日本バトラー&コンシェルジュ株式会社の代表取締役である新井直之氏の著書『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』から抜粋
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総資産50億円以上の大富豪に仕えた執事だけが知る「富の築き方」を紹介しています。
主要なテーマと重要なポイント
1円玉の「額面以上の価値」への着目
ある大富豪は、自宅金庫に1億円以上もの1円玉を保管している。その理由として、1円玉の製造コストが額面(1円)を上回ることを挙げている。「1円玉1枚作るのにいくらかかると思う?アルミの材料費と製造費を合わせると2~3円くらいだ。額面より価値があるんだよ」と述べている。これは、一般的な貨幣が額面よりもはるかに低いコストで製造されるのに対し、1円玉は唯一その例外である点に価値を見出していることを示唆している。
「最悪の事態」に備える防衛策としての1円玉
大富豪は1円玉を「最悪の事態に備える防衛策」と位置付けている。具体的には、日本の通貨制度が崩壊し、お札が「紙くずになってしまう」ような状況になっても、1円玉は貨幣としての価値を失っても、素材である「アルミとしての価値は残る」と考えている。「国が破たんしたら、材料として売ればいいんだよ」という発言は、極端な状況下での実物資産としての価値に着目していることを示している。
現在のアルミの国際価格から見ると、1円玉のアルミ地金としての価値は額面より小さいが、国が混乱するほどのインフレ下ではアルミの価値が高まる可能性を視野に入れている。
自国通貨の信用に対する慎重な姿勢
大富豪は自国の通貨、ひいては印された数字そのものへの信用に懐疑的である。これは、ロシアや中国の大富豪が資産をドルや金・プラチナに替えて海外に持ち出すのと同様の感覚である。
政治や経済が不安定な国において自国通貨がリスクに晒されるという認識は、大富豪にとって「当たり前の感覚」とされている。
孫やひ孫の代までを見据えた「長期の資産経営」
大富豪の投資の基本スタンスは、10~20年といった短期ではなく、孫やひ孫の代までを見据えた「長期にわたる資産形成」である。アメリカのような超大国に対しても「まだ歴史の浅い国だから、この先、何が起きるかわからない」という感覚を持つほど、歴史的視点から国の安定性を見極めている。
1円玉を集める行為は、このような「先の先までを見通した投資の象徴」であり、お金持ちになってから始めたのではなく、若い頃から何十年も継続してきたリスク管理の一環であることが強調されている。
一般人への教訓:通貨の信用と分散投資
1円玉の直接的な多量保有は現実的ではないとしながらも、大富豪のリスク管理の考え方を取り入れることの重要性が説かれている。
金利の高さだけでなく、「通貨を発行した国の信用を考えてみる」 ことが重要であるとアドバイスされている。具体的には、その国が戦争状態になったり、財政破綻に至る危険性、通貨を無計画に発行していないかなどを考察することで、通貨の安全性を正しく把握できると示唆されている。
「どの通貨が信用を失うか、予測がつかないこともある」ため、「比較的安全と思われる、いくつかの国の通貨を複数持てば、リスクに強い投資になる」 と、通貨の分散投資が推奨されている。
1円玉を大切にする習慣からは、「日本国の通貨であっても、長い歴史のなかでは価値が変わるということまで考えて投資をしなくてはいけない」という教訓が得られると締めくくられている。
結論
この大富豪の1円玉保有という一見奇異な行動は、極めて長期的な視点に立った、徹底したリスク管理と資産保全の哲学に基づいている。通貨の額面ではなく実質的な価値を見極め、国家の信用不安や通貨制度の崩壊といった最悪の事態まで想定し、世代を超えて富を守り、増やすための戦略を実践している。これは、我々一般投資家にとっても、安易な金利追求ではなく、投資対象国の信用や通貨の分散を考慮した堅実な資産形成の重要性を示唆するものである。 #執事 #富裕層 #おもてなし #投資
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- FrequencyUpdated Biweekly
- PublishedJuly 6, 2025 at 11:00 PM UTC
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