EP#122 「面接の準備」。それは本当に準備になっていますか?

就職・転職の扉をひらく「ことばランド」

僕はあがることはほとんどないんですが、それでも若いときは、ちょっと自分の予想とは違う反応をされたときには、うろたえてしまったことがあります。

面接などであがってしまうのは、一つには自分を前に押し出すのが不得意だということがあるかもしれません。これを克服するには、場数を踏んで慣れるということも必要かと思うんですが、でも、そういう人が面接で失敗するかというと、そんなこともないんです。あがったとしても、自分の考えを伝えようとする姿は、面接担当者には伝わりますから。

それよりも、あがってしまう要因として大きいのは、準備不足だと思うのです。もちろん、準備していると思うんです。会社の資料を読んだり自分の考えをまとめたりしていると思うんです。ところが、資料の読み方が浅い場合が多い。一生懸命読み込んではいるのだけれど、面接担当者からの質問には答えられない。最初の一歩に躓くと、雪崩を打ったように崩れてしまう、というケースをよく見てきました。

実はこれって、準備ではなく用意なんです。「用意」はある物事を行うために必要なものなどをそろえるという意味です。それに対して「準備」は物事がうまく運ぶように前もって環境や態勢などを整えるという意味です。

つまり、資料を読んだだけなら、用意です。資料を読んだうえで、自分なりの意見を言えることが準備です。面接における想定問答集などが売られているかもしれないけれど、50も60も想定問答を考えたところで、全ての質問に答えられる訳がありません。そこから外れた質問が来たときに答えられるかどうかが勝負です。準備は、どこから質問をされても、自分の言葉で答えられるようにしておくことです。

会社に選ばれるという意識は拭えないと思いますが、一方の頭で、会社を選ぶという意識を持つべきだと思うんです。会社に合わせた答えを用意していたら、批判的に会社を見ることができません。批判的というのは、否定的とは違います。同業他社と何が違っているのか、それに対して自分は何を思い、どう考えるのか、ということを自分のことばで言えることが、準備なんです。

これができていないと、ちょっとした意見のズレに対応できなくなって、顔が真っ赤になって頭の中が真っ白という状態になりがちです。

面接担当者だって、パーフェクトじゃない。選ばれる側と選ぶ側は対等なので、必要以上に怖がる必要はありません。練習で泣いて試合で笑え、などと言いますが、準備の意味を改めて考えてもらいたいと思います。

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