今回の特集は、『SUMMER SONIC 2025』です。来年には25周年を迎える通称サマソニは、都市型音楽フェスティバルとして、日本最大級の野外ロック・フェスティバルであるフジロックと共に日本の洋楽アクトを大規模に招集する夏フェスの二大巨頭として、その役割を担い、お互いが歴史を積み重ねてきました。だからこそ、定点観測することによって日本の音楽産業(洋楽の隆盛状況)そのものを見通すことが出来る、音楽ファンならば無視することのできないイベントとなっています。
そんな中、この両者のラインナップを通して発せられるシグナルは近年、より異なったものになってきています。特に今回僕ら2人が参戦してきたサマソニは、2010年代後半から”ロックフェス”であることから離れ(元々サマソニはそのようなオールジャンルを指向する”都市型音楽フェスティバル”でしたが)、HIPHOPやEDM、そしてK-POPや日本のアイドルを大胆にラインナップに加えていくようになりました。そして、僕ら2人はだからこそ、2010年代後半に上京してから、毎年サマソニを選択しているのだと思っています。
この、フジロッカーと呼ばれるフジロック愛好家を毎年生み出し固定客を掴んでいるのとは対照的に、誰もサマソニストを自認しない、毎年観客の傾向がラインナップによって流動し、都市で行われ毎年「反省と改革」を結局はどのフェスよりも行い、その形を変え続けているのがサマソニであると思います。だからこそ、2018年にまだ当時「ocean eyes」で世界に姿を現し始めたばかりのBillie Eilsishが出演するなど、そのビジョナリーさをいかんなく発揮してきました。Billie Eilsishは、裏で同日にスペシャルワンとしてサマソニ対ビリーの構図で語られる単独公演を開けるまでに成長しました。そして、今年のラインナップにもそのようなアーティストを満杯ではないメインステージではない状態で私たちは目撃できたかもしれません。
そんな、大文字の”東京”をどこよりも体現しているサマソニを通して、今の音楽の動向だけでなく、都市のダイナミズムまでも感じることができる。今を生きている人々が何を眼差しているのか?までも、見通すことが出来てしまう。それこそが、サマソニの1番の特徴なのではないかと考えています。そんなことを考えながら、今年のサマソニの振り返りを是非一緒にしていきましょう。
Information
- Show
- FrequencyUpdated Weekly
- PublishedAugust 30, 2025 at 2:54 PM UTC
- Length53 min
- Season1
- Episode12
- RatingClean