1度の利下げでもさまざまな影響

市場の風を読む

FRBの利下げに対する反応は株価の変動からデフレ懸念までさまざまです。しかし、引き続き雇用データを注視する必要があることを弊社のCIO兼米国株式チーフストラテジストのマイク・ウィルソン(Mike Wilson)が解説します。

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----- トランスクリプト -----

「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回はFRBによる50ベーシスポイントの利下げと市場への影響について、モルガン・スタンレーのCIO兼米国株式チーフストラテジストのマイク・ウィルソン(Mike Wilson)が解説します。このエピソードは9月24日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

先週述べたように、私の考える株式の短期的なベストシナリオは、成長懸念を誘発することなくFRBが50ベーシスポイントの利下げを実施することでした。パウエル議長はこの難業を成し遂げ、株式は最終的に好反応を示しました。

しかし、向こう3-6カ月の株価動向を最も大きく左右するのは雇用データだとも考えています。

雇用については、来週末に新たな統計が発表されます。私の見立てでは、現在の高い株式バリュエーションが続くためには、雇用統計に上方サプライズが必要でしょう。具体的には、失業率が低下し、就業者数の増加数が14万人を超え、前月までの数値が下方修正されないことが必要だと考えます。

同時に、私は今後の成長軌道を判断するために、いくつかの変数を注意深く観察しています。まず、会社ガイダンスに代わる指標として最適なリビジョンインデックスですが、これはS&P 500指数全体では引き続き横ばい基調、小型株のラッセル2000指数では悪化傾向が続いています。例年の季節的なパターンに従うと、この変数は今後1カ月間逆風を受ける可能性が高いと思われます。

2番目に、米サプライマネジメント協会の購買担当者景気指数は2年近く軟調が続いており、再加速はまだ見られません。最後に、全米産業審議会(コンファレンスボード)の景気先行指数と雇用トレンド指数は低下基調が続いており、サイクル終盤の典型といえます。

これらを踏まえると、予想より大幅なFRBの利下げは、高クオリティ株にとっては割高水準を維持する時間稼ぎとなり、低クオリティの景気敏感株にもある程度の支えとなる可能性があります。ただし、このような状況を正当化するためには、雇用などのデータが年末にかけて改善する必要があります。

もうひとつ重要な点を指摘すると、8月の米国の財政赤字は予想をおおよそ900億ドル上回り、年初来の財政赤字は1兆8,000億ドルを超えました。この財政政策は成長の助けとなった半面、民間経済と金融市場のクラウディングアウトの原因にもなっていると思われます。

これは景気後退が最悪のシナリオであると考えられるもう一つの理由です。8-9割の米国人にとっては物価高騰やインフレよりも景気後退の方がましだという意見がありますが、景気が後退すれば負債デフレに対する懸念が表面化することは確実で、一度そうなれば元に

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