感染症ニュース:感染症・予防接種ナビ

2022年5月時点の感染症ニュースです。

2022年5月時点の感染症ニュースです。今回は、梅毒についてお伝えします。梅毒の患者報告数が増えており、このまま増え続けると、21世紀に入ってから最も多い患者報告数となる可能性があります。国立感染症研究所の発表によると、2022年5月8日までの報告数によると、全国で3,339人となっており、昨年の同じ時期よりも1.6倍となっています。特に東京都では、累積患者報告数が1,000人を超えています。今後の患者報告数の推移に注意が必要です。 梅毒とは、他人の粘膜や皮膚と直接接触するなど、性的な接触によってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が、ヤマモモに似ていることに由来します。感染すると、全身に様々な症状が出ます。早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。無症状になりながら進行することもあるため、治ったことを確認しないで、途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。 感染症専門医の、大阪府済生会中津病院の安井良則医師によると、このまま梅毒の患者報告数が増え続けると、年末には1万人を超える可能性もあるといいます。昨年は新型コロナの影響で外出の機会も少なく、観光客も少なかった事から、ここまで梅毒の患者報告数が増えるとは、思ってもみなかったそうです。今後は新型コロナの影響が少なくなってきたら、人の流れが緩和され、6月には海外からの観光客も入ってくるとされています。特に、夏場は開放的な気持ちになる季節でもあり、患者報告数が爆発的に増える可能性もあるため、注意が必要です。男女ともに性風俗産業の従事歴や利用歴がなくても梅毒に感染しています。自分だけではなく、パートナーを含め、梅毒に関しての正しい知識をもつことが大切です。