こんばんは。テレポートラジオの時間です。今夜は特別編として、京都・左京区からお送りします。
私たち、平野友康と野口岳は、今、とある歴史的な旅館に滞在しています。この建物、実は今年で閉館となる由緒ある場所なんです。窓の外には紅葉がまだ残っていて、12月とは思えない京都の秋の風景が広がっています。
[山科家について] 今日は、山科家という公家のお話から始めたいと思います。山科家は、藤原北家四条流という、日本の歴史に深く関わる家系の流れを汲む公家でした。初代の藤原実教は1150年から1227年を生きた人物で、後白河法皇から山科新御所とその周辺を所領として賜ったことから、山科という名を持つようになりました。
[創造性の系譜] 山科家の特筆すべき点は、その創造的な役割にあります。内蔵頭として朝廷の財政を担当しながら、装束・衣紋道の家として公家の装束を調進し、さらには雅楽、特に笙の家としても知られていました。現代で言えば、クリエイティブエージェンシーのような存在だったんですね。
[記録の価値] 特に注目したいのが『言継卿記』という記録です。山科言継という人物が1527年から1576年まで、実に50年にわたって書き続けた日記です。これは単なる日記ではありません。皇室の経済活動から、庶民との交流、当時の医療行為まで、幅広い内容を含む貴重な記録で、2022年に重要文化財に指定されています。
[現代への示唆] 私たちが今、このテレポートラジオで注目したいのは、山科家が持っていた「記録」と「創造」の精神です。彼らは単に記録を残しただけでなく、その時代の文化創造の担い手でもありました。
[新しい挑戦] そして今、私たちは「御所おこし」という新しい挑戦を考えています。これは単なる観光振興ではありません。山科家が担っていたような、記録と創造の精神を現代に蘇らせる試みです。VRで古代御所を再現したり、伝統的な装束の知識をデジタルアーカイブ化したり、様々な可能性が広がっています。 戦後、日本は想像力で焼け野原から復興を遂げました。そして今、AIの時代を迎え、「あんなことできたらいいな」が即座に実現できる時代になりました。でも、それは新しい物語の始まりに過ぎません。山科家が残した記録には、創造性の本質が記されているのかもしれません。
次回は、この「御所おこし」の具体的な展開についてお話ししたいと思います。それでは、今夜のテレポートラジオはここまで。また会いましょう。
Information
- Program
- FrekvensVarje dag
- Publicerad17 december 2024 kl. 13:08 UTC
- Längd22 min
- Säsong1
- Avsnitt59
- ÅldersgränsBarnvänligt