普段考えないことを考えるラジオ

#29冗談ではなくファンタジー

 彼が主張していた「『刷毛のスポンジ版』はホタニの通っていた美術予備校で作られた」説は事実なのか否かについて、ラジオ収録後に真剣に考え、調べていました。

 「刷毛のスポンジ版」は、アクリル画・パステル画で支持体に色を伸ばすための「スポンジブラシ」という名前で複数のメーカーより販売されています。私の通っていた予備校では、木炭素描で平坦な面を作るために使用する人が非常に多かったです。

もし彼の説が正しい場合、同校が創立約50年であり、当時の大手美術大学の入試内容に素描が含まれている事から考えるに、鉛筆または木炭素描用としてスポンジブラシを販売するでしょう。しかし「素描 スポンジブラシ」とネット検索をかけても想像しているスポンジブラシは一切ヒットしませんでした。

 それなら、「当初は素描用として販売していたが、他メーカーがスポンジブラシを着彩道具として製造販売するようになった。結果、素描道具としての有用性より着彩道具としての有用性が優った」という説も考えられなくはないでしょう。でもこの説を正とする仮説を立てた時、50年前というさほど古くもない情報がネットの海から現れないのは、不自然だと感じます。当時二十歳だった人ですら今年で70歳で、存命の人はまだまだ多い年齢かと思うので、この仮説はあまり妥当ではないでしょう。

 明確な統計や一次情報に基づいた根拠、また代表のおじさんを連れてくるなどすれば私の意見は強固なものになるでしょうが、そこまで真剣にやる気も無いのでここまでにします。彼の説は単なるファンタジーであると、(稚拙ではあるものの)この検証をもって一旦の結論としたいと思います。