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- LangChain & LangGraph 1.0 alpha releases
今回は、AI開発の主要フレームワークであるLangChainとLangGraphの1.0アルファ版がリリースされたという、注目すべきニュースをお届けします。このリリースは、AIアプリケーション開発の現場で活躍する、特にこれからAIの世界に飛び込む新人エンジニアの皆さんにとって、非常に重要な進歩となるでしょう。
まず、LangGraphについてです。これは、自律的にタスクをこなすAIシステム、いわゆるAIエージェントを効率的に「オーケストレーション」(複数の要素を組み合わせて協調的に動かすこと)するための低レベルなフレームワークです。複雑なAIエージェントシステムを本番環境で安定稼働させるための、きめ細かい制御や、エラーが起きても処理を続けられる「耐久性のある実行」機能を提供します。また、短期的な記憶や、人間が途中で介入できる仕組みも備わっています。UberやLinkedInといった大手企業でも既に本番環境で活用されており、その堅牢性は実証済みです。今回の1.0リリースでは、既存の機能との互換性を保ちながら、さらに安定性が高められています。
次に、LangChainです。こちらは、より手軽にAIの機能をアプリケーションに組み込むための高レベルなフレームワークです。様々なAIモデル(例えばOpenAIのGPTシリーズなど)との連携を標準化してくれるため、特定のベンダーに縛られずに、素早くAI機能を開発できます。LangChain 1.0では、LLM(大規模言語モデル)が外部ツールを使ってタスクを自動でこなす「エージェント」という概念に、特に焦点を当てています。例えば、LLMにWeb検索ツールを与えて、必要な情報を自動で収集させるといった使い方が可能です。新しいcreate_agent機能は、先ほど紹介したLangGraphの強力な基盤の上に構築されているため、より高度で安定したエージェントの構築が可能になります。もし皆さんが既存のLangChainの機能を使っている場合でも心配はいりません。従来の機能はlangchain-legacyという新しいパッケージで引き続き利用できるよう配慮されています。
そして、LangChainの基盤となるパッケージであるLangChain Coreも1.0に昇格しました。これは、LangChainが多様なAIサービスと連携するための共通の抽象化層を提供しています。今回のアップデートで特に注目すべきは、LLMとのやり取りに使われる「メッセージ」の形式が進化し、テキストだけでなく、画像や動画といった多様な情報を扱える「コンテンツブロック」に対応した点です。これにより、よりリッチで複雑なAIアプリケーションが作れるようになります。
さらに、PythonとJavaScriptの両方に対応した、新しい統一されたドキュメントサイトも公開されました。これにより、学習がさらにしやすくなるでしょう。
今回のアルファリリースを経て、10月下旬には正式な1.0バージョンが登場する予定です。皆さんのフィードバックが、今後の開発に貢献する機会にもなります。AI開発の進化を加速させるこれらのツールが、今後どのように活用されていくのか、非常に楽しみですね!
引用元: https://blog.langchain.com/langchain-langchain-1-0-alpha-releases/
- シングルエージェント vs マルチエージェントを整理してみる
AIエージェントの設計において、「シングルエージェント」と「マルチエージェント」という2つの主要な考え方があり、どちらを選ぶべきかという議論が活発になっています。新人エンジニアの皆さんも、これからのAIシステム開発で直面する可能性のある重要なテーマなので、一緒に整理していきましょう。
マルチエージェントとは? 複数のAIエージェント(自律的に思考・行動するAI)がチームを組んで協力し、一つのタスクをこなすイメージです。
- 得意なこと: Anthropicの研究のように、複雑な情報をリサーチする「読み込み中心」のタスク(例:論文調査、情報収集)で高い性能を発揮します。複数のAIが並行して情報を集めることで、効率的に進められます。
- 難しいこと: 複数のAIが協調するため、AI同士の「情報共有(コンテキスト共有)」が難しくなる点が課題です。Cognition AI(Devinの開発元)は「マルチエージェントを作るな」と主張し、例えばFlappy Birdのゲーム開発で、背景担当のAIがマリオ風、鳥担当のAIがリアルな鳥を作るなど、各AIが独自の判断(暗黙の決定)をしてしまい、最終的に一貫性のない成果物になる例を挙げています。人間同士のプロジェクトでも、情報共有が不十分だと認識のズレが生まれるのと似ていますね。また、トークン使用量が増えコストが高くなる傾向もあります。
シングルエージェントとは? 一つのAIエージェントが、最初から最後まで責任を持ってタスクをこなすイメージです。
- 得意なこと: コーディングのような「書き込み中心」のタスク(例:コード生成、コンテンツ作成)で、一貫性のある成果物を作りやすいとされています。一つのAIが全ての文脈(コンテキスト)を把握したまま作業を進めるため、矛盾が生じにくく信頼性が高まります。デバッグ(不具合の原因探し)も比較的容易です。
- 難しいこと: 複雑なタスクになると、AIが一度に扱える情報量(コンテキストウィンドウ)の限界にぶつかる可能性があります。
結局、どう使い分けるの? LangChainも指摘しているように、どちらが優れているというより、タスクの特性によって最適な選択が変わります。
- 読み込み中心のタスク(リサーチ、分析): 複数のAIが情報を集めても矛盾しにくいので、マルチエージェントが有効な場合が多いです。
- 書き込み中心のタスク(コーディング、コンテンツ作成): 一貫性が非常に重要なので、シングルエージェントの方が適している場合が多いです。
まとめ AIエージェントの設計は、ソフトウェア開発と同じで、どんな「仕事」をさせたいかによって最適なアーキテクチャを選ぶことが大切です。
- タスクの並列化のしやすさ
- AI間の情報共有の必要性(一貫性がどこまで重要か)
- 開発コストや運用コスト
これらをよく考え、最初はシンプルな構成(シングルエージェント)から始めて、必要に応じてマルチエージェントやハイブリッドなアプローチを検討するのが良いでしょう。「Keep It Simple, Stupid(シンプルに保て)」という原則がここでも重要になります。AIに適切に情報を伝える「コンテキストエンジニアリング」の技術も、これからますます重要になってきます。
引用元: https://zenn.dev/r_kaga/articles/ea7119d22d4d3c
- Claude Codeを使ってAIにブログ記事執筆を任せてみた
ブログ記事を書くのは大変だと感じていませんか?「記事の構成を考えるのが苦手」「なかなか書き始められない」といった課題を抱えているエンジニアは少なくないはずです。この記事では、そんな悩みを解決するために、AIコーディングツール「Claude Code」とAIエージェントを活用して、ブログ記事執筆を効率化する仕組みが紹介されています。
筆者の @modokkin さんは、記事執筆のハードルを下げるために、Claude Codeのスラッシュコマンドと複数のAIエージェントを組み合わせたワークフローを構築しました。
この仕組みの核となるのは、次の3つのエージェントです。
- インタビュアーエージェント: ブログ記事のテーマについて、筆者に質問を投げかけます。まるで対話しながら思考を整理するような形で、記事に必要な情報を段階的に引き出してくれます。
- ゴーストライターエージェント: インタビュアーが集めた情報と、事前に設定した「スタイルガイド」に基づき、実際に記事の初稿を執筆します。これにより、AIが書いた文章でも、ある程度筆者らしい文体を再現できます。 <
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- 發佈時間2025年9月2日 下午8:00 [UTC]
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