【イエスは誰も肯定しないし、否定もしない】2024年3月17日(日)徳島北教会オンライン礼拝メッセージ by ぼやき牧師|富田正樹

ぼやき牧師/富田正樹@iChurch.me: 三十番地キリスト教会

#オンライン礼拝 #徳島北教会 #レント #イエス #香油を注ぐ女

聖書の引用……新約聖書・マルコによる福音書14章3-9節(イエス、ベタニアで香油を注がれる)

説き明かし……「イエスは誰も肯定しないし、否定もしない」(「別れ際にあらわになるもの」を改題)

【メッセージの要旨】

 レントには、イエスがこの世を去るときを描いた聖書の箇所が選ばれることが多いです。今回もそのひとつで、ベタニアで1人の女性がイエスの頭に香油を注ぎかけたという出来事のお話です。

 この女性の、「頭に香油を注ぎかける」という行為は、当時の人びとに、古代のユダヤで行われていた王の任職式を連想させたでしょう。つまり、この女性は「イエスは私の王です。救い主です」と告白し、宣言したということになります。

 これに対して、そこにいた男性たちは、「そんな高い香油は、売れば多くの生活困窮者を助けることができるのに」と憤慨します。

 これに対してイエスは、「この女の人を困らせてはいけない。この人は私の埋葬の準備をしてくれたのだ」と言って、女性をかばいます。

 かといって、この女性が「イエスは王です」と言ったことについて、イエスが「そのとおりだ」とも言っていません。

 当時「油注がれた者」というのは、ローマ帝国の皇帝に抵抗する、もう一人の王、つまり帝国への反乱軍の指導者という意味になりますが、イエスは自分がそうするとは言っていません。ですから、この女性が油を注いだ意味をそのまま肯定したわけではありません。

 かといって、そこにいた男性たちのように、「貧しい人たちに施そう」ということを肯定しているわけでもありません。

 イエスは誰が自分のことをどうだと言っても、それを肯定はしないのです。つまり、誰もイエスの本当の思い、考え、願いを知りはしないのです。

 そのかわりイエスは、誰も否定せず、傷つけないやり方で、自分は私たちの間から去ってゆくという予言だけをします。イエスの本意はわからない。けれども、イエスなしで生きてゆかなくてはいけない未来の予言だけはするのです。

 イエスが一緒にいない。それが私たちの人生の現実です。しかし、イエスは一緒にいる。それを祝うのがイースターです。このレントの時期は、イエスなしで生きることの虚しさをしっかりと味わうべきでしょう。

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