アジアのクリーンパワーは転機を迎えたのか?

市場の風を読む

南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、アジアのエネルギー見通しにおいて電力業界全体に変化をもたらしている主なドライバーについて説明します。

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「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

今回は、南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、アジアの発電と電力消費に影響を及ぼしている大きな変化についてお話します。

このエピソードは11月20日 にシンガポールにて収録されたものです。

英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

去年、世界では25兆 kWhの電力が消費され、そのおおよそ半分をアジアが占めました。世界の他の地域と同様アジアの需要は拡大しており、電力消費量は転換点にあります。2030年までの世界の電力消費量は、過去10年間より26%速いペースで成長すると弊社は予想しています。アジアの電力市場はやや米国と似た状況で、今後数年間、需給が引き締まると予想されます。ただし現在でもインドやシンガポールは、電力需要がコロナ禍前の1.5倍から2倍のペースで成長しており、マレーシアもそうした状況に近付いています。

こうした急速な成長を何が牽引しているのでしょうか?住宅向け電力需要の他、生成AIデータセンターや生産施設のリショアリングが、電力需要の成長を牽引しています。新たな半導体投資が行われ、新しいエネルギー・サプライチェーンの拡大自体が、実際に需給の引き締まりに拍車をかけています。

しかし重要なことに、クリーンパワーのコストと需要の地域による違いは歴然としています。アジアでは電力価格が着実に上昇してきました。クリーンパワーだけでは需要の急拡大に対応できないため、各国の規制当局は、石炭火力発電所の利用期間延長、新たなガス・石炭火力発電所の建設、さらには原子力発電の再開といった形で、供給不足を認識しています。

ただし、興味深いことに、クリーンな発電のコストは、コロナ禍後に大きく上昇した後、かなり急速に低下し、2024年はトレンドを下回りました。平均するとアジアの太陽光発電パネル価格は50%下落し、陸上風力発電のコストは10%低下しました。エネルギー貯蔵コストは、3分の1も低下し、過去5年間には見られなかった水準になりました。

しかし、こうしたコストの低下には地域によって大きなばらつきが見られます。米国と欧州では関税その他供給のボトルネックにより、コストの低下ははるかに小幅にとどまっています。アジアでは、過去数年間、発電能力の拡大で中国に後れを取っていた南アジアを中心に、発電会社の採算が大幅に改善しています。

自前のクリーンパワーのサプライチェーンを構築しようとしている地域では、生産能力の過剰さえ生じており、これがクリーンパワーのサプライチェーンにおける価格下落の一因となっています。中国で既に見られるクリーンパワーのサプライチェーンにおける生産能力の過剰に、クリーンパワーに対する需要が極めて

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