実験4号の漫荼羅漫談

ep22:水上悟志『スピリットサークル』物語としての人生の重さ、円環の理について

実験「昨日シン・ウルトラマン見ました」

GG「奇遇ですね!僕も昨日見ましたよ!」

実験「ごめん、よく考えたら一昨日だったわ」(奇遇、終了…)

○割りと短めの傑作でおなじみ『惑星のさみだれ』アニメ化決定!

・実験「『スピリットサークル』(以下スピサ)は惑星のさみだれより短くて面白いので、水上悟志先生の進化を感じますね」GG「惑星のさみだれは全10巻、スピサは全6巻…」

・6巻のあとがき:水上悟志先生「本当はもうちょっと短く終わらせたかったんですけどね」→無理じゃね!?!?(全6巻できれいにまとめている時点で異常なのに…)(水上悟志作品はオチがしっかりしていることに定評がある)

・実験の好きなところ①「フロウ」編:あらすじが地味で変!ビターな味わい…→水上先生曰くこのエピソードが最初にできたとこらしい(そんなことある?)

・実験の好きなところ②過去生における死の描写:なんか全体的にあっさりと(ときには間抜けに)死ぬのがいい!→福島聡『少年少女』第1話とか、「死はばかでかいなにかじゃない(胎界主)」、主観目線では死があっけない

・絵柄に少年漫画的なものを感じるのに、ストーリーや演出の手付きがなんか王道のそれじゃない

○物語としての人生の重さ

・主観目線ではあっけないはずの死を、後から「人生」という形で再構成すると凄く重みが出る→過去生描写も全てが描かれているわけではなく、「物語」としての核だけが抽出されている(第2章「フォン」編でレイと出会うまでの人生の描写は省略される)

・一方で神官ストナの人生は「頑張って維持していた社会システムが一人の愚か者に破壊された物語」である(ただしそれは鉱子の言葉でのみ語られる=徹底的な風太一人称目線)

・物語化された「人生」を抱え込む主人公の変成→『スピリットサークル』において「人生は重い」(それをたったの6巻で描写できるの異常だよ)

・GGの好きなところ①第3章「ヴァン」編:「縁」についての説明編、因縁描写は薄め→穏やかでとても良い物語、あとレイがかわいい

・実験の好きなところ③第1章「フルトゥナ」編:フルトゥナの天才性描写が最高!!「なるほどね 宇宙見破ったり」天才であるがゆえに道を踏み外してしまうという描写の説得力!(これって大体新井英樹のSUGARなのでは?)

・実験「風太と鉱子とノノの三角関係、どうなっちまうんだ…!?」GG「鉱子も言ってたけど別にノノでもいいんじゃないの」実験「そうかなあ…」

○円環の理・人間存在

・コーコ「本来螺旋を描いて上昇するはずの人間のエネルギーは恨みの力で輪廻してしまう」→過去生システムを前提としなくとも、人類規模(歴史という流れ)を考えた場合も同じようなことが言えるのかもしれない