画家の有元利夫さんと、演劇評論家の松岡和子さんとの、対談に、真実への向き合い方を、教えて頂きました
曰く
"有元さん
やっぱ象徴性がないとね
いっぱい嘘つかないとさ、真実から遠ざかるって感じがあるじゃない
松岡さん
いっぱい嘘ついて、いっぱい演技して、ある様式を抽出すれば、それがより真実になるってことよね
シェイクスピアの芝居っていうのはものすごく双子がたくさん出てくるのが多いわけ
そういう場合ね本当の双子を使っちゃったら面白くないわけ
有元さん
女工さんの役やるから、女工さんのね、衣装借りてきたとかさ
その汚れた作業着をそのまま舞台で着るなんていうこと自体がね もうすごいナンセンスで
リアリティーからどんどん、離れていくっていう感じがするのね
松岡さん
舞台というところは演技をする空間である。嘘をつく空間である
有元さん
それで真実に近づく"
ここから私は思いました
1、真実はない、あるのは解釈だけ
2、具体と抽象の往復運動
3、伝えるべき真実をいかに伝えるか
1、真実はない、あるのは解釈だけ
有元さんの絵画は、とても個性的で、様々なものがシュールに組み合わさっていて、そしてとても静かに止まっているようでいて、それがこれから動き出すのか、どこからか動いてきたのか、静かでありながら音楽が流れてくるようで、こちらの心をうごささざるを得ないような素敵な絵なのですが
何故このような絵を描くに至ったのかを、このお二人の対談によって、一つのヒントを頂いたような気がしました
真実はない、あるのは解釈だけ、とは、ニーチェの言葉ですが、現実の事象があったとしても、それをどのように見るのか?または、その背景に何があってそうなったのか?という、真実は、実は見る人各々によって変わってくるという話かと思います
各人にいろんな真実がある中で、誰かから伝えたい本当の真実と信じるものがあるとすれば、嘘も含めたあらゆる角度からの、アプローチでそれを炙り出させる、または、これまで真実だと思われていたものに楔を刺す、そんな考え方もあるかなと思いました
2、具体と抽象の往復運動
細谷功さんの、具体と抽象の本が好きなのですが、ある具体的な事象のものを、さらなる抽象化をすることで、そこにある本質的な価値や意味を見出して、そして、さらに別の具体的な事情として表現するということがあるかと思います
イノベーションの世界でも、ある業界における個別のイノベーションがあったとして、それを一旦抽象化してみることによって、提供される価値を抽象的に把握して、そしてそれを具体的な別業界に転用していくということが、イノベーションを横に展開する手法としてあります
ここで言われている話も、女工さんの個別具体な衣装を持ってくるよりも、もっとそこで伝えたい価値を抽象化した上で、全然違う衣装としてやった方が、伝えたい価値が伝わる、そんなことがあるのかもしれないなあと思いました
3、伝えるべき真実をいかに伝えるか
舞台やアート、音楽でも、創作物は、ある意味、人間が作り出す新しい物語でよくて、嘘だらけのものだからこそ、真実が炙り出てくる、ということがあるんだなあと思いました
例えばアートで、写実的な精巧な写真のような絵画でその時の感動を伝えることもあれば、印象派のように、近づくと何を描いてるのかわからないのに、遠目で見ると、ものすごい光の爆発があって、そこに作者の伝えたい感動があるのかあ、みたいなことがあるよなあと思いました
それは、ある意味、絵の具という嘘の線で描かれたものだけれども、それがより集まって一つの様式になると、爆発的な伝えたい真実が浮かび上がってくる、そんなことってあるのだなあと思います
真実は一つではないし、各人によって全く解釈で違うのだけれども、そこにある抽象的な価値のようなら伝えたい真実は、発信する人からは明確に、自分の中にあって、でもそれを伝えるためには、嘘で表現することを重ねることが1番伝えたいことに近づく、そんな試行錯誤の連続なんだろうなあと思いました
イノベーションの世界でも、そこにどんな価値を提供したいのか、どんな世界を実現したいのか、という大きな真実や大義があって、あらゆる手段を使ってそこに近づこうとする、それが直接的な解決策ではなくても。そんなことが、大切なのかもしれないと思わせていただきました
といえことで、一言で言えば
いっぱい嘘をつかないと真実から遠ざかるノベーション
そんなことを思いました^ ^
参考:Eテレ東京 NHK 日曜美術館 だからあんな不思議な絵を~天折の画家・有元利夫と家族~2025/9/14 https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/47N8R8X7W1/
動画で見たい方はこちら
https://youtu.be/KTh_Cyb3S04
Informazioni
- Podcast
- FrequenzaOgni giorno
- Uscita14 settembre 2025 alle ore 13:02 UTC
- Durata13 min
- Stagione1606
- Puntata1606
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