残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

赤ちゃんの泣き声を理解するノベーション(1595回)

今年徳島大学医学部を卒業されて、株式会社Cross Medicineを立ち上げられた、代表取締役社長の中井 洸我さんの、赤ちゃんの鳴き声を理解する「あわベビ」に衝撃を頂きました

1、創業の背景とミッション

『医療をもっと身近に、自然に』というこのミッションを掲げて創業しております。

私は医学部出身で、卒業後に予防医療に取り組んだ会社を創業しました。

私たちが取り組むのは、親子のウェルビーングが損なわれるグローバルヘルスの課題です。

2、産後うつの現状

毎年約2300万人のお母さんが産後うつで苦しんでいると言われています。

例えばインドでは26.3%、中国では30%の女性が産後うつを経験すると言われています。

これだけ多くの方がいらっしゃるんですけど、実はその半分が未診断なんです。つまり医療にかかることなく苦しんでいる状況なんですね。

これは非常に潜在的ニーズが大きい領域でして、アメリカでも2030年までに取り組まないといけないヘルスケアの課題トップ10に産後うつが挙げられているほど重要な社会問題です。

3、泣き声に注目した理由

この産後うつの原因として4つほど言われているんですが、その中でも私たちは泣き声に注目しました。

なぜかというと、赤ちゃんの泣き声はその場で泣いているので緊急性が高い。ストレスも一気に高まる。

さらに男性や子育て経験が少ない人ほど泣き声の理解が難しい傾向にあります。でも、父親や周囲の人が泣き声に対応できればお母さんの孤立が減りますし、泣き声に適切に対応できると無力感が解消される。

実際に父親が育児に関わると産後うつが減るというデータもいくつも出ているんです。

4、サービス名の由来

そういう意味で『誰もが子育てに関わる』ということのキーになるのが泣き声だと考えました。

そしてサービス名の『あわベビ』ですが、これは『OUR=誰もが』と、私が徳島大学の医学部出身で阿波踊りの『Awa』、さらに赤ちゃんが泣き声に反応してバブルの泡が出る『Awa』を掛け合わせて付けました。」

5、アプリの仕組みと特徴

アプリ自体は赤ちゃんの泣き声が分かるようになるアプリです。赤ちゃんが何で泣いているのか、どうしたらいいのかを教えてくれる。

今は11種類の感情に59種類の対処法を提案できるようになっています。

これまでは子育ての対処法って親から聞いたり、地域の中で伝統的に受け継がれてきたんですけど、学校では教わらないですよね。

私たちは14万件のデータをAIに学習させて、感情ごとにこうした方がいいと提案できるようにしました。精度も87%を達成しましたし、昨年の学会で優秀賞をいただき、さらにトラベルアワードをいただいて、今度は海外の学会でも発表する予定です。

6、ビジネスモデル

仕組みとしてはポイント制と課金と広告の3本立てです。

有料の人はプレミアムAIを制限なく使えて、広告もなく利用できます。

無料の人はデータを入力することでポイントが貯まり、プレミアムAIを使えるようになる。

さらに子育て関連企業向けに広告枠を作って、例えばミルクやおむつといった具体的な対処法に合わせた広告が出せる仕組みです。」

7、ユーザーの声

リリースしてから日も浅いんですが、すでに多くの声をいただいています。

『半信半疑で使ったけど、その通りにしたら泣き止みました』

『泣き声が分かるとストレスが減りました』

『リアルタイムで分析してくれるので助かります』

あるお母さんは『あわベビがなかったら子育てできていなかったと思います』『1家に1人助産師がいるような衝撃的な技術だ』とも言ってくださいました。

8、実績

実績としては、累計で2万人がダウンロードしています。

福利厚生としても4社に導入いただいています。

マーケティングはほとんどしていないんですが、8割の人が自らAppStoreで検索して見つけてダウンロードしてくださっている状況です。

9、個人的背景と理念

最後に挨拶になりますが、実は自分の母親が育児ストレスから難聴になっておりまして、それを医学部に入ってから知りました。

ヘルスケアというのは誰かを思う愛の心から課題解決が起こってくるのだと感じています。

臨床の先生方もそうですが、患者さんを救いたいという思いから課題解決が起こる。まさに『ヘルスケアは愛である』と感じています。

産後うつは虐待や自殺に繋がり、親子の愛を阻害します。その愛の問題を解決することを通して、社会により多くの愛の輪を、ヘルスケアサービスを通じて届けていきたいと思っています。

と言うことで、赤ちゃんの声を理解するという衝撃の技術を引っ提げてベンチャーを立ち上げられた中井社長のソリューション紹介第一弾でした。

明日からは、さらなるソリューションの深掘り、そして、中井社長のイノベーション人生についても、これから掘り下げていきますので、ご期待くださいませ!

そして気になる方は、ぜひぜひご連絡くださいませ

参考:あわベビ ホームページ

https://awababy.tech