さとうささらの二分間サイエンス

くりらじ

さとうささらの二分間サイエンス。一駅で楽しめる楽しい科学の情報を私「さとうささら」が紹介します。 「さとうささら」はCeVIOプロジェクトのキャラクターです。

  1. 07/10/2024

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    第67回 レゴブロックで分析装置を作っちゃった 一般的には知的玩具として扱われているレゴブロックですが、最近は科学者の間でも話題です。 というのも、レゴブロックで実験装置を組み立てて、ネットで発表する科学者が相次いでいるのです。 この取り組みは、研究者の知的好奇心を再び燃焼させるのに役立つだけでなく、科学をより身近なものにするためにも役立っているようです。 たとえば、マサチューセッツ工科大学のとある研究者は、レゴテクニックというシリーズを購入して、細胞を引き伸ばしたり、圧縮したりして、機械的な力が作用した際の影響について研究するための、セルストレッチャーという実験装置を、レゴブロックで作成することに成功しました。 セルストレッチャーは、本格的な装置を購入すると一千万円近くします。 ところが、レゴテクニックセットは、モーターや車輪など、セルストレッチャーに利用できるブロックがすべて入って3万円でおつりがもらえます。 別の例として、アメリカのエモリー大学の先生は、レゴブロックを使って、植物の蒸溜成分を分析するための、クロマトグラフという複雑で、精密な動作が要求される装置も作成してしまいました。 さらに、アメリカのカーディフ大学の先生は、細胞を印刷できる、バイオプリンターを作ってしまいました。 バイオプリンターは市販もされていますが、五千万円近くもします。 先生が買って来たレゴブロックの総額は、6万円分だったそうです。 まわりの先生達は、おもちゃとして扱われるレゴブロックで、複雑なバイオプリンターが本当に作れるのかどうか、懐疑的だったそうです。 でも、レゴブロックでできたバイオプリンターが実際に動作するのを見て、すぐに納得したということでした。 このレゴブロックのバイオプリンターはレシピが公開されていて、世界中の多くの研究室で複製されています。 細胞が観察できる程度の顕微鏡のレシピも、別の先生から公開されていますが、これは小学生でも組み立てられるほど簡単な構造になっています。

  2. 07/04/2024

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    さとうささらの二分間サイエンス 第66回 コアラの好き嫌いの原因 北海道大学、北里大学、鹿児島市平川動物公園の研究グループは、コアラの好き嫌いについて研究しました。 どうやら、コアラがどのユーカリの葉が好きかは、遺伝的背景や腸内細菌と関係しているようです。 コアラはオーストラリアだけに生息するかわいい動物です。 ユーカリの葉ばかりを食べて暮らしていますが、ユーカリは何百種類もあり、どのユーカリを食べるかによって、摂取できる繊維や栄養の質が異なりますし、コアラにとって毒になる成分もユーカリの種類によって違っています。 そのため、コアラはなるべく消化しやすくて、食中毒になりにくいユーカリを選んで食べています。 でも、コアラにユーカリの葉の好き嫌いがある仕組みは、はっきりしていませんでした。 研究グループは、日本の飼育コアラがもともと生息していたオーストラリアの地域と、ユーカリへの選り好み、そして腸内細菌の関係について調べました。 その結果、日本のコアラたちはオーストラリアのいろいろな地域から来ており、由来する地域とユーカリを食べる行動と腸内細菌は互いに関係があることが分かりました。 このことは、それぞれのコアラたちが持つ腸内細菌は、母親を介して世代を超えて受け継がれており、由来した地域によく育っているような特定のユーカリを消化、解毒するよう適応していることを意味しています。 日本の動物園では、コアラはユーカリの葉の好き嫌いが激しいことが知られていて、飼育員さんの悩みのタネでもありました。 今回の研究結果を利用して、飼育しているコアラの遺伝的背景や腸内細菌をあらかじめ調べて、適切なユーカリをコアラにあげることは、とてもいいことです。

  3. 07/01/2024

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    さとうささらの二分間サイエンス 第65回 ご褒美がもらえると、心拍数を意識的に下げることができるようになるそうです! 東京大学の研究グループは、特殊な訓練を積むことで、自分の心拍数を下げられるようになることを実証しました。 この訓練は、バイオフィードバック訓練と呼ばれ、本来、意識的に変化させることのできない不随意性である生理機能を当人に認識させることで、思い通りに制御できるようにする訓練です。 グループでは、ラットに心拍バイオフィードバックを起こさせる新しい実験系を設計して検討を行いました。 ラットの事前心拍数を確認して、それよりも少し下の心拍数に目標値を設定します。 ラットの心拍数をモニターしながら、ラットをケージの中で自由に行動させ、心拍数が目標の数字になったら報酬を与えるようにします。 そうすると、ラットは心拍数が下がると報酬がもらえることを理解し、報酬が欲しいので心拍数を下げる行動を取り始めます。 ラットの心拍数が目標値に達したら、さらに少し低い心拍数を目標値に再設定して訓練を繰り返します。 すると、ラットは30分以内に心拍数を減少させることを学習し、5日後には約50%の心拍減少を達成しました。 この低心拍状態は、そのまま少なくとも2週間は維持され、この間、ラットは不安行動が減少し、また血液循環機能の低下を代償するように赤血球が増えました。

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