人をつなぐ、未来をつなぐ。 トレードオンの交渉学

#97「交渉学教科書」⑬ 交渉における意思疎通 安藤雅旺

引き続き『交渉学教科書 今を生きる術』(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をテキストに、今回は「交渉における意思疎通」をテーマにお届けします。

交渉の序盤・中盤・終盤それぞれのフェーズで注意すべきポイントと、合意形成の質を高めるための視点を、実践的な事例とともに掘り下げます。

バイアスを避けるための思考法から、状況を切り開く質問技術、そして交渉終盤に潜む落とし穴まで、交渉の全体像を体系的に整理した回です。

【TODAY’S TOPICS】

◎序盤で避けたい6つの認知バイアス(誤解や固定観念)

・1.定型化 2.光背(ハロー)効果 3.選択的知覚4.投映 5.知覚防衛 6.固定観念

◎中盤で活きる「質問」や積極的な姿勢

・活用したい質問例:自由回答型、誘導型、感情を抑えた冷静な質問、計画的質問

・避けたい質問例:意見を押し付ける質問、問い詰めるような誘導質問、感情的な質問

・難しい状況を切り抜ける質問例:極論や圧迫、高め・低めの球への対応質問、袋小路を抜ける質問

◎終盤での注意点と合意の質を高める基準

・焦りによる不完全合意を避ける

・合意の質を判断する基準:全員の利益・実行可能性・公平性の確認…など

◎藤田忠先生による「90:10の原理」

・交渉時間の最後の10%で一気に合意形成が進む傾向がある

・期限の有無による戦術的活用法

・客家(ハッカ)の交渉スタイルとの比較

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お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、『⁠交渉アナリスト⁠』のサイトをご覧ください。