った筈なのに、何故お前は裏切るような行動を取るんだと詰問しようとした片倉だったが、岡田の弁明によってそれは誤解だとすぐにわかった。片倉は信頼できるはずの部下を、このように疑いの目を持って詰問した自分の節操のなさに嫌気が差した。
    結局のところ松永が何故自分の行動を捕捉していたか、その原因は分からずじまいだ。
    文子からの事情聴取を終えた片倉はアサフスの裏手にそびえる北上山の中腹にある運動公園の駐車場に車を止めた。
    「おい、片倉。」
    彼の隣で煙草をふかしながら、窓の外にチラホラと舞ってきている雪の様子を見ていた古田は声をかけた。片倉は古田の呼びかけに、何故自分が今、岡田に連絡を取っているかを思い出した。
    「ああ…岡田、お前を疑ってしまってすまんかった。ところで帳場のほうで何か変わった動き、無かったか?」
    換気のため指二本分開いた窓から古田は吸い込んだ煙を勢い良く吐き出した。
    「何?似顔絵?何の…。…おう。…ふん…。…タクシーで熨子山か?小松空港から…。おう。」
    片倉はドアを開けて車外に出た。そして彼は古田同様煙草に火をつけ、岡田からもたらされる捜査本部の情報に耳を傾けた。5分ほど話し込んでいただろうか。彼は再び車内に乗り込んでスマートフォンの画面を見つめた。しばらくしてそれは受信音を発した。片倉は3度ほど画面をタッチし、届いたメールを見る。彼の身体は固まった。
    「どうした。」
    「トシさん…。これ…。」
    そう言うと片倉は画面を古田に見せた。それを見た古田も動きを止めた。
    「どういうことや…これ、鍋島じゃいや。」
    片倉はスーツのポケットから、先程文子から拝借した鍋島の写真を取り出して、画面に表示される似顔絵と見比べた。
    「間違いねぇ。」
    「片倉、こいつがどうしたって?」
    「ああ、この似顔絵の男を小松空港から熨子町まで運んだっていうタクシー運転手が、今朝北署に来たそうなんや。このタクシーの運転手が言うには、こいつは熨子町までの道中、ほとんど何も話さんかったらしい。運転手の問いかけには、はいとかいいえだけ。ほんで唯ひたすら前の方だけを見とったそうなんや。ところが、この男が唯一動いた瞬間があった。」
    「おう。何やそれは。」
    「穴山と井上を目撃した瞬間や。」
    「何ぃ?」
    「山側環状をちんたら走っとるこいつらをタクシーが追い抜かそうとした時、この鍋島と思われる男は奴らを追うように見つめ続けとったそうなんや。何に関しても反応が薄かった男がや。」
    古田は自分の顎に手をやってしばらく考えた。
    「…鍋島は、穴山と井上の存在をその時点で既に

    • 9分
    63,【後編】12月21日 月曜日 13時51分 北上山運動公園駐車場

    63,【後編】12月21日 月曜日 13時51分 北上山運動公園駐車場

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    • 12分
    62,【後編】12月21日 月曜日 14時17分 マルホン建設工業

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    • 9分

カスタマーレビュー

4.6/5
72件の評価

72件の評価

やみつきキュウリ

映画化出来る!!

複雑なストーリーと登場人物の多さを演じわける力量もさることながら、それが音声だけでここまで伝わるとは!!
それだけでなく、その引き込まれる内容も素晴らしいです。ラストの盛り上がり、最高です。

とっこヽ(*´∀`)

面白いです👍

初めてラジオドラマを聴いたのですが、非常に面白く引き込まれて行きます。
出来れば女性役の方いらっしゃれば良いかと…。

今後も楽しみにしています。

ダブル竜巻旋風脚

燃えます

こんなに熱くなるとは思いませんでした。
まだ63話ですが最終話まで楽しみでしかたありません。
最高です。

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