「自己言及的存在論講義」第五回 新たな課題と後期ニーチェ

自己言及的存在論講義

私は、全共闘運動の中に、解体的な自己言及性の論理を見てとり、逆に自己言及性の論理を基礎にした哲学を構想したのでした。こうした動きにどんな意味があるのかはいまでもよくわからないのですが、今回、後期ニーチェが同じような動きをしていることを見いだしました。
ニーチェの思想のうちに、自己言及的な性格を持つものが含まれていることは以前から思っていたところですが、後期のニーチェのエクリチュールのうちに、自己言及的な命題がはっきりと提示されていることに、今回初めて気づいたのです。その自己言及性は、自己解体的なもので、結局はニヒリズムに到るですが、同時にまた、ニーチェは、ニヒリズムを克服する道を探しもとめていたようにも見えます。今回は、その点に焦点をあててみました。

塚原誠司 1944年東京生まれ。1967年、早稲田大学文学部西洋哲学科卒業。労働運動系広報誌の編集者、塾講師、警備員などをやりながら哲学を探求してきた。

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