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この時期になると色々なところで予算の話が聞こえてきますが、予算は国や自治体ばかりでなく、私が勤務する大学でも策定していますし、ラジオ局にもあるかと思います。また、皆さんの勤め先やご家庭など至る所にあって身近な存在といえるでしょう。それだけに「縛られている」と感じる人もいるかもしれませんが、この予算について改めて考えてみたいと思います。

「予算」は財務的な「予定」とも言い換えることができ、基本的には金額で表現されることが多いですが、「何をどれだけ購入する」といった形で数量的な裏付けを伴っていたりします。そして比較的多くの人は「予算」と言えば、「支出の限度」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、予算は必ずしも支出に関わるものばかりではありません。

例えば国の予算の場合、支出サイドである「歳出予算」に加えて、収入サイドである「歳入予算」も同時に策定されます。しかし、歳出予算が年度全体の支出の「限度」を意味するのに対して、歳入予算の方は単なる収入の「見積もり」という違いがあります。歳入、歳出が一致する形で政府が案を作り、その両方を議会が承認しますが、歳出は政府が予算の限度内に支出を収める責任を負う(収めきれなければ補正予算を策定して再び議会承認を得る必要がある)のに対して、歳入は予算額の達成が政府に責任付けられていません。景気や金利などの情勢により歳入が予算額に達しなかった場合、一時的な前借などによって補填することが可能です。

つまり歳出については、国民から集めた大事な税金が議会の承認した目的や用途に正しく使われるよう、予算を限度とした監視がなされるのに対し、歳入は期待に留まるということです。こうしたことも「予算」が「支出限度」的な印象を持たれる背景かも知れません。また、非常に身近な話として、個人が家計の収入・支出からなる予算を作る場合、サラリーマンでは給料が増える訳では無いことから、目的としては無駄遣いを無くして支出を抑えようということになるので、やはり予算≒支出限度(目標)と受け止めるのかもしれません。

それでは、一般企業の予算はどうでしょうか。一般企業でも多くは政府同様毎年「予算」を策定しますが、全体の財務目標としては「利益」が何といっても重要です。しかし、企業組織の内部ではどうかと言うと、部署によって設定される予算上の目標は違いがあります。例えば、営業部門では利益ではなくて収益(売上)目標が課されるケースが多く、製造部門や本部管理部門では費用(支出)目標が設定される傾向があります。中にはそうした財務的な金額目標ではなくて、聴取率などの数量的な目標が課されるケースもあります。一方、事業本部や〇〇カンパニーと称されるようなところでは、利益や投下資本あたりの利益が目標とされていたりします。

こうした違いが生じているのは何故でしょうか。それは、そもそも予算は企業にとっての目的そのものではなくて、戦略実行のためのツールだからです。企業は目的を実現するために戦略を立て、それを実行するために組織の在り方を見直します。その上でそうして出来た組織の各部署が、それぞれの機能を発揮して戦略を実行するよう促すためのツールが予算で、各部署に

この時期になると色々なところで予算の話が聞こえてきますが、予算は国や自治体ばかりでなく、私が勤務する大学でも策定していますし、ラジオ局にもあるかと思います。また、皆さんの勤め先やご家庭など至る所にあって身近な存在といえるでしょう。それだけに「縛られている」と感じる人もいるかもしれませんが、この予算について改めて考えてみたいと思います。

「予算」は財務的な「予定」とも言い換えることができ、基本的には金額で表現されることが多いですが、「何をどれだけ購入する」といった形で数量的な裏付けを伴っていたりします。そして比較的多くの人は「予算」と言えば、「支出の限度」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、予算は必ずしも支出に関わるものばかりではありません。

例えば国の予算の場合、支出サイドである「歳出予算」に加えて、収入サイドである「歳入予算」も同時に策定されます。しかし、歳出予算が年度全体の支出の「限度」を意味するのに対して、歳入予算の方は単なる収入の「見積もり」という違いがあります。歳入、歳出が一致する形で政府が案を作り、その両方を議会が承認しますが、歳出は政府が予算の限度内に支出を収める責任を負う(収めきれなければ補正予算を策定して再び議会承認を得る必要がある)のに対して、歳入は予算額の達成が政府に責任付けられていません。景気や金利などの情勢により歳入が予算額に達しなかった場合、一時的な前借などによって補填することが可能です。

つまり歳出については、国民から集めた大事な税金が議会の承認した目的や用途に正しく使われるよう、予算を限度とした監視がなされるのに対し、歳入は期待に留まるということです。こうしたことも「予算」が「支出限度」的な印象を持たれる背景かも知れません。また、非常に身近な話として、個人が家計の収入・支出からなる予算を作る場合、サラリーマンでは給料が増える訳では無いことから、目的としては無駄遣いを無くして支出を抑えようということになるので、やはり予算≒支出限度(目標)と受け止めるのかもしれません。

それでは、一般企業の予算はどうでしょうか。一般企業でも多くは政府同様毎年「予算」を策定しますが、全体の財務目標としては「利益」が何といっても重要です。しかし、企業組織の内部ではどうかと言うと、部署によって設定される予算上の目標は違いがあります。例えば、営業部門では利益ではなくて収益(売上)目標が課されるケースが多く、製造部門や本部管理部門では費用(支出)目標が設定される傾向があります。中にはそうした財務的な金額目標ではなくて、聴取率などの数量的な目標が課されるケースもあります。一方、事業本部や〇〇カンパニーと称されるようなところでは、利益や投下資本あたりの利益が目標とされていたりします。

こうした違いが生じているのは何故でしょうか。それは、そもそも予算は企業にとっての目的そのものではなくて、戦略実行のためのツールだからです。企業は目的を実現するために戦略を立て、それを実行するために組織の在り方を見直します。その上でそうして出来た組織の各部署が、それぞれの機能を発揮して戦略を実行するよう促すためのツールが予算で、各部署に

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