ブレイン・コンピューター・インターフェイス:心と機械の出会い

市場の風を読む

人間の脳と外部ディバイスの直接接続を可能にする技術の医療分野における可能性と市場機会について、この方面に詳しいモルガン・スタンレー医療テクノロジー・チームがお話しします。

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----- トランスクリプト -----

「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

今回のエピソードでは、モルガン・スタンレー米国医療テクノロジー・チームのカラム・ティッチマーシュが、SFさながらのテーマ、ブレイン・コンピューター・インターフェイス、略してBCIについてお話します。

このエピソードは10月22日 にニューヨークにて収録されたものです。

英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

 アイアンマンとして知られる主人公のトニー・スタークが作中で装着する最新版アーマースーツは、ブレイン・コンピューター・インターフェイスの良い例だと思います。大富豪のビジネスマンで発明家でもある主人公が重傷を負った際に開発したこのアーマースーツにより、主人公は頭の中でそう考えるだけで、空を飛んだり、リパルサーブラストなる武器で障害物を吹っ飛ばしたり、誘導ミサイルで敵を撃退したりと、超人的な能力を発揮できるようになるのです。

 もちろん、これはSFの世界の出来事です。現実世界のブレイン・コンピューター・インターフェイス、略してBCIは、それほど奇想天外な技術ではありません。しかし、頭の中でそう考えるだけで、例えば、スクリーンに文章を表示させたり、ロボット義肢を動かしたりすることができるなど、魅力的な技術であることに変わりはないと思います。

BCIは100年以上前から開発が進められてきた技術ですが、最近の技術進歩のおかげで実用化のタイミングが急速に近づいています。私たちの予想では、BCIの商業ベースでの医療利用はあと5年ほどで始まり、ALSなどの筋萎縮性側索硬化症からうつ病まで、幅広い健康障害の治療に役立つようになるでしょう。

 私たちがBCIに見込む市場機会は膨大で、理論上の最大市場規模、言い換えるならTAMは米国だけで4,000億ドルに達すると見ています。BCI技術には、スクリーン上のカーソルを動かすなど、頭の中で考えたことを実行するエネーブルBCIと、うつ状態やてんかん発作などの有害事象を予防するプリベンティブBCIの二つのタイプがあり、この数字はこれら二つのBCI技術それぞれに見込むTAMを合わせたものです。

 BCIの医療分野における市場機会を分析するに当たり、私たちはTAMを初期TAMと中間TAMの二つのセグメントに分けました。初期TAMは、重度の上肢障害を持つ個人や、てんかん発作やうつ状態など、特定の神経系疾患を患う個人を対象とするBCIに見込むTAMから成ります。最初にBCIを利用した治療を受けられるのは、こうした障害や疾患を持つ個人になるとの考えからです。一方、中間TAMは、軽度の上肢障害や重度の下肢障害を持つ個人を対象とするBCIに見込むTAMから成ります。BCI技術が発達すると共に、こうした障害を持つ個人もBCIを利用した治療を受けられるようになるとの

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