耳で味う、英語の世界

よりそう。 | 心が柔らかくなる小さな時間

「心が柔らかくなる、小さな時間」をお届けするオンラインショップ「よりそう。」がお届けする、一つの英単語を題材に、その言葉のもつ世界をじっくり観察して味わう、心に染みこむような学びのオーディオコンテンツです。 言葉と共に、柔らかなピアノの音が流れるこの番組は、忙しさからふわっと離れ、心地よく遊びながら学ぶような感覚を楽しんでいただけます。

Episodes

  1. 10/21/2016

    『星の王子さま』で出会った、切ない言葉— Ephemeral

    発音が難しいこの言葉。「はかない」「つかのまの」という意味があります。 この言葉は、サン=テグジュペリの『星の王子さま』で出会いました。 王子さまが地理学者の星を訪れる場面。地理学者に自分の星のことを問われ、小さな星で、火山が三つあること、花がひとつあることを伝えます。 すると、地理学者は、花には興味を持ちません。なぜなら、花ははかないものだから。地理学者曰く、いつまでもかわらないことしか、本には書かないのです。 花を愛する王子さまは、そのことに驚き、尋ねます。 「はかないってなんのこと?」と聞く王子さま。 「そりゃ、<そのうち消えてなくなる>っていう意味だよ」答える地理学者。 “But what does that mean―‘ephemeral’?” “It means, ‘which is in danger of speedy disappearance.’” はかないこと。In danger of speedy disappearance. ここにある姿は束の間のもの。 秋はどこか物悲しく、はかなさへ思いを馳せることが多くなる気がします。 高い秋の空を見上げると、形を変えながら流れていく雲。うろこ雲、さば雲、いわし雲。 秋の空特有の雲があります。 移ろいゆくといえば、、、。 今は昼夜、団子のようにくっついて過ごしている幼い子供たち。 笑い、怒り、叱り、悩み、でもきっと、こんな時間もephemeral。 あっという間に成長していくであろう姿を、自分は絶対に追いつかないなぁと、後ろから眺めるような気持ちになることがあります。きっと近い将来、手元からするりと抜けて、どこかに走っていくのでしょう。まずは上の子から。 今は両腕に何とか抱きしめることができる、二人の子供。 その柔らかい温もりと、「ねぇ、ママ」と呼ぶ声。 失いがたい、大切なものを思い、同時にそのはかなさを思うとき、‘ephemeral’という言葉が浮かびます。 朝、起きてきて、一番に抱きついてくる子供たち。 それから、親との何気無い会話の時間。 それに、昨日お部屋に飾った切り花の瑞瑞しさだって、そう。 ものごとのはかなさ。年を重ねるたびに、リアリティを持って理解を深めている気がします。 ‘Ephemeral’. 発音は難しいですが、綺麗な言葉ですよね。 ちょっと話は逸れますが、‘ephemeral’… sounds a bit like ‘emerald’.「エメラルド」にも音が似ていますよね。 この言葉に色をつけるとしたら、エメラルドグリーンでしょうか。

    5 min
  2. 10/12/2016

    Procrastinating — この言葉を使えば、堂々とだらだらできちゃう?!

