内科医たけおの『心身健康ラジオ』

《1332》それ間違い⁉️正しい心理検査の使い方

■今回のご質問

先生のご著者、みんなの心療内科を拝読致しました。

心理検査のセクションで、いくつかのご紹介がありました。その中で、抑うつや不安を評価をしていく場合①訪問看護師(などの医療職)が使いやすいもの、②療養者本人が指標にしやすいもの、としてはまずはこれ、というものを教えていただきたいです。

また、それらの評価の仕方やケアへの活かし方などを深掘っていただけるとありがたいです。

よろしくお願いいたします。

この放送では皆さまからのご質問・リクエストを大募集しています!こちらのフォームから是非!

(匿名でも可能です)

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《AI要約》誤字はご容赦!

内科医たけお氏が、自身の著書「みんなの心療内科」で紹介した心理検査について、リスナーからの質問に回答しました。

**【質問の要点】**

著書で紹介されている心理検査のうち、以下の2点について教えてほしい。

1. 訪問看護師などの医療職が使いやすいもの。

2. 患者(療養者)本人が、自身の状態の指標として使いやすいもの。

また、それらの評価の仕方やケアへの活かし方も知りたい。

**【たけお氏の回答】**

**1. 医療職が使いやすい心理検査について**

結論から言うと、心療内科以外の医療者が日常的にこれらの心理検査を使うのは難しいのが現状です。著書では「TEG」「MMPI」「WAIS」「ロールシャッハ」など多くの検査を紹介しましたが、これらは専門的なツールであり、ほとんどに著作権(版権)が存在します。そのため、専門の業者から購入して使用する必要があり、一般の医療現場で気軽に使えるものではありません。

例外として「HADS(ハッズ:病院不安抑うつ尺度)」は版権がなく、国際的な研究でも広く使われているため、比較的利用しやすいですが、これもあくまで一つのツールです。

**2. 患者本人が指標として使いやすい心理検査について**

こちらがより重要な点ですが、患者さん自身が心理検査の結果を指標にすることは推奨しません。その理由は以下の通りです。

* **信頼性の問題**: インターネット上には多くの心理検査が溢れていますが、その多くは科学的な信頼性や妥当性が担保されていません。自己判断で「自分はこの病気だ」と結論づけるのは危険です。

* **検査はあくまで参考**: 専門機関で用いるHADSのような信頼性の高い検査でさえ、診断における一つの参考に過ぎません。例えば、検査の点数が高くても実際の症状は軽かったり、逆に点数が低くても本人は強く苦しんでいたりすることは頻繁にあります。

* **診断は総合的に行われる**: 診断は、検査結果だけでなく、問診で伺う生活状況や具体的な症状などを総合的に評価して行われます。検査スコアだけで病状を判断することはありません。

**【最も大切な指標とは】**

心理検査のスコアに一喜一憂するのではなく、**「治療を始める前に最も困っていた症状が、どのように変化したか」**を指標にすることが最も大切です。

例えば、「夜眠れなかった」という悩みであれば「少し眠れるようになったか」、「腹痛で学校に行けなかった」のであれば「学校に行ける日数が増えたか」といった、具体的な症状や生活の変化をみることが重要です。

実際の診療でも、心理検査のスコアを毎回確認するのではなく、こうした具体的な症状の変化を患者さんと一緒に確認しながら治療を進めています。

したがって、心理検査は専門家が使う補助的なツールと捉え、患者さんや一般の医療者は、具体的な症状の改善を治療の指標とすることが望ましいです。