本のソムリエ

2025-9-4OA 兵士の目線 「日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実」  著/吉田 裕

本のソムリエ)大垣書店烏丸三条店 店長 山田清貴

ナビゲーター)松岡千鶴

310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。

実はその9割が1944年以降と推算される。

本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降の

アジア・太平洋戦争の実態を追う。

異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、

体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏......。

勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く。