みんなのまちづくりトーク

#66 みんまちトーク『伴 宣久さんと語る、地域と行政が共に育てるまちづくり(2)』

#66 みんまちトーク『伴宣久さんと語る、地域と行政が共に育てるまちづくり(2)』

この番組は「認定NPO法人日本都市計画家協会;通称⁠⁠⁠JSURP⁠⁠⁠(じぇいさーぷ)」がお届けするポッドキャスト『みんなのまちづくりトーク』です。毎回多彩なゲストと共に、いま話題のまちづくり事例、新しい制度、活動のhow-toなどを紹介していきます。

★☆★「この番組、いいね♪」とお感じになった方は是非、当協会(JSURP)へのご寄付を御願いします!あなたのご寄付がわたしたちNPO法人のエネルギー源になります!⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://jsurp.jp/nyuukai/⁠⁠⁠⁠⁠

第66回は、前回に引き続き、元台東区都市づくり部長、伴 宜久(ばん のぶひさ)さんをお迎えした全4回番組の第2回です。今回は伴さんが現在も取り組んでいらっしゃる「まちづくり塾」についてお伺いします。どうぞお楽しみ下さい。

▼話していたことのリンク

『〔実践〕自治体まちづくり学』
上山肇 (著), 伴宣久 (著), 田村知洋 (著), 内藤結子 (著), 笹沼史明 (著)

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『東京の 自治体まちづくりⅠ —東京スカイツリー・自治体連携のまちづくり 他 (自治体まちづくり学シリーズ)』

上山肇 (著), 河上俊郎 (著), 伴宣久 (著)

https://amzn.asia/d/8GDEEzd

▼出演者

伴 宣久(ばん のぶひさ)一財日本建築設備・昇降機センター定期報告部長、東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒、東京都立大学(旧首都大学東京)都市環境科学研究科博士課程後期卒。民間企業に就職後、東京特別区(台東区)営繕課長、まちづくり推進課長、都市計画課長、都市づくり部長、用地施設活用担当部長を経て現職。一級建築士、建築基準適合判定資格者、工学博士。著書:自治体まちづくり学(編著。公人の友社、2024年)

論文:「敷地整除型区画整理事業を活用した歩行者空間の創出と大街区化による商業・業務機能の強化」(アーバンインフラテクノロジー推進会議、2012年)、「東京都心4区における都市再生特別地とその他都市計画制度の外部効果の比較」(日本建築学会計画系論文集82巻72号、1211-1219頁、2017年)、「東京都心部における不動産価格に着目した都市更新と都心居住に関する都市計画制度の効果の研究」(博士論文、2018年)             

▼パーソナリティ

内山 征(うちやま ただし):Jsurp理事

安藤 裕之(あんどう ひろゆき):Jsurp理事

◇フリーBGM・音楽素材MusMus https://musmus.main.jp

▼番組概要

【第一章】

まちづくり塾の誕生と広がり――現場発の学び合い

安藤氏が切り出した今回のテーマは、伴氏が立ち上げた「まちづくり塾」。
伴氏は、平成19年、台東区のまちづくり推進課長時代に、23区の管理職有志による勉強会に参加したことがきっかけと語ります。足立区、渋谷区、江戸川区など、先行事例を持つ自治体から学び、ネットワークを築きました。

その後、台東区役所退職を機に、自らの経験を「武勇伝」ではなく、「未来につなぐ知恵」として伝える場を設けようと、仲間とともに新たな「まちづくり塾」を設立。墨田区の水間町、中野区の再開発地区、浜松町の開発エリアなど、現場見学と意見交換を重ね、参加者は30人から50人超へと増加。法政大学との連携によるシンポジウムも成功を収めました。

【第二章】

23区から全国へ──まちづくり塾の未来

内山氏が指摘する通り、23区の職員には意識の高い人材が多く、地域による違いを越えて、職員間でのネットワークづくりが進んでいると伴氏は振り返ります。
特別区に限らず、今後は地方都市とも積極的に交流し、全国的な広がりを目指していきたいと抱負を語りました。

安藤氏も、「神奈川県にもぜひ来ていただきたい」と期待を寄せ、自治体職員のローテーション制が勉強会継続の難しさを生む中、伴氏の活動が突破口になるのではないかと期待を膨らませました。

【第三章】

上下を超えたネットワーク形成──勉強会運営の工夫

まちづくり塾では、役職の垣根を超え、若手からベテランまでがフラットに意見交換できる雰囲気づくりを大切にしていると伴氏は語ります。懇親会でも「役職順」ではなく「混ぜて座る」を徹底。
参加者同士の化学反応が起きることを意図的に設計しているとのこと。

また、テーマもハード(施設整備)だけでなく、福祉や多文化共生、観光政策などソフト面にも重点を置き、毎回参加者アンケートに基づいて次回テーマを設定。伴氏の絶妙なバランス感覚が塾を支えていることが、内山氏からも讃えられました。

【第四章】

まちづくりは「ハード×ソフト」で──台東区の実践事例

後半では、台東区のまちづくり事例に話が及びます。
防災、商業観光、伝統工芸など、ソフト政策を重視した都市計画マスタープラン作成の裏話も披露されました。
伴氏は、かつての職人街から不動産業へと変貌した台東区の変遷を解説し、ハードだけでなく、ソフトの掘り起こしと育成の重要性を強調しました。

さらに、廃校跡を活用した「台東デザイナーズビレッジ」などの成功事例や、観光資源として再評価される「かっぱ橋道具街」の変化にも言及。
伝統を守りながらも、新たな価値創造に挑む台東区の姿が浮かび上がりました。

【エンディング】

これからのまちづくりに求められるもの

内山氏は、「台東区は、古き良きものを守りつつ、しなやかに更新し続ける街」と評し、ハード整備だけではない、ソフト戦略の重要性を改めて指摘。
伴氏もまた、「経済原理だけに流されず、地域資源を生かし続ける」ことの必要性を訴え、次回への期待を膨らませながら番組は締めくくられました。