就職・転職の扉をひらく「ことばランド」

安正 前田
就職・転職の扉をひらく「ことばランド」

ことばは、自らを表現する大切なツールです。 そのツールをうまく使いこなして、未来の扉を開いていきましょう。「ことばランド」は、そのお手伝いをします。 文章コンサルタントの前田安正と、フリーアナウンサーのみどりーぬこと、江川みどりがお送りします。

  1. -1 J

    EP#133  好きと得意の小さな炎を燃やし続けて、育てていこう。そうすれば、チャンスの芽が見えてくる

    自分は何をしていけばいいんだろう、とか、社会での自分の役割って何だろうなんてことに、結構悩んだりしますよね。 そんな時に「好きなことをすればいいんだよ」とか「得意なことを伸ばせばいい」なんて言われたりします。しかしここは、案外難しいポイントです。「好きなこと」「得意なこと」仕事にできればいいんだけれど、なかなかそうはならないと悩んでいる人が多いと思うのです。 僕自身も校閲が好きで新聞社に入ったわけではないし、得意でもない。もちろん、校閲が天職だと言っていた同僚もいました。それは幸せなことだろうし、うらやましく思ってもいました。「自分の好き」が見つけられなくて、あれこれ迷い戸惑うことばかりだったのです。ところが、時間はかかったけれど結果的に、僕は自分の好きな仕事にたどり着くことができました。 新聞記者って何でも自由に好きなことを書けるかというと、そうでもない。紙面は限られているし、紙面を独占するなんてことは、不可能に近い。編集委員という専門記者でも、毎週自分の好きなテーマだけでコラムを何年も書くということはできない。紙面を独占できないからです。そこは会社の論理もあります。 それにもかかわらず、記者の訓練を受けることもなく、校閲も得意ではなかった僕が、約10年にわたって毎週、漢字や言葉にまつわるコラムを書き続けることができたんです。最後は自由にエッセイみたいなことを書いていました。実は、言葉や漢字についても、詳しかったわけではなかったんです。 いま振り返ると、とても不思議な感じがしているんです。タイミングや運もあったのかもしれません。ただ、文章を書きたいとずっと思い続けていたんです。ルーティーンの仕事もあるし、そのチャンスはほとんどないと思っていまた。それでも、ひたすら思っていたんです。あるとき、ほんの一つ、目の前に現れた細い糸をつかんで、それを丁寧に紡いでいっただけなのです。それだって、長く続くとは思っていませんでした。 何を言いたいかというと、今の仕事、これからの仕事に満足や納得がいかないにしても、心の中に小さな炎を燃やしておくことは、とても重要だということです。大きなことでなくてもいいと思うんです。日々の糧を得るために納得のいかない仕事をしていたとしても、歌が好きなら歌っていればいい。料理が好きなら料理を作っていけばいい。本を読むことが好きなら本を読み続けていけばいい。興味をもったこと、かつてやろうと思ってできなかったことに目を向けてみればいい。大きなことを考えなくてもいいんですよね。細い糸を大切に紡いでいって、本業の脇で少しずつ、それを育てて大きくしながら、発信していけばいい。10年続ければ、それなりになりますよ。時間は掛かるけれど、「ちりも積もれば山となる」という言葉もある。 いまは、結果を早く出そうとするからつらくなる。人生100年です。小さな炎を燃やし続けて、チャンスが来たら細い糸を丁寧に紡いでいけば、好きと得意が育っていくはずです。

