『みんなが手話で話した島』ノーラ・エレン・グロース|音読ブラックスワン#109

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『みんなが手話で話した島』

ノーラ・エレン・グロース|佐野正信・訳|ハヤカワ文庫NF|2022年10月4日

朗読箇所:「6. 島で聾者として育つ」より(P.167〜182)


 * * *


作家・円城塔氏推薦!「わたしはかつて、この本がしゃべるのを聞いたことがある」

「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾(ろう)というだけでした」(本文より)

アメリカ・ボストンの南に位置するマーサズ・ヴィンヤード島。今やオバマ元大統領ら多くの著名人が別荘を構える風光明媚な観光地として知られるこの島では、20世紀初頭まで、遺伝性の聴覚障害のある人が多く見られた。ここでは聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。耳の聞こえない人も聞こえる人と同じように育ち、社交し、結婚し、生計を立て、政治に参加した。

文化医療人類学者である著者グロースは現地に赴き、島民みんなが手話を使ってくらしていた時代を知る多数のインフォーマント(情報提供者)の証言を丹念に採集し、過去の科学的研究資料とオーラル・ヒストリーとを照らし合わせながら、島の社会文化の来歴を解き明かし、当時の生活やコミュニティを活写する。

「障害」「言語」そして「共生社会」とは何かについて深く考えさせる、文化人類学者によるフィールドワークの金字塔。

解説:澁谷智子(成蹊大学教授、『ヤングケアラー』『コーダの世界』著者)


【本書本文より】

島の聾の男女について最も心に残る事実は、誰も聾をハンディキャップと受け取らなかったという意味で、聾者は障害者(ハンディキャップ)ではなかったということである。ある女性はこんなふうに話している。「あの人たちが特別だと思ったことはありません。あの人たちは他の人とまったく同じでした。そうだとしたら、この島ほど素晴らしい場所は、他になかったんじゃないでしょうか」

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015250/









企画・朗読:若林恵
録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)
音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii
黒鳥福祉センターにて収録

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