    ‘Procrastinating’. この言葉の意味を知らなかったとして、あなたはこの響きから、どんな意味を想像しますか? 例えば、友達に電話を貰って、 "I have to get back to work, but I’m procrastinating." と、言われたら。 その言葉だけ聞くと、ちょっとカッチリした、難しそうなことを想像しないでしょうか? 言葉の意味の答えは、「ぐずぐずしている」「やるべきことがあるのに、後回しにしてだらだらしている」。 ちょっと意外に感じませんか? "I have to get back to work but I’m procrastinating." 「まだ仕事をしなきゃいけないんだけど、ちょっとぐずぐずしているの。」 多くの人に、身に覚えのあるフレーズではないでしょうか。 そろそろクローゼットの衣替えをしなきゃいけないんだけど・・・ 庭の掃除をしなくては・・・ 明日のお弁当の支度を始めなくちゃ・・・ 日常に溢れる、ほんのり気怠い、もったりした時間。 学生の頃なんて、もっと procrastinating ばかり。 そろそろレポートやらなきゃいけないんだけど・・・ 就活始めなきゃ・・・ いろんなことを後回し。気にはなっているけれど、なかなか着手できない。 この言葉の何が素敵って、だらだらぐずぐずしているだけで、 形容できるようなことをしていないのに、 罪悪感や焦りを感じながらも、"I’m just procrastinating." なんだか、言葉の響きが大げさで、知的で難しそうなイメージを匂わせるところ。開き直ったかのような、その皮肉なギャップに面白さを感じてしまいます。 身近に使えて、なかなか面白い単語です。 さて。原稿も書けたし、そろそろパソコンに向かうのをやめて、お昼ご飯の準備をしなくてはいけないのですが・・・

    3 min
  3. 10/11/2016

    Ponder — 深く思いを巡らすとき、ふと訪れる遠い記憶の中のある場所。

    あれ?パンダ?と聞こえてしまったかもしれません。 パンダは ‘panda bear’。ちょっと似ているこちらは、‘ponder’。 「よく、深く、じっくり考える」「思案する」「思いを巡らす」という意味です。 つい、止まって深く考え込むこと、ありませんか? どんなことでも構いません。 過去の出来事を振り返って、ponderする。 本を読んで、登場人物の行動や気持ちについて、ponder。 家族のこれからのことについて、ponder。 ‘Ponder’って、なんだか‘pond’ の比較級みたいです。 というのは、全く関係無い勝手な妄想で、‘pond’は池という意味。 ‘pond’と‘ponder’。「池」と、「思いを巡らす」、という二つの言葉。 ところで、ある高校のキャンパス内に、静かな森があり、そこにrabbit pondという小さな綺麗な池がありました。絵画の授業のとき、その池の畔で写生をしたことがありました。 ‘Ponder’という言葉は、‘pond’という言葉を経由して、その静かな rabbit pondに結びついてしまっています。画材を持って、畔に座り込んで絵を描いた、rabbit pondの記憶。 だから、‘ponder’ という言葉を意識する時、自分の思考のある部分は、よくrabbit pondの畔に飛んでいってる気がします。頭の中のその場所が、深く思考するための定位置であるかのように。rabbit pondを散歩しながら、いろいろと思いを巡らすようなイメージ。 頭の中には、きっといろんな風景があると思うのですが、どんな時に、それらの場所を訪れますか?特定の言葉が、特定の景色の記憶と結びついていること、あるのではないでしょうか。 探してみても面白いかもしれません。

    3 min
  4. 06/21/2016

    Simmer ー沸騰しないのは人参?それともあなたの心?

    茹でたらいいのに、なぜsimmerなの? あるアメリカのホームドラマでの台詞です。 家庭的で、まるで優しい目をしたラブラドールのような、温かいお父さん。 時に家族に優柔不断と責められてしまいそうな。 キャリアウーマンで、責任感が強く、常に背筋が通った美しいブロンドの妻を持ち、年頃の二人娘もいて、女系家族の中で若干孤立しています。 ある時、彼は一念発起して仕事を辞め、静かな情熱であった料理を仕事とすべく、まず自身の料理教室をオープンします。そこで生徒として出会った、素朴だけれど明るく奔放で自由な独身女性に(年齢は妻や自分と同じ位) 心惹かれるも、大切な家族を思い、ブレーキをかけるのでした。 その女性が受講中、軽やかに楽しげに、笑いながら、ぽーんと投げかける一言。 「茹でたらいいのに、なぜ simmer なの?!」。 “Why simmer when you can boil?!” お鍋の中の人参のことなのに、まるで煮えきらないこの男性の恋心に対して、ミッドライフクライシスに対して、「なんで沸騰しないのよ?!」と投げかけるように映った台詞でした。 そして、「えっと。だからね…」と調理法の説明をする、真面目なお父さんなのでした…。

    2 min

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