森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』

夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

   女:私達は出逢う
     それが運命のように
   男:僕達は恋に落ちる
     すべてを運命のせいにしながら

 天使1:ひとりになると分かるんだ
     誰かが隣にいることは

 天使2:36°Cの静かな炎に
     心が照らされていること

   男:僕達は見つめあう
     もっと素敵なあなたを知りたくて
   女:でも私はふと目を伏せる
     自分の弱さに気づかれてしまいそうで
     必死に他の誰かを演じては
     後悔ばかりしている

ピーター:目の前で彼が微笑んでくれているのに

 魔術師:そうかわかった
     ひとつだけ教えてやろう
     〝夢〟は手に入れたとたん見えなくなる
     だが無くなったのではない
     それは心に溶けてしまったからだ
     〝夢〟の本当のチカラは
     おまえの中で〝勇気〟に変わること
     おまえの強さに変わること

   男:僕達は抱きしめあう
     太陽が沈まない国を見つけた冒険家のように
     有頂天になって

   女:私達は幸せの種類を幾つも増やす
     頑固な大人達が月に眠らされている隙に
   影:世界の至る所に仕掛けられた
     〝哀しみ〟のことはすっかり忘れて

  旅人:もう少しだけこの場所で
     あなたとこうしていたいのに
     景色が動いてしまいます

旅人&影:扉が開いてしまいます

 魔術師:何度押しても来なかったエレベーターのボタンは
     運命を乗り換えるスイッチだったかも知れない
ピーター:カウンターの隅で寝ている酔っぱらいの戯言(ざれごと)は
     楽園の扉を開く呪文かも知れない

  旅人:マンションの廊下の不自然な水溜りは
     殺人の凶器だった氷の塊が溶けたものかも知れない
 天使達:マンションの廊下の不自然な水溜りは
     誰かの失恋を憐れんで
     天使がこぼした涙かも知れない
ピーター:ウエンディの背中にあるホクロを繋げると
     愛という宝物が隠された地図になるのかも知れない

ウエンディ:ピーター帰っていらっしゃい
     あなたが探し続けるのは
     とっくに持っていることに気づけないモノ

   男:あなたの瞳を覗き込むと
     僕がいました
   影:「愛してる」と言いながら
     何が愛だかさっぱり分からない
  男&影:臆病で大胆な詐欺師のような僕が
 天使達:いえ迷子のままのあなたが
  男&影:あなたの瞳に滲んでいました

   女:あなたの心を覗き込むと
     私がいました
   影:あなたをこんなに好きなのに
     自分をちっとも好きになれない
  女&影:嘘つきで意地っ張りなエゴイストが
 天使達:いえ壊れそうなあなたが
  女&影:あなたの心で震えていました

   女:私達は出逢い
   男:恋に落ちる
ピーター:僕達は見つめあい
ウエンディ:ふと目を伏せる
 魔術師:やがて二人は抱きしめあい
 天使達:幸せの種類を幾つも増やす
   女:そして私達は
   男:僕達は
   影:別れる

  男達:人は旅人
     通り過ぎた風の中に
     幾つもの物語を残しながら
  女達:みんな旅をする
     まだ見ぬ誰かと
     まだ見ぬ自分に出逢うために
  全員:〝夢〟の本当のチカラは
     次の扉を開ける〝勇気〟に変わること
     〝勇気〟に変わること

《for your ears only ver.》

1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』
2024年1月14日(日)発売
特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠

ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞
スタッフX:⁠⁠⁠⁠ ⁠https://x.com/yukinojo_news