中国でデフレ脱却に先んじて航空旅客数が回復しているのはなぜなのかについて、弊社香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファンがご説明します。
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トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファン.
今回は香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファンが、中国の航空業界が10年に一度の転換点を迎えている、その要因について掘り下げます。
このエピソードは2月6日 に香港にて収録されたものです。
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アジアでは先日、何億人もの人々が家族で集まり旧正月を祝いました。私もその一人で、故郷の南京に飛行機で帰りました。空港は何日間も混雑していました。飛行機で移動する人は延べ9000万人を超えたとみられています。
この状況は、7年間不振にあえいだ中国航空業界が復活しつつあることを示唆しています。実際、弊社では、中国のデフレ圧力から今年最初に抜け出す業界のひとつが航空業界だと考えています。そして、この復活は広く中国経済に影響をもたらします。
世界の航空業界は新型コロナウイルス感染症(COVID)によって大打撃を受けましたが、ほかの地域はその後(←そのご)回復しました。中国では、業績の回復が今まさに始まるところです。航空各社は2018年以降、貿易関係の緊張、人民元の下落、COVID-19、そしてコロナ後のマクロ経済の逆風 により、需要の減少に見舞われてきました。
しかし、中国の国境の制限が解かれてから2年たち、飛行機を利用する旅行者が大挙して戻ってきています。輸送能力の供給過剰は解消されました。航空機の引き渡しの遅れが供給力を抑制し続けており、航空各社が新しい機材を入手して提供座席数を増やすことはこれまでよりも難しくなっています。搭乗率は今年、上昇を続けるでしょう。つまり各社はフル稼働に近い状況になります。そのため今後6-12ヵ月間のうちに価格決定力が高まり、利益を押し上げることになるでしょう。
こうした状況をグローバルな文脈に当てはめてみましょう。中国の航空業界による2024年の旅客数は約7億人で、全世界合計の8%を占めました。しかし、この7億という旅客数は中国の人口の半分にすぎません。米国では、航空旅客数が人口の3倍に達することもあるのです。
中国の航空会社はここ1年間で損益分岐点に達したばかりです。世界のほかの航空会社はすでに高い利益を上げています。中国の航空会社の業績とバリュエーションは、絶対的に見ても相対的に見ても出遅れています。しかし、ここにきて転換の兆しが視界に入ってきました。中国の航空会社の目の前には、外国の航空会社よりも高い利益成長と株価パフォーマンスに向かう長い「滑走路」が伸びているのです。
それに加えて、米国の航空会社が2024年8月に成し遂げた転換からは、中国にとっても重要なポイントをいくつか読み取ることができます。米国の航空会社の株価はコロナの後、長い間アンダーパフォームし続けましたが、昨年回復しました。回復までにはかなり時間がかかったわけですが、ひとたび転換点に達すると急速に上昇し、業績回復よりも先にバリュエーションが上昇しました。また直近の上昇局面では、大型の航空株が中小型の航空株をアウトパフォームしています。こうした流れは中国の航空株にとっても重要な意味を持っていると弊社は考えています。
業績面では、中国の3大航空会社は2024年に損益分岐点に到達しました。2025年には小幅な黒字を計上し、2026年にはその黒字が倍増すると予想されます。しかし、そこがピークではありません。おそらく2027年か2028年に訪れるピーク時には、黒字が2026年のさらに倍になっている可能性があります。これこそ、中国の航空会社の株価が今後2倍になると弊社が考える理由にほかなりません。
話をまとめましょう。中国の航空会社は10年に1度の機会を投資家に提供しています。搭乗率が上昇し、需要の見通しも明るくなり、利益成長の可能性も大いにあることを考えれば、中国の航空業界は「離陸」の準備ができていると思われます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
Informations
- Émission
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- FréquenceTous les jours
- Publiée6 février 2025 à 08:00 UTC
- Durée7 min
- Épisode62
- ClassificationTous publics