    17 min
  2. 3 MARS

    EP#132 ジリツは大切。でも、ジリツするためには、積極的にイゾンすることが重要なんです。この意味がわかると、閉塞感から解放されます。

    きょうはひな祭りです。もとは、宮中や上流社会で行われていた陰暦三月最初の巳(み)の日に行った上巳(じょうし)の祓えに関連したものだと言われています。穢れを祓う行事だったんですね。それが江戸時代以降、女児の健康と成長を祈る行事になったものです。 そうやって少しずつ大人になってくると、急に「ジリツ」しなさいなんて言われる。「ジリツ」には、二つの書き方があって、一つは「自立」。これは、「他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと。ひとりだち。独立」という意味。「親元を離れて自立する」という具合に使います。 もう一つが「自律」。「他からの支配や助力を受けず、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること」を言います。「学問の自律性」なんて使い方をします。哲学的には、「Autonomie」と言うカント倫理学の中心概念です。「自己の欲望や他者の命令に依存せず、自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと」です。 特に自分で立つ「自立」は、自分でお金を稼いで、独り立ちする手立てだと思ってしまいます。早く一人前の大人になれ、とか言われますよね。 自分を律する「自律」は、「自己の欲望や他者の命令に依存せず」とあります。ここに「依存せず」とあるのですが、依存は「他のものにたよって成立・存在すること」です。 どうみてもマイナスの要素をいう言葉にしか思えません。「自己の欲望や他者の命令に依存せず」というのは、理解できるけれど、世の中は「依存」なしには成立していないんです。例えば、このことばランドも、僕は江川さんのMCに頼ることで成立しています。これは江川さんも同じだと思うんです。高層マンションの30階に住んでいる人は、エレベーターに依存しないと部屋にたどり着けない。会社でも、全てを1人でできるわけではない。 自分で立つ自立も、自分で律する自立も、周りの環境に頼って成立していることになる。 「他力本願」っていう言葉、ご存じですか? よく「他力本願から脱して、自立しよう」なんていう風に使われるのですが。実は「他力本願」の「他力」は「仏・菩薩の加護のこと。自己の力で悟るのではなく、仏や菩薩の力を借りること。多くは浄土教で、衆生を極楽へ救済する阿弥陀仏の本願の力のこと」を言うんです。だから「他力本願から脱して、自立しよう」という使い方は、本来の意味から外れているんです。 つまり、これが「依存」だと思うんです。自立のために、人を頼る。積極的に依存する。何でも1人でやる必要はない。そうやって会社も社会も成り立っていると言うことを考えれば、少しだけ気が楽になるんじゃないでしょうか。

    13 min
  3. 24 FÉVR.

    EP#131 突き詰めていうと、言語化はことばにすること。でも、単なる言葉じゃだめなんだよね。

    よく「言語化」とか「多様性」という言葉を聞きますよね。就活や転職の際にもよく使われます。「自分を言語化して伝える」とか、「多様性を重視した企業」とかね。でも、これって何なんでしょうね。 手元の辞書によると言語は、「思想・感情・意志などを互いに伝達し合うための社会的に一定した組織をもつ、音声による記号とその体系。また、それによって伝達し合う行為。音声によらない手話や文字の使用を含めていうこともある。ことば」って書いてあるんです。グーッと縮めて言うと「ことば」なんですね。 「化」は「主に漢語の名詞に付いて、そういう物、事、状態に変える、または変わるという意を表す」とあります。「映画化」なら小説などを映画に変えるっていう意味になります。 つまり言語化は「言葉化」。「言葉に変える」ということになる。これって、この番組のテーマである「言葉で未来の扉を開く」っていうことに重なってくるんですね。ちょっと、驚きでした。 「言葉に変える」というのは、「言葉に変えられない」という現実があるからなんでしょうね。それこそ、僕が若かりし時に感じた理不尽や不条理っていうものは、どこに怒りをぶつけていいのかさえわからないものでした。両親に対して「うるせえ」とか悪態ついていたのも、言葉がみつからない、言葉をぶつけても理解されないという胸の内のもやもやした気持ちだったんです。 それで、僕は文章にしてノートにぶつけてきたんです。暗いよねえ。でもそうする以外に方法が見付からなかったです。その時その時の思いを書きなぐって、でも解決するわけでもない。それが何年も続いて、でも、吐き出す、アプトプットすることで、少しずつ気持ちの波が和らいできたんです。 これは、いま就活をしている人やいま仕事をしている人も、多少のズレはあるかもしれないけれど、似たような感覚ってあるんじゃないでしょうか。 人生の目標が定まらない、とか、何をしていいのかわからないとか、そもそも就活に希望を見いだせない、いまの仕事に不満を抱えているけれど、それをどうしていいのかわからない。そうしたことって他にも身の回りにたくさんあるんじゃないかと思うんです。 だから、まずは1行でいいからその時の気持ちを書いてみるといい。あれこれ書かなくてもいいから、1行だけ書く。それが365日にたまれば、小さなヒントがうっすら見えてくるかもしれない。うっすらね。更に書いていくと、1年前に自分の姿と今の姿を比較できるようになる。そこを見ていくと、良くも悪くも変化がわかる。気持ちの動きが見えると何かしらの「ことば」が出てきます。 比較は、言葉を生み出しやすいからです。ただし、他人と比較してもしようがないのだということも十分に踏まえておくことが必要です。あくまでも過去と現在の自分を比べて変化を知る、ということです。そこから、言葉が生まれてきます。 たぶん、それが言語化というものなのだろうと、僕は思っています。

