sorae 株式会社sorae
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- Science
「sorae(そらえ)」は宇宙に関する最新情報や最先端の技術情報のニュースを配信しています。「sorae」という名前には、「宇宙へ行きたい」「宇宙を知りたい」「空を飛びたい」、「夜空の星を眺めたい」など、読者の「そら」に対する憧れや希望、知的好奇心に応えたいという想いが込められています。
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ドイツのHyImpulse Technologiesが観測ロケットの打ち上げ成功 推進剤にパラフィンを利用
「ドイツのHyImpulse Technologiesが観測ロケットの打ち上げ成功 推進剤にパラフィンを利用」 こちらはドイツの民間宇宙企業HyImpulse Technologies(ハイインパルス・テクノロジーズ)が開発した観測ロケット「SR75」です。同社は日本時間2024年5月3日、SR75の打ち上げミッション「Light this Candle」を実施しました。SR75は推進剤にパラフィン(固形パラフィン)と液体酸素を使用することが特色のロケットです。パラフィンを燃料として利用することにはロケットの安全性を高めつつ機体のコストを抑えられるメリットがあるといいます。SR75は日本時間2024年5月3日、オーストラリア南部のコーニバ試験場から打ち上げられました。HyImpulse Technologiesによると、SR75の推進システムは予定通り機能し、ミッションは成功したということです。また、同社は2024年5月14日にX(旧Twitter)で、機体に格納されていたパラシュートを利用して地上へ帰還したSR75の回収に成功したと発表しました。
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翼幅世界最大の航空機「ロック」と搭載される超音速航空機「タロンA」
「翼幅世界最大の航空機「ロック」と搭載される超音速航空機「タロンA」」 こちらはアメリカの民間企業Stratolaunch(ストラトローンチ)が開発した空中発射母機「Roc(ロック)」です。翼幅は世界最大の約117mで、ジャンボジェットの愛称で知られる「Boeing 747」のエンジンを6機搭載しています。ロケットや航空機などの空中発射を目的に開発されたロックは約250tのペイロードを中央翼の下部に搭載することが可能です。初飛行は2019年4月13日で、2024年5月の時点で合計14回の飛行を実施しています。直近の飛行は2024年3月9日で、ストラトローンチが開発中の再利用可能な超音速航空機「Talon-A(タロンA)」最初の機体「TA-1」による動力飛行試験が行われました。タロンAはロックに吊り下げられた状態で空中まで運ばれ、投下されてからエンジンを点火します。今回飛行したTA-1はエンジン点火、加速、上昇に成功。制御着水を実施したため、機体は回収されませんでした。海外メディアのSpaceNewsによると、ロックは離陸から約4時間後に母港のモハーヴェ空港(アメリカ・カリフォルニア州)に着陸したということです。
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【更新】ボーイングの宇宙船「スターライナー」打ち上げ再延期 早くても日本時間5月26日早朝に
「【更新】ボーイングの宇宙船「スターライナー」打ち上げ再延期 早くても日本時間5月26日早朝に」 アメリカ航空宇宙局(NASA)とアメリカの航空大手Boeing(ボーイング)は2024年5月14日付で、ボーイングが開発中の新型宇宙船「CST-100 Starliner(スターライナー)」による有人飛行試験ミッション「Crew Flight Test(CFT)」の打ち上げが再延期されたことを発表しました。アメリカの現地時間2024年5月17日の時点で、CFTの打ち上げは早ければ日本時間2024年5月26日に実施される予定です。【最終更新:2024年5月20日9時台】スターライナーはスペースXの「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともにアメリカ航空宇宙局(NASA)のCommercial Crew Program(コマーシャルクループログラム、商業乗員輸送計画)のもとで開発がスタートした有人宇宙船で、これまでに2回の無人飛行試験が実施されています。今回は有人飛行試験としてNASAのBarry Wilmore(バリー・ウィルモア)宇宙飛行士とSunita Williams(スニータ・ウィリアムズ)宇宙飛行士が搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)での短期滞在が予定されています。CFTのスターライナー打ち上げは直近では日本時間2024年5月7日11時34分に予定されていましたが、打ち上げに使用される「Atlas V(アトラスV)」ロケットの上段(2段目)「Centaur(セントール)」の液体酸素リリーフバルブで問題が確認されたため発射2時間前に延期。バルブの交換が必要と判断された時点では、早ければ日本時間2024年5月18日7時16分に改めて打ち上げが行われる予定でした。
