就職・転職の扉をひらく「ことばランド」

EP#117 5割は面接で聞かれたことと、ずれた答えをしているものなんです。質問の意を汲みつつ、自分をアピールするには・・・

先週、告知もせずお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。体調を崩して声が出なくなってしまったため、番組をお届けできませんでした。今後こうしたことがないよう、健康管理に気をつけるようにします。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

志望動機をどう書くか、はなかなか難しいのではないでしょうか。会社を何社か受けるわけだから、一つひとつの会社に同じだけの思いがあるわけではないですよね。僕は新聞社を受けました。第一志望があったとしても、同業他社会社も受けましたし、一般企業だって受けるわけです。全てを正直に話すわけにはいかない、ということを前提に志望動機を書き、面接を受けるわけです。

僕が面接を担当したなかでも、志望動機が迷走してしまった受験生がいました。最終の役員面接にあげたのですが、そこで志望動機を聞かれて、「育児制度が充実しているから」と答えたんです。ところが、明らかに役員の求める答えとはずれています。

「会社に入ってどういう仕事がしたいですか」と再度、質問を変えて聞かれたのですが「男性も出産休暇・育児休業が取れるのは素晴らしい」と答えました。

今度は違う役員が「校閲の仕事をしたいと思った理由を教えてください」と、また質問を変えて志望動機を聞いたのに、「出産休暇を取れるのは、女性だけだと思っていたのでとても素晴らしい制度だと思います」って答えたんです。これだけ助け船を出しているのに、これでは話が前に進みません。

あがっていたのかもしれません。しかし、1次・2次面接では、きちんと「新聞の信頼を高めるために、事実関係や誤字脱字などを防ぐ仕事に魅力を感じた」という内容の志望動機を話していたんです。それなのに、どうして急に育児休業の話になってしまったのか、いまだに謎なんです。

志望動機は、新卒でも途中採用でも、入社の時に一番大切なものです。ここがしっかり書けないと、面接で大きく響くんです。確かに、先程の受験生は「育児制度」についても触れていたんです。ただ、そこがメインの動機になると、採用する側としてはポイントがずれていると判断せざるを得なくなります。

質問の趣旨を考えて、答えないとドンドンずれていってしまいます。面接担当者を自分の土俵にあげるには、質問の本質を外さず、将来を語るようにしないとうまくいきません。例に出した受験者は、その手順を間違えてしまったんです。

新卒の方は、志望動機は「何をやりたいか」について、話ができるように準備するといいと思います。新卒ですぐ何かができるわけでもないので、先ずは与えられた仕事をしながら、5年先の姿をイメージしてそれを伝えることが重要です。

転職の方は、既に数年間の実績があるはずなので、そのリソースをアピールして、さらに新しい会社で何をしたいのかを具体的に説明することだと思います。

仕事の原点は、自分が楽しめるかどうかです。そのための努力は努力ではなくなります。いまできることと、将来やりたいこととの導線をしっかり描いて、面接に臨んでください。

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