    17 min
  4. 17 FÉVR.

    EP#130 相撲取りから全くの異分野に転身! 好きを突き詰めた第2の人生。大至伸行という歌手がいる!

    転職といえば、自分のキャリアを活かした方向で考えがちですが、全く違う分野に転身した人もいます。 大至伸行さんは、1984年3月に中学卒業前に押尾川部屋に入門して、初土俵から10年で新十両昇進。翌年、新入幕して前頭三枚目までいったんです。2002年に18年務めた現役を引退して、後進の指導に当たっていたのですが、小さい頃から好きだった歌で第2の人生を歩きたいということで、歌手に転身しました。力士はお父さんのたっての希望だったんだそうです。引退したら今度は自分の人生を歩きたいという思いだったそうです。 相撲甚句の第一人者としての評判はあったのですが、歌手となるとやはり声の出し方も表現も違うので、猛勉強して2023年に東京オッペラシティーで初リサイタイルを開いたんです。何とセカンドキャリアを歩んで約20年です。その間、舞台やミュージカルなどにも出るようになっていたのです。 僕は去年、初めて彼の歌を聴きました。その時に大至さんは「芸能人から芸術人になりたい」と宣言して、そこから更に研鑽を積んで、歌がグッと膨らんで来ました。前に出てくる声だったのが、周りを包み込むような感じになって、歌詞の情感を伝えるだけではなく、歌詞に自らの情感を重ねられるようになってきたんですね。これは見事だと思いました。 スポーツ選手のセカンドキャリアは、スポーツ庁でも様々な取り組みがあるようですが、好きだったことに改めてチャレンジできるという人生二毛作のような生き方もあるんですね。 最近は早く結果を求める時代ですが、相撲、歌手とそれぞれ20年ほどの時間をかけて、じっくりと結果を出していく人生もまた、素晴らしいと思うのです。 18日に東京・代々木上原のMUSICASAという小さなホールで「ドスコイ歌舞台」と題して、リサイタルがあるので、お時間のある方はお聴きになってください。好きと努力を積み重ねた大至さんの歌声は、人生の転機に背中を押してもらえるかもしれません。

    13 min
  5. 10 FÉVR.

    EP#129 みんな間違っている。面接はオーディションではない! 対話だからね。言い間違えても躓いても大丈夫。対話だからリカバーできる

    毎回、大反響のゲストトーク。汐月聡子さんをお招きしてのお話も最終回となりました。業績シートの書き方、就職先を選ぶポイントに続いて、お話を伺いました。今回は、面接をどう考えるか、についてです。 汐月さん「しお姉https://x.com/Shioko5」は、元看護師で現在は看護師や医療関係者の転職支援「ハンドル」の代表を務めていらっしゃいます。 僕は、特にあがっていたわけでもないのに、最終の役員面接で落ちるケースが多かったんです。たぶん、人として何かが足りなかったのだと思います。汐月さんに面接のポイントをお聞きしました。 ********************* 面接のハードルはいろいろありますが、一問一答がきれいにできればいいわけではなく、「対話」ができるかが大事だと思います。 面接は他者比較からの選抜(オーディション)ではなく、合う人がいなければ採用しないというマッチングなので、「うまい」「下手」を競うものではなく、回答内容の整合性を、「対話」の中ですり合わせられるか?本音で話せるか?が第一ステップです。覚えてきた答えを言うだけのセリフ合わせみたいな状態は論外です。 対話ができないと、「うちの会社に合うか合わないか判断ができないからお見送り」という、土俵に上がれず負けるという大変もったいない結果につながりかねません。 準備した回答をこねくりまわして、「これとこれって矛盾しているように聞こえるけど?」ってパターンをいくつも考えてみると、深掘りされてもある程度回答が成立して「判断してもらう土俵」に上がることができます。 ここができていない人が7割くらいの印象なので、これができるだけでかなり勝率が上がると思います。 ********************* 3回にわたって、貴重なお話を伺いました。新卒の方は3月から就活が動き始めますし、転職を考えている方も準備に生かせるヒントがたくさんあると思います。ぜひ、参考になさってください。

