霞月報 : Noh Stories from Japan’s Timeless Stage

能『大会(だいえ)』— 「信じてはいけないもの」に心を奪われたとき | 能のあらすじと紹介

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能『大会(だいえ)』は、比叡山の奥深くで修行を続ける僧のもとに、かつてその命を救われた山伏が訪れる場面から始まります。 この山伏の正体は、かつて鳶(とび)の姿で京の童にいじめられ、死にかけていたところを助けられた大天狗でした。 恩返しとして、望みを叶えると言う大天狗。 僧の願いは、「釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)で説法する姿を見たい」というものでした。 大天狗はそれを承知しますが、一つだけ条件を出します。 「たとえ何を見ても、信心を起こしてはならぬ。」 やがて僧の前に、荘厳な霊鷲山の幻が広がります。 七宝の樹々、紺瑠璃の大地、天から降り注ぐ花。 その中心で釈迦が説法をする姿に、僧は思わず涙を流し、深く頭を垂れます。 その瞬間、約束は破られ、幻は崩れ去り——釈迦は天狗の姿へと変わります。 この物語は、滑稽さと優しさをあわせ持つ天狗の人間味、そして「真実と幻」のはざまを描き、最後に答えを観客へ委ねます。 🌿 2025年9月20日(土)午後公演、宝生能楽堂にて今回のエピソードで取り上げたお能『大会(だいえ)』が上演されます。 私の先生が地謡として出演されます。 秋の日の午後、お能の舞台をご一緒できたら嬉しいです。 📍 公演情報(※私は宝生能楽堂とはアフィリエイト等の関係はありません) 📅 日程:2025年9月20日(土) 🏯 会場:宝生能楽堂(東京) ⏰ 開場 14:45 | 開演 15:30(午後の部) 🎟 チケット情報 一般 ¥5,500 | 学生 ¥2,700 当日、会場で購入可能(売り切れ次第終了)