第二次トランプ政権の誕生が見込まれ、グローバル市場にその影響が一部なりとも織り込まれました。今回は、関税引き上げの可能性と財政政策の二つの長期的なテーマについてお話しします。
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「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
今回のエピソードでは、米国大統領への選出が見込まれるトランプ氏の第二次政権が市場に及ぼす影響について、弊社の債券・米国公共政策担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスの初期考察をお伝えします。
このエピソードは11月6日 にニューヨークにて収録されたものです。
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投票日の夜、トランプ氏の勝利が確実視されるにつれ、市場は、第二次トランプ政権が採るであろう公共政策の影響を材料として織り込み始めました。まずはドルが上昇しました。トランプ氏が関税の引き上げを主張していることを踏まえれば当然の動きですが、これは米国よりもほかの国々の成長に影響が及ぶことになるでしょう。また、米国債が売られ、利回りが上昇しました。財政赤字の大幅拡大に繋がる減税政策をトランプ氏が支持していることを考えれば、これも当然の動きと言えるでしょう。こうした中、米国株式市場は、資本財やエネルギーなど、優遇税制および規制緩和拡大の恩恵を受けると思われるセクターを中心に、株価が上昇しました。
ただ、第二次トランプ政権の誕生が見込まれることで、グローバル資産市場に対する影響が一部なりとも織り込まれた現在、市場の動きを理解することはこれまでよりも難しくなりました。我々が注目するテーマはいくつかありますが、最も重要と考えるのは次の2点です。
1つめは、関税の引き上げについてです。弊社エコノミクスチームによれば、関税の引き上げは物価の上昇や、成長の妨げにつながり、例えば、10%の一律関税や中国からの輸入品に対する60%の関税が課されれば、物価は1%押し上げられ、GDP成長率は1.4%縮小すると試算されます。こうした数字の変化は、ソフトランディング・シナリオはもちろん、株式やその他のリスク資産にとって追い風となるような投資環境を著しく損なう可能性があり、また、その度合は小さいかもしれませんが、異なる方法で関税を引き上げても、同じような影響があるでしょう。我々の見解では、行政トップによる関税引き上げは、一律ではなく、特定の国や製品を対象にしたものにならざるを得なくなる、すなわち、関税の引き上げ方の違いによって市場見通しは大きく変わると考えます。
2つめのテーマは、財政赤字拡大のペースと規模についてです。米国の財政政策は、2025年に失効する米国税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)に定められたいくつかの条項に準拠することが求められています。よって、今回の選挙結果にかかわらず、その動向に関しては、2025年終わりまで不透明さが残ると我々は予想していました。ただ、弊社の基本ケース想定ではないにせよ、共和党による上院の過半数議席獲得を踏まえると、減税が前倒しで、しかもより大型化して実施される可能性も出てきました。こうした中、財政赤字拡大のペースと規模の違いは、最近上昇した金利が今後さらに上昇するのか、現行水準のままで推移するのかを左右する要因になると考えます。
結論を言えば、選挙が終わり、今後、政権交代が始まると共に、市場戦略を策定する指針となるような政策が数多く実施されるようになります。我々は、政策立案者の声明や考えにこれからも注目し、そこらから読み取れるシグナルを皆様にお届けして参ります。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
Informações
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- Publicado6 de novembro de 2024 às 08:00 UTC
- Duração5min
- Episódio42
- ClassificaçãoLivre