「情報学最前線」平成27年度市民講座 National Institute of Informatics
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平成27年度の市民講座では、国立情報学研究所の研究者が、情報学に関連したさまざまなテーマについてわかりやすく解説します。「情報学最前線」と題して以下の講座を開催しました。コーディネーター:相原健郎、宮尾祐介(国立情報学研究所)
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高山 健志「もっと手軽にCG制作」
CGは今やありふれたものになってきており、ゲームやアニメ作品だけでなく、ドラマやコマーシャルなど普段何気なく目にする映像にも当たり前のように使われています。CGのクオリティが向上する一方で、その制作にかかるコストは依然として高いままであり、専門的な訓練を受けたアーティストによる膨大な労働力の上に成り立っているのが現状です。CG制作には形状モデリングから照明デザインまで多様な要素が含まれますが、往々にしてマウスクリックなどの単調な操作の繰り返しをユーザに強いるため、作業を効率化するアルゴリズムとUIが常に求められています。本講義ではこういった技術に関する最近の研究動向を紹介します。
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藤原 一毅「サクサク動くスパコンを作る」
スーパーコンピュータの正体は、ネットワークでつながった数千台の小さなマシンです。マシンがどんなに速くても、ネットワークが遅かったらスパコンは性能を発揮できません。そのネットワークの設計が、以前は“ドバドバ流れる”広帯域指向だったのが、最近は“サクサク動く”低遅延指向になりつつあります。低遅延ネットワークの作り方として、マシン同士をデタラメにつないだ「ランダムトポロジ」が良さそうだということが最新の研究で明らかになりました。「デタラメに作ったネットワークが最高だって? マジかよ?」いえ、ランダムトポロジが本当にベストな作り方なのかどうか、実はまだ分かっていません。この講座では、最新の研究成果に疑いを持ちながら、究極の低遅延ネットワークの作り方を皆さんと一緒に考えていきます。
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山岸 順一「おしゃべりなコンピュータ」
いま、音声合成技術は、かつての「宇宙人の声」のような不自然なものから、普通の人間の発話と見分けがつかない高品質なものへと進化しています。その背後には統計的手法やコンピュータを駆使した音声合成技術の進歩があります。従来よりも合成音声の表現力が向上したこともあり、デジタルサイネージやロボット、障碍者支援、携帯デバイスナビゲーションなど、応用領域が急速に広がりつつあります。また、発語機能を失った人の元の声の再現やオリジナル話者の声を使った翻訳の読み上げなど、単なる読み上げを超えた機能についても研究が鋭意行われています。本講座では音声合成研究の最前線についてわかりやすく紹介します。