人をつなぐ、未来をつなぐ。 トレードオンの交渉学

#100「交渉学教科書」⑭ 交渉における第三者の介入(前編) 安藤雅旺

『交渉学教科書 今を生きる術』(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をテキストに、今回はシリーズ最終章「第三者の介入」を取り上げます。

不信感や疑念が高まり、当事者だけでは解決が難しい状況で、第三者がどのように機能するのか。その利点と弊害を整理し、仲裁と調停の違い、そして実際の事例を交えて考えます。メキシコの闘牛をめぐる条例改正を例に、行政が仲介者として果たした役割も紹介。

伝統と倫理の対立を乗り越える合意形成のプロセスを掘り下げます。

【TODAY’S TOPICS】

◎第三者介入が必要となる典型的な状況

・強い感情や誤解による意思疎通の困難

・当事者だけでは壁を越えられない否定的な行動の繰り返し

・情報収集

・評価をめぐる深刻な不一致

◎仲裁と調停の違い

・仲裁:第三者が解決策を提示し、当事者が従う

・調停:当事者が自ら合意に至るための支援を行う

◎仲裁の利点とデメリット

・利点:迅速で明快な解決を導く/未解決のコスト回避

・デメリット:交渉当事者の熱意低下、強硬姿勢の助長、依存のリスク

◎事例:メキシコ・闘牛ルール改正

・動物愛護と文化保護の対立

・行政が仲介し、公聴会で双方の声を可視化

・「伝統にはイエス、暴力にはノー」という新ルールで合意形成

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