瀬戸夏子の言わなければよかったのに

ep.39 角宮悦子『ある緩徐調』

過小評価すぎる歌集/葛原妙子/河野愛子/塚本邦雄/真鍋美恵子/「哀しくない人は短歌詠まなくてもよいのよ」/満点の星ひびき合ひわがための鎖となりて落ち来る恐れ/薄暗き谷の星空金銀交換所とぞおもひねむりし(葛原妙子)/天体は新墓のごと輝くを星とし言へり月とし言へり(葛原妙子)/わが胸を不意に抜け行く幻の乳母車あり虹嵌めし空/桃の雫の匂ひして夕映ひろがりし街を歩めり誰とも無縁/われよりも鋭き初夜は来む乳首ほどの蛇苺を踏む少女/母の不倫きらめく昼か恍惚と梅酒に大き蟻おぼれ死ぬ/覚めてゐれば淋しくなるからもう眠らう耳のうしろを月に洗ひて/冷蔵庫に生きながら貝閉ざされし背中に夜の髪とき放つ/日の在処天空の喉となりゆけり社の絵馬を鳴らす木枯/大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむらさき(春日井建)

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8/25(月)19時〜

『をとめよ素晴らしき人生を得よ 女人短歌のレジスタンス』トークイベント

https://aoyamabc.jp/collections/event/products/2025-0825