引き続き、「交渉学教科書 今を生きる術」(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をもとに、交渉についてじっくりと皆さんと学んでいきます。今回のテーマは「対立」についてです。
【TODAY’S TOPICS】
◎対立の定義
対立は時代とともに意味が変化し、単なる戦闘や争いではなく、利害の不一致や交渉者の信念の対立としてもとらえられるようになった。
◎対立の4段階
内面的・精神的対立:交渉者個人の内部で生じる対立
人間関係の対立:交渉者同士の対立(夫婦、友人、ビジネスなど)
集団内の対立:委員会や家族など小規模組織内の対立
集団間の対立:与党と野党など、集団同士の対立
◎対立の破壊的側面(8つの要素)
競争的過程:勝敗にこだわることで、対立がエスカレートする
誤解と偏見:相手を一方的に悪く捉え、偏見が強まる
感情:怒りや不満が増し、冷静な判断ができなくなる
意思疎通の減少:反対する相手とは話さなくなり、対話が困難に
無形の争点:本来の争点がぼやけ‗無関係な議論が増える
硬直した姿勢:立場に固執し、妥協や歩み寄りができなくなる
誇張される差異と過小評価される共通点:協力体制が築けなくなる
対立関係の拡大:お互いが勝つことを優先し、解決の機会を失う
◎対立の肯定的側面(7つの功用)
協力体制のきっかけ:相手の意思が分かれば、論点を明確にし共に解決に向かえる
組織の変化と社会への適応を促す:組織活動の正当性が注目され、改善につながる
つながりと士気を高める:感情を抑え解決に向かう経験から協力関係が深まる
自己認識と相手理解:価値観を見直し、お互いの理解を深められる
交渉者の成長:経験を通じて交渉スキルが向上する
精神的な成長:客観的な状況判断力と自制心が養われ、より良い結果を目指せる
活力や喜びを生む:対立に主体的に関わることで、新たな視点を得られる
◎対立の適切な扱い方
・対立を「問題」ではなく「成長の機会」として捉えること
・感情的にならず、共通の目標を探しながら冷静に交渉を進めること
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お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
Informations
- Émission
- FréquenceChaque semaine
- Publiée27 février 2025 à 21:00 UTC
- Durée17 min
- ClassificationTous publics