    17 min
  6. 3 FÉVR.

    EP#128 自分の物差しがあると、会社を見極められる! 就職先を選ぶポイントは、まさにここにある!

    今回も、ゲストの汐月聡子さんにお話を伺います。汐月さん「しお姉https://x.com/Shioko5」は、元看護師で現在は看護師や医療関係者の転職支援「ハンドル」の代表を務めていらっしゃいます。前回は、大反響でした。 きょうは2回。就職を選択する際のポイントについてです。僕の時代の就職は、30〜40年務められるかどうかを考えていました。自分の好きなことに出会えるかどうかは、僕にとってはとても大切なことでした。 さあ、そこでです。最前線で転職の実態を見ている汐月さんに、就職先を選ぶ際のポイントをお聞きしたいと思います。 汐月さんは次のように話してくれました。 年収や休日数など、求人票に書かれている内容を基準にしないことがポイントだと思います。なぜなら、それが叶っているにもかかわらず、他の「何か」に満足せず、他の仕事を探しているからこそ、これだけ転職市場が儲かっているのですから。 結局、「求人票では読み取れないこと」が一番大事だと思います。それは、自分が大事にしたい長期的な時間軸でのビジョンが何かわかっていて、それを叶えるプロセスがたどれる環境か?を見極めるということです。 例えば、「必要とされ続ける大人でありたい」という長期的かつ抽象的ビジョンを持つ人が二人いたとして、一人は、「このためなら多少のパワハラ文化も休みが少ないのも受け入れて、圧倒的な実績と経験が詰める職場がいい」と思っている。 一方で、「必要とされ続けるためには、まず社内で安心して意見が伝えられて、いろんな価値観を吸収し合える文化と、いままでの経験からじっくりと時間をかけた対人業務に磨きをかけたい」と思っている人もいるわけです。 いまお話しした二人が選ぶ職場は確実に違うでしょう。結局、こういった抽象的で個人的な考えが、会社の文化や方向性と合っているかは面接で話してみないと互いに判断ができないんです。 確かに、エントリー先の選定のためにある程度の求人読解力は必要ですが、そのあたりはプロに頼ることもできるので、最終的には会話の中から「OK」「NG」を判断する自分の中の物差しがはっきりしていることで、自分が求める仕事に巡り合えると思います。 会話のなかで判断するということは、面接が重要になります。つまり、面接では自分をアピールするだけでなく、面接担当者の内容や話しぶり、人柄などから会社の風土を嗅ぎ取る嗅覚が必要ということでしょうか。こちらから断る選択肢もあるということですね。 いかがでしたか? 次回は、面接を受ける際のポイントについて、お話をお伺いします。どうぞお楽しみに。

    20 min
  7. 27 JANV.

