Here's a first part of our new journey - The diary of Lady Murasaki :)
From : 秋のけはひ入りたつままに、土御門殿のありさま、いはむかたなくをかし。/ As the autumn season approaches the Tsuchimikado becomes inexpressibly smile-giving.
To : 扇どもも、をかしきを、そのころは人びと持たり。/Nowadays people are carrying pretty folding fans.
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紫式部日記
https://ja.wikisource.org/wiki/紫式部日記_(渋谷栄一校訂)
English translation at Project Gutenberg THE DIARY OF MURASAKI SHIKIBU
https://www.gutenberg.org/cache/epub/47151/pg47151-images.html#II
#01
秋のけはひ入りたつままに、土御門殿のありさま、いはむかたなくをかし。池のわたりの梢ども、遣水のほとりの草むら、おのがじし色づきわたりつつ、大方の空も艷なるにもてはやされて、不断の御読経の声々、あはれまさりけり。やうやう凉しき風のけはひに、例の絶えせぬ水の音なひ、夜もすがら聞きまがはさる。
御前にも、近うさぶらふ人びとはかなき物語するをきこしめしつつ、悩ましうおはしますべかめるを、さりげなくもて隠させたまへる御ありさまなどの、いとさらなる事なれど、憂き世の慰めには、かかる御前をこそ、尋ね参るべかりけれと、現し心をばひき違へ、たとしへなくよろづ忘らるるも、かつはあやし。
まだ夜深きほどの月さし曇り、木の下をぐらきに、
「御格子参りなばや。」 「女官は、今までさぶらはじ。」 「蔵人参れ。」
など言ひしろふほどに、後夜の鉦打ち驚かして、五壇の御修法の時始めつ。われもわれもと、うち上げたる伴僧の声々、遠く近く、聞きわたされたるほど、おどろおどろしく尊し。
観音院の僧正、東の対より、二十人の伴僧を率ゐて、御加持参りたまふ足音、渡殿の橋のとどろとどろと踏み鳴らさるるさへぞ、ことごとのけはひには似ぬ。法住寺の座主は馬場の御殿、浄土寺の僧都は文殿などに、うち連れたる浄衣姿にて、ゆゑゆゑしき唐橋どもを渡りつつ、木の間をわけて帰り入るほども、遥かに見やらるる心地してあはれなり。斎祇阿闍梨も、大威徳を敬ひて、腰をかがめたり。人びと参りつれば、夜も明けぬ。
渡殿の戸口の局に見出だせば、ほのうち霧りたる朝の露もまだ落ちぬに、殿歩かせたまひて、御隨身召して、遣水払はせたまふ。橋の南なる女郎花のいみじう盛りなるを、一枝折らせたまひて、几帳の上よりさし覗かせたまへる御さまの、いと恥づかしげなるに、我が朝顏の思ひ知らるれば、
「これ、遅くては悪ろからむ。」
とのたまはするにことつけて、硯のもとに寄りぬ。
女郎花盛りの色を見るからに 露の分きける身こそ知らるれ
「あな、疾。」
と、ほほ笑みて、硯召し出づ。
白露は分きても置かじ女郎花 心からにや色の染むらむ
しめやかなる夕暮に、宰相の君と二人、物語してゐたるに、殿の三位の君、簾のつま引き上げてゐたまふ。年のほどよりはいと大人しく、心にくきさまして、
「人はなほ心ばへこそ、難きものなめれ。」
など、世の物語、しめじめとしておはするけはひ、幼しと人のあなづりきこゆるこそ悪しけれと、恥づかしげに見ゆ。うちとけぬほどにて、
「多かる野辺に」
とうち誦じて、立ちたまひにしさまこそ、物語にほめたる男の心地しはべりしか。
かばかりなる事の、うち思ひ出でらるるもあり、その折はをかしきことの、過ぎぬれば忘るるもあるは、いかなるぞ。
播磨守、碁の負けわざしける日、あからさまにまかでて、後にぞ御盤のさまなど見たまへしかば、華足などゆゑゆゑしくして、洲浜のほとりの水に書き混ぜたり。
紀伊の国の白良の浜に拾ふてふ この石こそは巌ともなれ
扇どもも、をかしきを、そのころは人びと持たり。
信息
- 节目
- 频道
- 频率半月一更
- 发布时间2023年6月16日 UTC 15:00
- 季4