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日欧の水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」探査機の推進システムで問題発生
「日欧の水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」探査機の推進システムで問題発生」 欧州宇宙機関(ESA)は2024年5月15日付で、ESAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水星探査ミッション「BepiColombo」(ベピ・コロンボ、ベピコロンボ)の探査機で推進システムに問題が発生していることを明らかにしました。【最終更新:2024年5月16日12時台】BepiColomboは日本の水星磁気圏探査機「Mercury Magnetospheric Orbiter(MMO、みお)」と欧州の水星表面探査機「Mercury Planetary Orbiter(MPO)」の2機による水星探査ミッションです。ここに両探査機の水星周回軌道投入前までの飛行を担当する欧州の電気推進モジュール「Mercury Transfer Module(MTM)」が加わり、現在の3機は縦に積み重なった状態で飛行を続けています。BepiColomboでは探査機を2025年12月に水星周回軌道へ投入するために、地球・金星・水星で合計9回のスイングバイ(太陽を公転する天体の重力を利用して軌道を変更する手法)実施が計画されています。2023年6月には全体で6回目となる第3回水星スイングバイに成功しており、現在のBepiColombo探査機は2024年9月に予定されている第4回水星スイングバイに向けて飛行を続けています。
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パキスタンの超小型衛星が月を撮影 中国月探査機「嫦娥6号」から分離に成功
「パキスタンの超小型衛星が月を撮影 中国月探査機「嫦娥6号」から分離に成功」 中国国家航天局(CNSA)とパキスタン宇宙技術研究所(IST)は2024年5月10日付で、CNSAの月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」に搭載されて月周回軌道まで運ばれたパキスタンの超小型衛星「ICUBE-Q」が撮影した画像を公開しました。【最終更新:2024年5月13日15時台】こちらが公開された画像の1つです。CNSAによると、嫦娥6号から分離したICUBE-Qのカメラを使って日本時間2024年5月8日20時56分に撮影されました。中央左側に月が写っています。嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機で、地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸し、約2kgのサンプルを採取して地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。着陸目標地点は南極エイトケン盆地にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)の南部で、ミッション期間は約53日間とされています。ミッションが成功すれば、月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。
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月面基地で宇宙飛行士が健康を保つ方法は「サーカス」が教えてくれる?
「月面基地で宇宙飛行士が健康を保つ方法は「サーカス」が教えてくれる?」 重力が地球の約6分の1であるため、地球と同じようには運動できない「月環境」。米国や中国が独自に月面基地の建設および宇宙飛行士の滞在を計画するなか、月面基地での生活で宇宙飛行士が健康を保つ方法は、思わぬ分野から示唆を与えられるかもしれません。イタリア・ミラノ大学のAlberto E. Minetti教授が率いる研究グループは、月の低重力環境で健康を維持するために、「ウォール・オブ・デス(死の壁)」と呼ばれるサーカスの曲芸を模した方法を提案しました。地上のようにオートバイの動力を借りなくても、月環境であれば円筒の側面を自力で水平移動できるのだといいます。アメリカ航空宇宙局(NASA)が主導する有人月探査計画「アルテミス」では、月の南極にベースキャンプ(拠点)を設置し、宇宙飛行士が1回のミッションで1週間程度滞在することが目標として掲げられています。また、中国国家航天局(CNSA)も2024年4月25日に、月面基地「国際月面研究ステーション(International Lunar Research Station: ILRS)」を紹介するデモ動画を公開するなど、世界各国が月環境で人類が滞在するプランを着々と進めています。