    EP#127 実は知らない。業績シートを書く意味。 なんで書かなきゃいけないの? しお姉さんに、そんな疑問を聞きました。

    今回は、ゲストをお招きしました。元看護師で現在は看護師や医療関係者の転職支援「ハンドル」の代表・汐月聡子さんです。X(旧Twitter)では「しお姉」という名前で、転職支援などの発信をして大人気の方です。今回から3回連続でお話を伺います。 まずは、業績シートのポイントについてです。 転職に必要な職務経歴書や就職でのエントリーシート(ES)が書けないという悩みは、よく聞きますよね。汐月さんが支援している方たちの悩みも同様なのでしょうか。業績シートのポイントは、どこにあるのでしょう。 汐月さんは「職務経歴書など、採用時に必要な書類以外でも、「書類はすべて、自分ではなく、読み手のためのものである」ことを認識することが大切です。書類は、相手(主に採用担当者)が、求職者を面接に呼ぶ価値があるか判断をするためのもの類であり、「自分が思うように今までやってきたことをアピール」する書類ではない。つまり、相手はどんな情報があればその目的が達成できるか?を考えると、おのずと書くべき内容は変わってくるはずです」と話します。 「読み手のもの」というのは、こうした書類だけに限りませんね。文章全般に言えることだし、面談でも面接担当者の意図を汲んで的確に答えるということにも通じるように思います。 せひ、参考になさってください。 次回は、仕事を選択する際のポイントについて、お話をお伺いします。どうぞお楽しみに。

    18 min
  8. 13 JANV.

    EP#125 ほとんどの人が騙されている⁉︎ 実は、AIに文章は書けない。え〜っ、、、

    明けましておめでとうございます。 2カ月ほど番組をお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。急に喉の調子が悪くなって、しばらく喉を休めておりました。12月には良くなっていたのですが、録音のスケジュール調整などで年を越してしまいました。突然のことだったので、ご心配をおかけしたことと思います。体調には十分注意していきますので、これからもどうぞ宜しくお願いいたします。 この間に、嬉しいレビューを頂戴しました。ご紹介します。 「日常的に使っている言葉の一つ一つに、深い意味があることを知ることができ、言語感覚を養うことができます。また、前田さんと江川さんの会話に心がほっこり、癒やされます。無理なくさらっと、聞けて、就職、転職に関係なくても学びになる素敵な番組です」 嬉しいですね。ほんとに励みになります。これからもリラックスしてお聴きいただける番組をつくっていきたいと思いますので、お聞きくださいね。 昨年12月にある大学で、メディア論のなかの一コマにゲスト講師として呼ばれ、話をしてきました。テーマは「AI時代の文章」についてです。きょうは少しその時のお話をしようと思います。 いまは、AIがものを書いてくれる時代なので、自分で書く必要はない、という風潮が醸成されているような気がします。でも、僕はAIが書くものは文章ではないんです。文章の定義って、どういうものだかご存じですか? 文章は「話し手または書き手の思考や感情がほぼ表現し尽くされている一まとまりの言語表現」なんです。 ここで重要なのは、「書き手の思考や感情がほぼ表現し尽くされている」というところなんです。AIは思考も感情も持っていません。文字列として言葉を組み合わせているだけなんです。それは、ネットの中にある僕たちが書いた文章をお手本にして、組み立てているからです。つまり、僕たちが書くもの以上のものは、書けないんです。しかも僕たち自身も「ほぼ表現し尽くされている」ものしか書いていないから、それをいくら学習しても不完全さは、残るということになります。 一方、「文書」は「文字で書き表したもの。書類」なんです。「ビジネス文書」ということばがまさにこれで、そこには思考も感情も必要がありません。議事録のまとめや報告書には、ファクトだけがあればいいので、感情は必要ないんです。これはAIの得意とするところです。つまり、AIが書に書けるものは、文書なんです。文章ではないんです。 就職の例で言えば、エントリーシートに「志望理由」があって、それを元に面接もします。これは文書ではなくて、文章になっていなければならないんです。ところが、ほとんどの人は、文書になっているんです。 思考や感情は「自分そのもの」です。ここが書けないといけないのです。ビジネスでも思考や感情が必要な文章があります。それが企画書です。そこに自分の思いを載せないと、それを読んだ人の感情を揺り動かすことができないからです。 AIがものを書く時代だからこそ、文章が書けないと自分の存在価値も描けないのです。いまは、そういうフェーズに入ってきたということなのだと思うのです

    18 min

À propos

ことばは、自らを表現する大切なツールです。 そのツールをうまく使いこなして、未来の扉を開いていきましょう。「ことばランド」は、そのお手伝いをします。 文章コンサルタントの前田安正と、フリーアナウンサーのみどりーぬこと、江川みどりがお送りします。

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